ほっと一息 やってみようリラクゼーション法
授業や学校行事がますます充実する2学期、子どもたちの様子はどうですか?忙しい毎日だからこそ、「ほっと一息」つくことも大切ですね。
今回は、ストレスマネジメント教育の第3段階「ストレス対処法を習得する」第4段階「ストレス対処法を活用する」について、小学校での授業展開について紹介します。
【連載】ストレスフリーの教室をめざして #04
執筆/埼玉県公立小学校教諭・春日智稀
これまでの記事をまだご覧になっていない方は、ぜひこちらもご覧ください。
<第1回目:小学校の教室で「子どものストレス」をゼロにするために。やってみよう、ストレスマネジメント教育>
<第2回目:実践! 小学校のストレスマネジメント教育~高学年の授業展開をもとに~>
<第3回目:ストレスは小さくなる? 小学校中・高学年のストレスマネジメント教育~ものの見方・考え方を変えてみよう>
目次
1 リラクゼーション
はじめに、「リラクゼーション」について確認しておきます。
リラクゼーションとは、心身の緊張をゆるめる練習を通して、どのような状況下においても心身の自己コントロールを図ることができるようになるための技法のことです。
人は、ストレス状況下では心身に様々な反応が生じます。例えば大勢の人の前で話すときには、手に汗をかいたり、呼吸がはやくなったりします。子どもは大人に比べて知識も経験も少ないですから、いろいろな場面でストレスを感じることでしょう。
そこで、今回のリラクゼーション法を実践することにより、子どもが自分でストレスをコントロールすることができるようになることを目指します。
2 授業展開
3 解説
導入では、事前にとっておいたアンケート結果を発表し、緊張した経験と場面、その時の心身の変化について振り返ります。
展開では、2つのリラクゼーション法を紹介しています。
① 呼吸法
時間と場所を選ばずに行うことができます。人は普段の呼吸のほとんどを無意識に行っています。リラックスした状態では深くゆっくりとした呼吸(腹式呼吸)ですが、緊張状態では呼吸が浅くなったり、荒々しくなったりします(胸式呼吸)。
そこで本授業では、呼吸に意識を向けて、腹式呼吸でリラックスする方法を紹介しています。まず、鼻からゆっくりと息を吸います。この時お腹に手を当て、お腹がふくらんでいることを確認します。次に口からゆっくりと吐いていきます。このときは、だんだんとお腹がへこんでいくことを感じます。ポイントは、「吸う時間よりも吐く時間を長くする」ことです。2倍ぐらいにするとよいでしょう。
② 漸進性筋弛緩法
漸進性筋弛緩法は、各部位において「緊張(力を入れる)」と「弛緩(力を抜く)」を繰り返すことで、最終的に全身をリラックスさせるものです。これも、基本的には一人で行うことが可能です。先生は、進行を務めながら子どもたちの様子を観察し、適宜個別に声掛けをしましょう。特に「緊張」状態に意識を向けさせるように声掛けをすることで、弛緩したときの「体が軽く、あたたかい感じ」を子どもたちが実感しやすくなります。
終末では、今回のリラクゼーション法がどんな場面で活用できるかを考え、交流します。基本的には場所を選ばす、一人でできるものですので、多様な考えを認めてあげましょう。
この方法は、授業後に短時間で継続的に実践することをおすすめします。たとえば帰りの会で呼吸法を行ったり、行事の前に漸進性筋弛緩法を行ったりすることなどが考えられます。最終的には、子どもが自ら実践している姿を見られるようになるとよいですね。
4 授業を行うにあたっての留意点
- 動作を伴いますので、スペースを十分に確保しましょう。
- 気温や光などに気を配り、リラックスして行うことができる環境にしましょう。
- 必ず、先生自らが実際にやってみましょう。
- 児童のペースを尊重しましょう。
- 終わりには、必ず「消去動作(手をグーパーさせる、屈伸、伸びなど)」を入れましょう。
【参考引用資料】
・『動作とイメージによるストレスマネジメント教育(基礎編)』山中寛・冨永良喜、2000 北大路書房
・『動作とイメージによるストレスマネジメント教育(展開編)』山中寛・冨永良喜、1999 北大路書房
・『ストレスマネジメント フォ キッズ』ストレスマネジメント教育実践研究会、2003 東山書房
<プロフィール>
春日智稀(かすが・ともき)
2015年より埼玉県公立小学校教諭。体育主任・生徒指導主任・研究主任・教務主任などを担当。
ケアストレスカウンセラー/青少年ケアストレスカウンセラー。
日本生徒指導学会 日本学校教育相談学会 会員。