「ワールド・カフェ」とは?【知っておきたい教育用語】
学校現場にアクティブラーニングが取り入れられるようになり、そのためのさまざまな手法が紹介されるようになりました。地域のコミュニティ、職場、学術学会などの多様なシーンで行われているアメリカ発のワールド・カフェもその一つとして注目されています。
執筆/創価大学大学院教職研究科教授・宮崎猛

目次
ワールド・カフェによる、自由に意見を交換できる場の実現
【ワールド・カフェ】
メンバーの組み合わせを替えながら、4~5人単位の小グループで話合いを続けることで、あたかも参加者全員が話し合っているような効果が得られる会話の手法。
ワールド・カフェは、アニータ・ブラウンとデイビット・アイザックスによって、1995年に始められました。彼らが知的資本経営に関するリーダーたちを自宅に招いた際、集まったゲストがリラックスしてオープンな話合いを行えるように、「カフェ」のような空間を演出しました。
その結果、多くの知識や知恵、アイデアが生まれたといいます。ワールド・カフェでは、少人数に分けたグループで自由な対話を行い、ときどき、他のグループのメンバーとシャッフルして対話を続けます。発言しやすい雰囲気のなかで、多くの人と意見や知識の共有ができるようになります。ジグソー学習に類似している手法ですが、ワールド・カフェは結論を出すことを目的としたものではなく、より自由な雰囲気のなかでの会話が展開されます。
ワールド・カフェを学校現場で実践する場合
ワールド・カフェは、さまざまな場面、シーンで行われています。一つの組織内で行われることもあれば、多種多様な人々が集まるコミュニティでの異業種間交流として行われることもあります。コミュニケーションの活性化やビジョンの共有などの際に用いられてきました。ワールド・カフェの参加数は最低16名とされています。人数の上限は特になく、1000人規模でのワールドカフェも行われています。実施には2時間〜3時間程度必要とされています。
今回は学校現場で活用されることを念頭に、その手法を紹介します。
①準備
4~5人でグループをつくり、机を囲みます。グループごとに机の上に大きめの紙(模造紙やA3用紙)と記入用マジックペンを用意します。
②カフェトーク・ラウンド
第1ラウンド:テーマについて探究する
トピックに沿って話合いをします。テーブル上の模造紙は、メモ代わりに自由に使います。トピックにもよりますが、50分の授業時間の場合、各ラウンド15分程度が適切です。ラウンドが終わる頃に、グループで残る人(ホスト)を決め、それ以外の参加者は別のグループへ移動します。
第2ラウンド:アイデアを共有し、深める
残ったホストが自分のテーブルで話された内容を新しいメンバーに説明するところから始めます。各自、自分がいたテーブルで話し合われた内容を紹介し、会話を深めます。その際、模造紙に新しいアイデアを追加したり、つながりを表現したりします。
最終ラウンド:気づきや意見を統合する
全員が最初のテーブル(オリジナルグループ)へ戻り、別のテーブルで得られた気づきや理解を交換します。出たアイデアや言葉を、会話しながら、自由に机の上の用紙に書いていきます。記入した用紙を掲げたり、壁に貼ったりして、全体でシェアします。
以上の方法によって、参加者誰もが発言できる雰囲気・場づくりを実現します。最終ラウンドで、お互いに交換した意見やアイデアを共有することによって、新たな気づきを得られるようにすることもポイントです。