小5社会「自動車工業の盛んな地域」指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

執筆/札幌市立豊平小学校教諭・石本歩
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
     札幌市立山鼻小学校校長・佐野浩志

年間指導計画

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・国土の地形と気候の概要
・低い土地のくらし
・高い土地のくらし
・あたたかい土地のくらし
・寒い土地のくらし
・米づくりの盛んな地域
・水産業の盛んな地域
・日本の工業生産と工業地域の特色
・自動車工業の盛んな地域
・工業生産を支える貿易や運輸
・放送などの産業とわたしたちのくらし
・情報を生かして発展する観光業
・情報を生かして発展する販売業
・情報を生かして発展する運輸業
・国土の自然災害
・私たちの生活と森林
・公害からくらしを守る

目標

我が国の自動車生産について、製造の工程、工場相互の協力関係、優れた技術などに着目して、地図帳や地球儀、各種の資料で調べ、まとめることで自動車生産に関わる人々の工夫や努力を捉え、その働きを考え、表現することを通して、自動車生産に関わる人々は、消費者の需要や社会の変化に対応し、優れた製品を生産するようにさまざまな工夫や努力をして、自動車生産を支えていることを理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を追究・解決しようとする態度を養う。

評価規準

知識・技能

①自動車の製造の工程、工場相互の協力関係、優れた技術などについて地図帳や地球儀、各種の資料で調べて、必要な情報を集め、読み取り、自動車生産に関わる人々の工夫や努力を理解している。
②調べたことを図表や文などにまとめ、自動車生産に関わる人々は、消費者の需要や社会の変化に対応し、優れた製品を生産するようにさまざまな工夫や努力をして、自動車生産を支えていることを理解している。


思考・判断・表現

①自動車の製造の工程、工場相互の協力関係、優れた技術などに着目して、問いを見いだし、自動車生産に関わる人々の工夫や努力について考え表現している。
②自動車生産の仕事の工夫や努力と消費者の需要や社会の変化を関連付けて、自動車生産に関わる人々の働きを考え、適切に表現している。


主体的に学習に取り組む態度

自動車生産について、予想や学習計画を立て、学習を振り返ったり見直したりして、学習問題を追究し、解決しようとしている。

学習の流れ(7時間扱い)

問題をつくる 2時間

  • 日本の自動車の普及率から、私たちの生活に自動車が欠かせないものであることを捉える。そして、その自動車がどこでどのようにつくられているのか、自動車づくりに携わる人の工夫や努力に触れながら、自分の予想を立てる。

(学習問題)
自動車づくりに携わる人々は、どのような工夫や努力をして自動車をつくっているのだろう?


追究する 4時間

  • 自動車がどのようにつくられているのかを、組み立て工場と関連工場を基に調べていく。また、そこにはどのような工夫や努力があるのかを考える。
  • 自動車づくりは世界とどのようなつながりがあるのか、運輸や現地生産などを調べて考える。
  • 自動車開発について調べ、人や環境にやさしい車が生産者や消費者の思いや願いを基に開発されていることを考える。

まとめる 1時間

  • 学習問題を振り返り、「自動車の製造工程」「工場相互の協力関係」「優れた技術」の3つの視点を軸に、自動車生産に携わる人の努力や工夫を踏まえながらスライドにまとめる。

問題をつくる

私たちの生活に欠かせない自動車。その自動車がどこでどのようにつくられているのかを追究したくなる思いを引き出し、単元の学習問題づくりに生かせるようにする。(1、2/7時間)

導入のくふう

世界でも日本の自動車が売れていることから、日本の自動車生産への興味を引き出していく。また、Google Earthを活用して豊田市を探検をしてその広さを実感したり、車の歴史から性能の進化を考えたりすることで、「よりよい自動車をたくさんつくる」ための工夫や努力に目を向け、追究したくなるようにしていく。

 


1時間目 
日本の自動車の普及率から、私たちにとって自動車が生活に欠かせないものであることに気付いていく。また、世界の新車販売台数から、世界でも人気のある自動車をどこでどのようにつくっているのかに興味をもつ。

日本の自動車の普及率の変化を見てみよう。

日本の自動車の普及率の変化のグラフ

普及率はこんなに高いんだね!
それだけ自動車が生活に必要な人が多いんだね!

私たちの生活に自動車は欠かせないものですね。では、道路を走る車の様子を見て、気づいたことを話し合おう。

道路を走る車のイラスト

いろいろな色や形があるね。メーカーもたくさんあるね! 外国のメーカーの車も走っているね。

トラックみたいに乗用車じゃない車もあるね。本当にたくさんの種類の車が走っているね。

世界にはたくさんの自動車メーカーがあります。世界の新車販売台数を見てみましょう。日本のメーカーは何位くらいに入っているかな?

世界新車販売台数(2020年)
1位 トヨタ(日本)
2位 フォルクスワーゲン(ドイツ)
3位 日産・ルノー・三菱グループ(日本・フランス)

出典:一般社団法人日本自動車会議所HP

日本の自動車は世界中で売れているんだね!

これだけ世界でも人気の自動車をどこでどのようにつくっているのだろう。

 


2時間目 

自動車は日本のどこで多くつくられていると思う? 生産額の割合を見てみよう。

自動車の生産のグラフ
出典:令和3年経済センサス「産業別統計表」「地域別統計表」

愛知県が最も多いんだね! 愛知県の地図を見てみよう!

愛知県の中でも豊田市に自動車工場が集まっているね!どうしてだろう。

豊田市の工場の周りをGoogle Earthで探検してみよう!

豊田市のトヨタ工場の写真

この広い工場でたくさんの種類の車をどうやってつくっているのだろう。

これだけ大きな工場だから、たくさんの人が働いていそうだね!

この工場の中でどのように自動車がつくられているのか、気になりますね!
ここでTOYOTAの自動車づくりの歴史を見てみましょう。

TOYOTAの自動車づくりの歴史

昔とは形がぜんぜん違うね! 車も進化しているんだね。家の車には、車線をはみだすとアラームが鳴るなど、安全な機能がたくさんついているよ。昔の車にはついていなさそうだね。

MIRAIって車はCMで見たことがあるよ! 環境のことを考えた車だって言っていたよ。環境のことも考えて車づくりをしているのかな。

これだけ進化しているということは、よりよい車をつくるために、自動車会社の人はたくさんの工夫や努力をしていると思うよ。

主体的な学びにつながるポイント
自分の家の車についてタブレット型端末を持ち帰って撮影したり、Googleドキュメントなどを使い、友達と共有したり共同編集したりすることで、調べる意欲につながります。

 
自動車づくりに携わる人々は、どのような工夫や努力をして自動車をつくっているのだろう?

追究する

自動車づくりや自動車開発を追求していくにあたって、それに携わる人の工夫や努力、思いを関連付けながら考えていけるようにしていきます。(3、4、5、6/7時間)

調べ方のくふう ーICTを活用してー

実際に工場見学に行けない場合は、1人1台端末を活用してNHK for Schoolやトヨタ自動車のホームぺージである「クルマこどもサイト」などでバーチャル工場見学や調べ学習を進めていくことができる。特に組立工場の仕組みは手元で動画などで確認することで、より実感的に捉えることができる。

  


3時間目 
自動車を組み立てる工場について調べる。

どのようにして工場で自動車はつくられているのかを見てみよう!

NHK for School クリップ動画「自動車ができるまで」

トヨタ自動車 クルマこどもサイト

自動車は1つのラインに沿って流れ作業で組み立てられていくんだね!

熱を使ったり、重いものを運んだりと、人にとっては危ない仕事などは機械が行っているんだね。

車の色やシートの生地など、買う人の好みに合わせてつくるんだよ。およそ1万通りもあると言われているんだよ。

そんなにパターンがあるんだね! 1台1台違うんだ。組み立てている人は間違わないのかなあ。何か工夫があるのかな?

組立工場には注文をわかりやすくする工夫など、さまざまな工夫がされているんだよ。

アンドンのイラスト
指示票のイラスト
らくらくシートのイラスト

工場には安全に正確に組み立てるための工夫がたくさんあるんだね!


4時間目 
関連工場について調べる。

イラスト/(資)イラストメーカーズ

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