学級活動で取り組む「学級文集づくり」の進め方
1年の思い出に、学級文集づくりに挑戦してみましょう。どんな内容のページにするのかを学級活動でしっかりと話し合ってから、文集づくりに取り組みます。
執筆/大阪府公立小学校教諭・崔真希
目次
学級活動で話し合う
学級文集とはいっても、子どもたちに経験がないと文集のイメージがわきにくいと思います。教師がある程度の提案をしたり、先輩の先生に相談して実物を借りて、子どもたちの参考に提示したりするのも手です。
また、全員が何らかの担当になるように役割分担を決めましょう。自分たちの手でつくり上げていく喜びをクラス全員で共有することができます。この経験が6年生の卒業文集に活かされます。
まず、どのような文章にしたいかを話し合います。話合いの柱は次の2点にするとよいでしょう。
話合いの柱
①文集の内容(コーナー)
②役割分担(担当)
文集の内容(コーナー)を考えよう
事前にどんな内容を入れたいか、アンケートをとっておきます。少数であっても、「それいいね」という意見があるかもしれません。
絶対に入れたいコーナーとして、個人のページ(子どもからの提案がなければ、教師が提案)があります。楽しかったこと、 嬉しかったこと、がんばったこと、夢中になっていること、将来の夢のことなど、今の自分を等身大で残しておけるページにします。
文集の内容の例
- 表紙
- 裏表紙
- はじめのことば
- おわりのことば
- 質問コーナー
- もしもシリーズ
- なんでもベスト5
- プロフィール
- 〇年生の思い出暦
- 個人のページ
- 好きな漢字一文字
- よせがき
など
「文集づくり」と聞くと、文章を書くことが苦手な子は拒否反応を示してしまうかもしれません。「書くのが当然」ではなく、どんなことを書き残したいのかを聞き取るなど、心をかけてあげましょう。
思い出暦の例
もしもシリーズの例
役割分担(担当分け)をしよう
ここでの役割分担は、1コーナーを仕上げるということです。
細かいことで言うと、「プロフィール」や「もしもシリーズ」などでは、質問内容はもちろん、それを本人に書いてもらうのか、担当が清書するのか、似顔絵は写真にするのかイラストにするのかなど、コーナーの担当者が決定します。
また、同じような内容の質問が重なる時があります。背面黒板などに文集ゾーンを作り、進捗状況を報告できるようにするとよいでしょう。
できあがった原稿を印刷や製本する時は「印刷お助け係」を募集して、 みんなで楽しみながら作っていきましょう。
いろいろなアイディアを出そう
国語の時間に取り組んだ詩を載せたり、みんなで学級の詩をつくったりするのもいいですね。また、クラス全員からのメッセージを書いてもらうという企画にすると、自分だけの文集となり大事にするのでおすすめです。その時は、その子のよいところなどの「あったか言葉」を書くように言葉がけをしましょう。
自分の名前を書いた紙を班で回して書き、 次の班へと送っていきます。一班5分と時間を区切ると、スムーズにいきます。もし、書ききれなかった場合は、自分の名前だけ記しておき、 後で書けるようにします。
ちょっとしたイラストを募集して、文集のあちらこちらに載せたり、版画を縮小して載せたりするのも、思い出に残る文集になります。
注意したいこと&おすすめしたいこと
文集とは、記録として将来まで残るものです。いつ、だれが、どんな状況で見ても、悲しい気持ちにならないか、自虐的な表現になっていないかをチェックしましょう。
「もしもシリーズ」 での回答もきちんと見ておきます。悪乗りしているものもあるかもしれません。「10年後や同窓会の時に見ても、嬉しくなるようにしようね」と声をかけると、表現が優しくなります。そして、同じ学年の先生や管理職にも見てもらうと、さらに安心ですね。
個人のページでは、教師も子どもたちに贈るメッセージを書きましょう。教訓めいたこともいいでしょうが、一緒に過ごした1年間を振り返り、楽しかったことや嬉しかったことを語りかけるように、手紙調で書いてあげるのもよいですね。
「小四教育技術」2016年2/3月号より