【相談募集中】規律を重視することのメリットや意味を知りたいです
学級経営をするうえで、規律を重要視することに疑問を持った20代の先生から「みん教相談室」に相談が寄せられました。今回答えてくれたのは、子どもたちの自主性を引き出す斬新でユニークな実践が話題の沼田晶弘先生。なぜその規律があるのかを考えてみては? というアドバイスをこちらでシェアします。
目次
Q.規律を重視することのメリットや意味を知りたいです
規律についてご意見を教えてください。本校は、返事の仕方や、教室を移動するときには無言でなくてはならないなど、かなり、規律が統制されています。個人的にそれらは確かにありがたいし、授業をするうえでも助かっています。
しかし、教育実習の際にご指導頂いた学校は真逆で「軍隊じゃないんだから規律を求めすぎるのは良くない」「返事を同時に合わせたり、列を乱さずに歩いたりなんてことは社会人になってからは無い」
といった言葉にも当時感銘を受けました。今は、郷に入っては郷に従えで、規律を重視していますが、その本質の部分は理解できていない気がします。個人的には、実習校の考え方が合ってる気もします。しかし、これらの考え方が長らく受け継がれてきた良さもあると思います。
どうか、規律を重視することのメリットや意味を教えていただけたら幸いです。
(なかよし先生・男性・20代)
A.何のためにあって、みんなの幸せにつながっているのか考えていきましょう
ボクの学校でも規律はありますし、増えてきた部分もあります。たしかに、規律が存在しているとやりやすいと感じる先生もいると思いますし、それによってスムーズに行えることもあると思います。そして逆に、「軍隊じゃないんだから」という気持ちもよく分かります。
ただ、ここで重要なのは、"最重要の目標は子どもの学び"であるべきであって、その規律がその達成のために本当に必要なのかどうか、であるとボクは思っています。
例えば、授業中に廊下を歩く際はしゃべってはいけないという規律は、なぜしゃべってはいけないのかを考えたら、授業をしている教室があるからですよね。そうすると逆に、授業中じゃなければしゃべってもいいわけです。子どもたちにとって、「今ここは授業中の教室だな」ということに気がついて、黙る能力の方がこれからは重要です。
もしあなたが規律を重視するメリットや意味に悩むのなら、まずなぜその規律があるのか、その意味を自問自答してみたり、みんなで考えたりするのはいかがでしょうか。
また規律の中には、前年度踏襲でずっと続いてしまっているものや、今の時代では理由がよく分からなくなっているもの(例えば、ヘアスタイルや持ち物の決まりなど)もあり、ニュースでもよく取り上げられています。これに関しても、現代の基準に合わせて再評価していきたいです。
そしてもしあなたが、この規律はちょっとおかしいなと感じるものがあったら、一度それを言ってみるのもいいかもしれません。実は周りの先生もあなたと同じことを感じていて、思っていたよりもスッと解決してしまうこともあるかと思います。またもし反対されてしまっても、その理由を教えてもらったり、それについて一緒に考えてみるのもいいのではないでしょうか。もしかしたら規律があったほうがやりやすいという先生たちに話す場合は、"新しい規律"として提案する方が受け入れられやすい、なんてこともあるかもしれません。
規律はたしかに「最低限」を整えるためにはとても便利で、あると楽なものです。ただし、これからはどうやってより上をめざしていくかの時代で、規律自体も、その場所、状況、時代で変化していっていいはず。迷ったときは、本当にその規律が子どもたちの学びにつながるのか、必要なのかをまず考えていけたら良いですね。
取材・文/やまだまい
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。