どんな仕組みか知ってる?コミュニティ・スクール~シリーズ「実践教育法規」~

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田中博之

教育に関する法令や制度に詳しい早稲田大学教職大学院・田中博之教授監修のもと、教育にまつわる法律や制度を分かりやすく解説していく本連載。第15回は「コミュニティ・スクール」について。あなたの学校の運営には、地域住民や保護者は関わっていますか?

学校と関係者たちのイラスト

執筆/大野 裕己(兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授)
監修/田中 博之(早稲田大学教職大学院教授)

【連載】実践教育法規#15

地教行法改正により導入

「コミュニティ・スクール」は、本来的には、教育活動の展開と関わって近隣地域のヒト・モノ・コトと関係の深い学校のすがたを指す語として用いられてきました。しかし、2000年代の学校改革(地域の実情に応じた特色ある教育活動・学校づくり)を通じて、学校経営への保護者・地域住民の意見反映/参加の制度化が推進されたことに伴い、現在「コミュニティ・スクール」は、そうした参加制度の一形態「学校運営協議会」を設置する学校の通称としても用いられています。

「学校運営協議会」とは、2004年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)改正により導入された、保護者・地域住民が一定の権限のもとに公立学校の運営に参画する合議制の機関です。教育委員会には、所管する学校ごとに学校運営協議会を設置する努力義務が課されています(同法第47条の5第1項、ただし必要がある場合、2校以上で1つ設置することも可能)。学校運営協議会の委員は、次の中から教育委員会が任命します。このとき当該校の校長は、任命に関する意見の申し出が可能となっています。

①当該校の所在地域の住民
②当該校の在籍児童等の保護者
③当該校の地域学校協働活動推進員、その他当該校の運営に資する活動を行う者
④その他教育委員会が必要と認める者(例えば当該校の校長・教職員、教育委員会事務局職員等も委員となりうる)

学校運営協議会の主たる目的は、当該校の運営及びそのために必要な支援についての協議と定められています。これと関わって地教行法は、学校運営協議会に対して次の権限を付与しています。

①校長が作成する学校運営の基本方針を承認すること
②当該校の運営について教育委員会(設置者)に意見を述べること
③当該校の教職員の任用について教育委員会又は校長に意見を述べること(任命権者の教育委員会は、この意見について尊重義務を有する)

また、以上の協議に基づいて学校と家庭・地域の連携・協力が推進されるよう、地教行法(第47条の5第5項)は学校運営協議会に対して、協議結果に関する情報提供の努力義務を課しています。この点は【せんせい虎の巻/知っておきたい教育制度 #10】の項もあわせて参照してください。

コミュニティ・スクールの仕組み
文部科学省ウェブサイト「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」を参考に作成

設置の努力義務化

学校運営協議会制度は、2004年地教行法改正時には、学校の管理運営への直接的な参加制度導入(学校裁量拡大を含む「新しいタイプの公立学校」)の方向性を強調して制度化されました。しかし、その後の児童生徒の多面的な資質・能力の保障や地方創生が期待される文脈で、2017年地教行法改正により、学校運営協議会と地域学校協働活動(地域学校協働本部)の連動をより重視する制度枠組みへの修正が図られました。同時に、学校運営協議会の設置も、当初の設置者による任意設置(対象校の「指定」)から、公立学校全校への設置の努力義務に切り替えられました。

ところで日本では、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)に先立って保護者・地域住民の意見反映/参加に関する制度が導入されていました。それは、2000年学校教育法施行規則改正で導入された学校評議員制度です。この学校評議員となる者も、主に家庭・地域の関係者(当該校教職員は除外)であるため、2つの制度内容は近似しているように見えます。

ただし、学校評議員の機能は「校長の求めに応じ、学校運営に関し意見を述べることができる」(学校教育法施行規則第49条2項)と限定的であり、上述の学校運営協議会とは性質が異なります。2004年の学校運営協議会制度導入以後、両制度が併存する状況が続いてきましたが(2010年代半ばまでの学校運営協議会設置校数の増加は比較的緩やかであった)、2017年地教行法改正での設置努力義務化により、全国の公立学校での学校運営協議会設置が急速に進みつつあります。

文部科学省「令和5年度のコミュニティ・スクール及び地域学校協働活動の実施状況について」に、2023年5月時点のコミュニテイ・スクールの導入状況が掲載されています。

『実践教育法規 2023年度版』に加筆・修正

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