「保健室の先生」はあんなこともやっていた!教諭・養護教諭・栄養教諭・司書教諭・事務職員の職務~シリーズ「実践教育法規」~

連載
シリーズ「実践教育法規」
関連タグ

田中博之

教育に関する法令や制度に詳しい早稲田大学教職大学院・田中博之教授監修のもと、教育にまつわる法律や制度を分かりやすく解説していく本連載。第7回は「教諭・養護教諭・栄養教諭・司書教諭・事務職員の職務」。そもそも、「教諭」の職務は法規でどのように規定されているのでしょうか。そのほかの職員とあわせて見ていきましょう。

執筆/藤原 寿幸(横浜国立大学教職大学院准教授)
監修/田中 博之(早稲田大学教職大学院教授)

【連載】実践教育法規#7

教諭とは

「児童の教育をつかさどる」(学校教育法第37条11項)とあるように、その職務は授業を中心に児童生徒に対する教育を行うことです。児童生徒に直接的に関わる教育活動のほか、保護者対応や学校の管理運営上必要とされる校務分掌も担当します。教務主任・学年主任などの主任に充てられ、その職務を担うこともあります。

養護教諭とは

「児童の養護をつかさどる」(学校教育法第37条12項)とあるように、児童生徒の心身の健康に関する事項に携わることを職務としています。また、原則として置かなければならないとされています。

主な職務は、学校保健情報の把握、保健指導・保健学習、救急処置及び救急体制、健康相談活動、健康診断・健康相談、学校環境衛生の実施、学校保健に関する各種計画・活動及びそれらの運営への参画、感染症の予防、保健室の運営等です。

学校保健安全法第9条では、養護教諭を中心に児童生徒の心身の状況を把握・指導するとともに、保護者に対して必要な助言をすることとされています。特に近年は「新型コロナ」に対する対策として、養護教諭の感染症予防が重要となりました。

栄養教諭とは

職務は、「児童の栄養の指導及び管理をつかさどる」(学校教育法第37条13項)とあるように、給食の栄養・衛生管理、食育を行うことであり、栄養に関する専門性だけでなく教育に関する資質も必要となります。

栄養教諭制度の概要」(文部科学省資料)では、栄養教諭の職務について⑴「食に関する指導」として①肥満、偏食、食物アレルギーなどの児童生徒に対する個別指導、②学級活動、教科、学校行事等の時間に、学級担任等と連携して、集団的な食に関する指導、③教職員や家庭・地域と連携した食に関する指導を推進するための連絡・調整の3つが挙げられています。また、⑵「学校給食の管理」として栄養管理、衛生管理、検食、物資管理等が挙げられています。2005年度に制度化されましたが、必置の職ではなく、学校設置者の判断となっています。現在も学校栄養職員のみを配置する自治体もありますが、食育のスペシャリストである栄養教諭への任用替えにシフトしている自治体もあります。

司書教諭とは

学校図書館法第5条1項では、「学校には、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない」と定められています。2003年以降、12学級以上の規模の学校では必置の職となっています。

学校図書館ガイドライン(文部科学省、2016)では職務について、「学校図書館の専門的職務をつかさどり、学校図書館の運営に関する総括、学校経営方針・計画等に基づいた学校図書館を活用した教育活動の企画・実施、年間読書指導計画・年間情報活用指導計画の立案、学校図書館に関する業務の連絡調整等に従事するよう努めること」、さらに、「学校図書館を活用した授業を実践するとともに、学校図書館を活用した授業における教育指導法や情報活用能力の育成等について積極的に他の教員に助言するよう努めること」と示されています。

事務職員とは

「事務をつかさどる」(学校教育法第37条14項)とあるように、学校の事務に関する職務を行います。中等教育学校、高等学校では必置の職です。学校の管理運営の全般にわたる諸種の事務に従事するものであり、庶務・人事・会計など多岐にわたる職務を担いつつ、教務関係等学校運営業務にも携わり、職務内容が多様化しています。職務については自治体ごとに作成する「職務標準表」において示されますが、標準表の制定有無等や職務内容も自治体により異なります。

参考文献
勝野正章・窪田眞二・今野健一・中嶋哲彦・野村武司『教育小六法2023 年版』(学陽書房)
窪田眞二・澤田千秋『学校の法律がこれ1冊でわかる 教育法規便覧 令和5年版』(学陽書房)
坂田仰・黒川雅子・河内祥子・山田知代『新訂第4版 図解・表解教育法規』(教育開発研究所)

『実践教育法規 2023年度版』に加筆・修正

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
シリーズ「実践教育法規」
関連タグ

教師の学びの記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました