【相談募集中】副担任としていじめを止める方法を知りたい

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元札幌市立小学校長

佐藤裕三

学級内でいじめが起こっていて、なんとかそれを止めたいと悩んでいる先生からの相談が、みん教相談室に寄せられました。ここでは、元札幌市立小学校長・佐藤裕三先生からのアドバイスをお届けします。

悲しい表情をした子供
イラストAC

Q.副担任として、いじめを止められる方法はないのでしょうか

6年生の副担任です。クラスでは、いじめが起こっています。ものを隠したり、壊したりも当たり前。許可なく人の写真をとり、顔面偏差値診断、という感じのサイトに使用したり、障害持ちの生徒にいじめをしたりしています。

担任は見て見ぬふりで、小6なのだから自分で解決させようという考えです。しかし、いじめられている子の親に様子をうかがったところ、いつも「死にたい」「何で私を産んだの?」など言っているようです。塞ぎ込みがちにもなっています。食欲もあまりなさそうです。

担任はコミュニケーションを取ることがほとんどなく、親からもあまりよく思われていないようです。頼れる人は他クラスの担任の先生、そして私、ネット上の友達だけだと本人にいわれました。観察していると、その子はいつも誰もいないところで泣いています。

どうにか彼女を救う、いじめを止める方法はないのでしょうか?

(Lairu.先生・30代女性)

A.いじめの問題は、組織で取り組むことが大切です

ご相談の内容を拝見した限りでは、既に担任によるいじめ対応の域を越えているように思われます。

各学校では、「いじめ防止対策推進法」の規定に基づき「いじめ防止基本方針」が作成されており、いじめが疑われる事案が発生した場合は、その方針に基づき学校としての対応をとることになっています。担任が個々に対応するのではなく、組織としていじめの解決と再発防止に向けて動くわけです。

いじめの防止等のための基本的な方針(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20240329-mext_jidou02-000034502_006.pdf

危機管理意識の高い学校であれば、Lairu.先生が管理職や関係の先生に懸念を伝えることで、まず複数の職員がかかわって担任および関係児童への聞き取りといじめられている子の安全確保の手立てがとられ、次に集まった情報に基づいて、いじめ対策委員会のような場で具体的な対応策を検討するという流れになるでしょう。

ただ、場合によっては管理職が担任に少し話を聞いただけで終わってしまう、あるいは「もう少し様子を見守ろう」などと先送りされてしまうようなことがあるかもしれません。そうならないようにするには、懸念を伝える人、アラームを発する人が何人もいたほうがいいでしょう。

学年主任が他のクラスの先生ならば主任に相談してみる。養護教諭や専科の先生がクラスのことをよく見ている場合もあります。もし保護者がスクールカウンセラーに相談する機会があるのなら、保護者の了解を得てカウンセラーから管理職に伝えてもらうこともありでしょう。

いじめの兆候を見逃さず、より多くの人が問題に気付くようにすること、その気付きを学校としての動きにつなげることが大切です。

いじめられているお子さんの傍らに、Lairu.先生のようになんとかしてやりたいと悩む職員がいたというこの幸運を逃さずに、解決の道を見つけることができるよう願っています。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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