Googleフォームは理科の授業でも使える! 【理科の壺】
Googleの各種アプリを使っている学校も多いと思います。ただ、「便利に使えるとは思うのだけど、具体的にどう使えばいいのだろう?」とお考えの方も多いのではないでしょうか。今回はGoogleフォームの理科での活用についてです。アンケート機能をどのように駆使できるのか考えてみましょう。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような “ツボ” が見られるでしょうか?
執筆/滋賀県公立小学校教諭・堀 道雄
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓
Googleフォームは理科の授業でも活用できる
Googleフォームはアンケート用アプリの定番として最近よく使われていますが、理科の授業のツールとしても活用することができます。観察や実験において、子どもたちの予想や考察などの意見を集約したり、実験結果の整理をしたりと、問題解決の過程の中の様々な場面で活用することができるのです。
本稿では、Googleフォームの簡単な作り方、そして私が実践した事例を紹介したいと思います。
1.Googleフォームを作成するには…
Googleフォームを使うには、Googleアカウントの作成が必須です。まずは、Googleアカウントを作成しましょう。Googleアカウントが作成できたらGoogleドライブを開き、Googleフォームを新規作成します。具体的な手順は、インターネットにもたくさんマニュアルがあるのでそちらをご参照ください(例:Googleのサイト https://support.google.com/a/users/answer/9303071?hl=ja)。
授業で子どもたちの意見を集約するなら「段落(記述式テキスト長文回答)」で文章を書き込めるようにします。
いくつかの選択肢の中から、自分に近い意見を選ばせたいときは、「ラジオボタン」で選択項目を作成し選べるようにします。
その他、画像を子どもがアップロードしたり、実験結果を数値として書き込んだり、と用途に応じてアレンジが可能です。まずはいろいろ試してみることをおススメします。
2.Googleフォームに予想とその根拠を入力する
第3学年「ものと重さ」の学習で、「同じ体積でも物の種類が違うと,重さは違うのだろうか」という問題を見いだすところでの活用方法です。
この問題については、全員の児童が「重さは違うはず」という考えでした。
そこで、プラスチック、ゴム、鉄、木、アルミニウムがどのような順で重いかを予想しました。
児童それぞれが、どのような順になるかを予想し、その予想をGoogleフォームに入力できるようにしました。
フォームに入力をすると、すぐにグラフで結果を共有することができます。それが以下のような円グラフです。このグラフから、大多数の児童が、鉄が最も重いであろうと予想していることが一目瞭然で分かります。
また、それぞれの児童が「なぜそのように考えたか」という根拠を入力できる欄を設け、スプレッドシートで集約した根拠を示しました。
このように、Googleフォームを使うと児童のそれぞれの意見を集約することができ、考えを交流する時間につなげることができます。
3.Googleフォームで結果を整理する
第5学年「てこの規則性」の学習で、物干しざお等を使い、てこの原理で重いものを持ち上げる実験を行います。児童それぞれが「その手ごたえをどう感じたか?」ということを全員で共有できるようにするため、以下のようなフォームを作成しました。
重りは作用点のいちばん端に。支点を10センチずつ力点の方に動かしては、その手応えを入力していきます。
このフォームは学級全員に配信し、それぞれが実験をした手ごたえについて「軽い」「ふつう」「重い」を選択します。一人一人の重さの感じ方が違うため、全員の結果を共有して、全体としての傾向を見る必要があります。
Googleフォームでは、簡易のグラフ(下図上)とスプレッドシート(下図下)で結果をまとめることができるため、その機能を生かして、全員の手ごたえの傾向を確かめました。なお、スプレッドシートの結果については、視覚的に区別できるように色分けをしています。
このように、実験結果を整理するときにGoogleフォームを使うと、感覚的に傾向をつかむことができるようになり、考察に分かりやすさを加味することができます。
Googleフォームを活用することによって、問題解決の過程のそれぞれの場面において、簡単かつ素早く意見や結果を集約することができ、しかも視覚的に分かりやすく共有することができます。ぜひ、積極的にGoogleフォームを理科の授業で活用してはいかがでしょうか。
イラスト/難波孝
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<執筆者プロフィール>
堀 道雄●ほり・みちお 滋賀県公立小学校教諭。県小学校理科部会事務局の研究推進委員として、県内の小学校理科の指導力向上に携わっている。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、小学校理科教科書著作編集委員などを経験し、教員をしながら博士号(学校教育学)を取得。令和5年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。共著『よくわかるSTEAM教育の基礎と実例』(講談社)などの書籍も執筆している。
<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部 教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。