年度末・学期末の掃除の最終チェック項目! ~きれいな教室で気持ちよくスタートを切ろう~
年度末や学期末の大切な仕事の1つに、教室の掃除があります。これまでお世話になった教室をすみずみまできれいにして、次年度に使う先生や子どもたちに気持ちよく引継いだり、新学期に新しい気持ちでスタートを切ったりしたいですよね。普段はきれい好きとは言えない先生でも、この時ばかりは、気合いを入れて清掃活動に取り組みたいもの。また、新学期前の確認として、担任する教室を確認する際にもチェックしておきたいですね。
そこで今回は、かゆいところに手がとどく「年度末の教室掃除の最終チェック項目」を紹介いたします!
【連載】松下隼司の笑って!!エヴリディ
目次
ずぼらな先生にこそオススメ!「年度末の教室掃除 最終チェック項目」
ある年、次年度の担任や校務分掌の発表が、3学期の修了式の日にありました。そして、次年度のことばかりを意識してしまった私は、1年間使った教室の掃除が完璧に終わったかの確認を怠ってしまったのです。学級開きや授業の準備、行事の計画など、次年度の校務分掌の仕事を始めてしまいました。
「終わり良ければ総て良し」「立つ鳥跡を濁さず」「有終の美」「来た時よりも美しく」などの言葉を子どもたちに伝えて指導してきたのに!
新年度になった4月、私が1年間使った教室を使うことになった先生に、
「松下先生、ここが汚いです」
と注意されてしまいました。立つ鳥跡を濁しまくりです。気持ちよく1年間をスタートしようと思って教室に入った先生の気持ちを害してしまいました。
私は、整理整頓が苦手で、ずぼらなところ、いい加減なところがあります。そこで、「年度末の教室掃除の最終チェック項目」をつくるようになりました。
- ごみ箱の袋の中に、ごみが入ったままになっていないか
- ごみ箱の中に、新しい予備のごみ袋が入っているか
- ごみ箱の底が、細かなごみで汚れていないか
- 鉛筆削り器や、穴あけパンチのごみを捨てているか
- 電子黒板(テレビ)の裏側のほこりを拭き取っているか
- リモコンのほこりを拭き取っているか
- チョーク入れに新品のチョークを補充しているか
- 扇風機にビニール袋を被せているか
- 給食台の台以外のところも拭いているか
- 黒板の上や、エアコンの電源パネルの上のほこりを拭き取っているか
- 教師用の椅子の脚を拭いているか
- 1人1台端末の保管庫の中のほこりを拭き取っているか
- 手洗い場の汚れを拭き取っているか
- 廊下の窓をきれいに拭いているか
- 汚い雑巾がかかったままになっていないか
1.ごみ箱の袋の中に、ごみが入ったままになっていないか
もし、自分が新しい教室に入ってごみ箱を見たとき、紙ごみなどが入っていたらどう思われますか? 私だったら、「あれ? ごみ箱ぐらいきれいにしていってよ~」と思ってしまいます。(自分を棚に上げていたとしても、感じてしまうと思います……。人に厳しく、自分に甘くなってしまわないようにお互い気をつけましょう! 相手意識が大切です)
2.ごみ箱の中に、新しい予備のごみ袋が入っているか
ごみ袋を被せたごみ箱の底には、予備のごみ袋をセットしておきましょう。それだけで、ごみ箱を使う先生の負担が減ります。
もし、ごみ箱に予備の新しいごみ袋が入っていなかったら、ごみ袋をわざわざ職員室に取りに行くことになります。面倒くさくないですか?(私だったら、とても面倒くさく感じます。「もぅ! 予備ぐらい入れといて!」と思ってしまいます。自分は予備を入れるようにしていないにも関わらずです……)
3.ごみ箱の底が、細かなごみで汚れていないか
ごみ箱の底に、鉛筆の削りかすやほこりなどのごみが意外と残っていることがあります。ウェットティッシュなどできれいに拭きとっておきましょう。
4.鉛筆の削り器や、穴あけパンチのごみを捨てているか
きれい好きで几帳面な先生に、
「新年度、新しく1年間使うことになった教室の掃除がちゃんとされているか、チェックしますか?」
と、どストライクな質問をしたことがあります。
すると、
「正直、するよ」
と教えてくれました。
詳しく教えてもらったところ、チェックするのは、「鉛筆削り器と穴あけパンチにごみが入ったままになっていないか」でした。
5.電子黒板(テレビ)の裏側のほこりを拭き取っているか
電子黒板(テレビ)の裏側は、ほこりがたまりやすいです。しかも黒色なので、ほこりが目立ちやすいのです。新年度、電子黒板の場所を変更しようとした先生の手や服が汚れてしまうかもしれません。見えないところだからと気を抜かずに、拭き掃除をすることをおすすめします。
6.リモコンのほこりを拭き取っているか
教室には、さまざまなリモコンがあるかと思います。上の写真は、左がCDデッキ、右がテレビのリモコンです。他にも扇風機のリモコンなどもあるかもしれません。
リモコンのボタンの隙間には、1年間分のほこりがたまっています。(そうならないように引き出しに入れておいたり、縦置きで保管したりしておくことをおすすめします)。ほこりが見えたら、ティッシュなどで拭き取っておきましょう。
また、リモコンの電池も交換しておきましょう。新年度が始まってすぐに電池切れでリモコンが使えなかったら残念に思うものです。
7.チョーク入れに新品のチョークを補充しているか
新年度、自分の教室の黒板にあるチョーク入れを見て、上の写真のようだったらどう思われますか? 悲しい気持ちになりますね。
チョーク入れは、いったんチョークを全部取り出し、水洗いします。ティッシュで水気を拭き取って、新品のチョークを補充しておきましょう。補充するチョークの色は、白色と黄色を多めで、赤色は1~2本でいいと思います。
年度末の教室掃除は、全て空っぽにすればいいという訳ではありません。前述したごみ袋と同じです。次に教室を使う先生の手間をかけないように、チョークのストックも置いておきましょう。
8.扇風機にビニール袋を被せているか
教室の扇風機やエアコンのフィルターは、学校によっては管理作業員さんが掃除してくれるかもしれません。せっかく掃除してもらってもそのままにしておけば、ほこりがたまります。しばらく経って扇風機を回したら、そのほこりを吹き飛ばしてしまうことになります。そうならないように、ビニール袋(20Lのごみ袋)を扇風機に被せておきましょう。
9.給食台の台以外のところも拭いているか
年度末の給食台の掃除では、台だけでなく、他の部分もきれいに拭いておきましょう。給食のおかずやご飯粒がついたままになっていないか、チェックしましょう。ほこりも目立ちやすいので、きれいに拭き取っておきましょう。
10.黒板の上や、エアコンの電源パネルの上のほこりを拭き取っているか
下の写真は、黒板の上と、電源パネルと内線電話の写真です。こういった細かなところまできれいにほこりを拭き取っておくと、新しく教室を使う先生も気持ちがいいものです。
ほこりは、すぐにたまります。ただ、1年間たまったほこりか、年度末に拭き取って新しくたまったほこりぐらいかは、簡単に分かってしまいます。
11.教師用の椅子の脚を拭いているか
床に近いところほど、普段の掃き掃除で舞い上がったほこりがたまりやすくなります。ウェットティッシュで拭き取っておきましょう。
12.1人1台端末の保管庫の中のほこりを拭き取っているか
1人1台端末の保管庫も、椅子の脚と同じで、上の段より下の段の方がほこりがたまりやすくなります。仕切りごとの間隔は狭いので手が入りにくく、ウェットティッシュではほこりを拭き取るのが困難です。そこで、子帚(こぼうき)でほこりを掃き出しましょう。機器にほこりがかかってしまわないよう、パソコンは別の場所に移動させてから掃除をします。
13.手洗い場の汚れを拭き取っているか
図工や書写の片づけでよく使う手洗い場があるかと思います。その手洗い場や近辺の壁に、絵の具や墨汁がついたままになっていませんか?(私はよくあります…)
また、手洗い場に水滴の跡が残ったままになっていたら、きれいに拭き取ってください。銀色の輝きが戻り、ピカピカになって気持ちいいですよ♪
14.廊下の窓はきれいに拭いているか
窓の拭き掃除で意外と見落としてしまうのが、廊下の窓です。
教室内にある窓は桟(さん)もきれいに拭くかと思いますが、教室前の廊下の桟(さん)が汚いままになっていませんか? きちんとした先生は、こういったところも確認されています。
15.汚い雑巾がかかったままになっていないか
以前、年度末の掃除で汚くなった雑巾を、そのままにしてしまった年がありました。また、汚くなった雑巾は捨てたけれど、雑巾をかけるところに雑巾が1枚もないままにしてしまった年もあります。
新年度、新しい教室に行くと、新品の雑巾がかかっているのを見たときは、自分のことしか考えていないことに気づきました。そして、新品の雑巾をかけてくださった先生の心遣いに感動しました……!
年度末の掃除に関して、15個のチェック項目を紹介させていただきました。
他にも気になることがあるかと思いますので、先生方の学校に合わせて使っていただければ嬉しいです。私も毎年、チェック項目をバージョンアップしながら、更新しています。
そして、このチェック項目を使う際の大切な視点があります。自戒を込めて書きます。それは、まわりの先生にこのチェック項目を強要しないことです。
新年度、新しく使う教室に行った際、汚いところがあっても寛容でありたいものです。「自分に厳しく、人に優しく」の精神です。
そして何より、自分はしっかりと掃除をしていると思っていても、几帳面な先生から見たら、足りないところがあるはずだからです。自分自身の掃除忘れもきっと見逃してもらっているからです。
自分はできていると自信をもっていて、実はできていなかったということほど、恥ずかしいことはありません。(私はその恥ずかしい思いをしたことがあります……)
松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。
イラスト/したらみ 横井智美