ネット利用【わかる!教育ニュース#43】
先生だったら知っておきたい、様々な教育ニュースについて解説します。連載第43回のテーマは「ネット利用」です。
目次
小学生が平日1日にネットを利用する平均時間は3時間46分
日ごとに進歩していると言っても過言ではない、ICTの世界。技術の進歩とともに、インターネットとの向き合い方も変化しているかもしれません。
小中高校生の98.7%がネットを使っていることが、こども家庭庁の2023年度調査で分かりました(参照データ)。前年度より0.2ポイント伸び、ほとんど全員の状態です。
調査は毎年行っていて、今回は2023年11~12月に実施。10~17歳の3279人とその保護者3322人、0~9歳の子がいる保護者2160人の回答をまとめました。
利用率を学校種ごとに見ると、小学生が98.2%、中学生は98.6%、高校生で99.6%と、さほど違いはありません。6~9歳の小学生でも、90.0%に上ります。
平日1日の平均利用時間も、前回を約16分上回る4時間57分。小学生は3時間46分で、中学生(4時間42分)や高校生(6時間14分)に比べれば少ないものの、年々長くなっています。
利用する機器はスマートフォン(74.3%)が最多ですが、次に挙がったのはGIGAスクール構想で導入された学習者用端末(69.7%)。21年から調査対象のGIGA端末は、小中高いずれも年々伸びて、特に小学生は73.6%と中高生を上回っています。学校で配付や指定された端末だけに、用途で最も多いのは、勉強(80.7%)。一方、全機器だと最多は動画を見る(93.6%)でした。
スマホの保護者などとの共用の分かれ目は10歳
最も使われているスマホ。91.9%が「自分専用」で、小学生でも70.4%、高校生になると99.3%に上ります。0歳から見ていくと、保護者などとの共用の分かれ目は10歳。9歳だと専用は36.6%で共用のほうが多いのですが、10歳で65.2%と逆転します。
自分専用スマホを手にする子が多いけれど、依存症やトラブル対策が十分かは疑問です。ネット利用に関し、家庭でルールがあるのは65.3%。小学生は82.5%ですが、高校生だと41.9%に落ちます。興味深いのは、小中高校生いずれも「ルールがある」と考えるのは、子供より保護者のほうが多いこと。親子間の認識の差は、小学生で7.5ポイント、高校生だと16.6ポイントまで広がっています。
利用を巡る保護者の管理で最も多いのはフィルタリングで、44.2%。他に、使う時間や場所を決める、対象年齢に合ったサービスやアプリを使わせるなどが上位です。ただ今回、何らかの管理をしている保護者は83.4%で、ここ4回の調査で最少でした。
ネットは今や、生活にも仕事にも、欠かせないものになりました。依存症やトラブルへの危惧も、薄れているのかもしれません。それでも、ネットを介した子供の被害は絶えません。生まれたときからネットが当たり前にそばにある世代が増えていくからこそ、幼い頃から適切な使い方を教える必要があります。
【わかる! 教育ニュース】次回は、3月30日公開予定です。
執筆/東京新聞記者・中澤佳子