小2国語科「すてきなところをつたえよう」板書例&全時間の指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小2国語科「すてきなところをつたえよう」(光村図書)の板書例、発問、想定される児童の発言、ワークシート例、1人1台端末の活用例等、全時間の授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/京都府京都市総合教育センター指導室指導主事・吉田夏紀
執筆/京都府京都市立御所南小中学校・塩見美穂
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、2年生での1年間の経験を振り返り、友達のすてきなところを見つけ、手紙を書いて伝えます。その際、伝えたいことを明確にして、まとまりが分かるように書き表し方を工夫します。
また、手紙に書く文章を読み返し、間違いを正したり、語と語や文と文との続き方を確かめたりする力を育てていきます。手紙を受け取った相手に喜んでもらえるように、自分の考えを明確にして、整った文字で仕上げるようにしましょう。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
本単元では、思いを伝える手紙を書くことを言語活動とします。
2年生での学校生活を振り返り、友達の「すてきなところ」や「がんばっているところ」を見つけて手紙で伝えたいという思いや意欲がもてるようにしましょう。
「手紙」を書くことを通して、友達のここがすてきだなという「自分の考え」と「そう感じた場面」などのまとまりが分かるように書いたり、友達のすてきなところとそう感じた場面が分かるように書けたか、語と語、文と文のつながりはどうか、文章を読み返して推敲したりできるようにします。
また、本単元では、手紙を書くことを中心としながらも、返事を書くところまでを単元の学習として位置付けます。相手への思いを言葉にして届けることや、自分への手紙や返事という形で思いが届く喜びを感じ、書くことのよさや意義が実感できるように指導していきましょう。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉
本単元では、学級の友達に手紙を書くという言語活動を位置付けています。
伝える相手を学級の友達にすることで、共に過ごした日々を振り返り、友達のよいところや得意なことを伝えるという目的をもつことで「書きたい」という学習意欲を高められるようにします。
そのために、単元の導入ではこれまでに手紙をもらった経験や、2年下巻「お手紙」を振り返り、手紙のよさを確認しましょう。
手紙に書く内容は「あなたのすてきなところ」という、もらってうれしい内容を設定します。
手紙を送る相手が喜ぶ顔を思い浮かべながら、自分の伝えたい事柄を選んでいきましょう。
そして、内容ごとにまとまりを作ったり、書いた文書を読み返したりできるようにしましょう。
〈対話的な学び〉
本単元で育成する資質・能力である「記述」や「推敲」の場面で、書きたいことはあるけれど「手紙」にするにはどうしたらよいのだろう、この文で伝わるかな、下書きを書いたけれど読んで分かるかなというように子供たちが試行錯誤する場面が強く表れるでしょう。
そのときに、友達や学級全体での対話を通して解決していくことが有効です。対話を通して伝えたいことを確かにしたり、記述・推敲したりできるようにするとよいでしょう。
〈深い学び〉
本単元は、児童の生活の中で希薄になりがちな「手紙をやりとりする楽しさ」を体験できる価値ある単元です。手紙を書いて相手に思いを伝える、そして、その相手から返事が来るという活動を設定することで、文章で自分の考えや思いを相手に伝えることができた、思いが伝わったという達成感をもてるようにし、実生活における書くことの活動の意欲につなげていきましょう。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
(1)相手に伝えたいことを集めたり整理したりするために
友達のよいところを書き出す際、1人1台端末の学習ソフトのカードに記入していくのもよいでしょう。その際、紙の付箋と学習ソフトのカードの色をそろえることで、紙の付箋を使っている児童もデジタルのカードを使っている児童も、今、どんな情報を書き出しているのかが分かるようにするとよいでしょう。
(2)下書きしたり推敲したりするときに
文章を書くときや推敲するときには、追記や削除が容易にできるICTを活用することが効果的、効率的な場合があります。2年生でタイピングが可能な場合や、ひらがなキーボード機能が活用できる場合は、児童の実態に合わせて個別最適に1人1台端末で下書きを書くことも考えられます。
6. 単元の展開(9時間扱い)
単元名: 思いをつたえる手紙を書こう
【主な学習活動】
・第一次(1時)
① 学級の友達のすてきなところを手紙に書いて伝えるという学習の見通しをもつ。
・第二次(2時、3時、4時、5時、6時、7時)
② 友達に伝えたいすてきなところとすてきだと感じたときのことを思い出してカードに書く。
③ 手紙の書き方の工夫について知り、書きたいことを整理する。
④⑤ 内容ごとにまとまりを作り、手紙の下書きをする。
⑥⑦ 下書きを推敲し、清書する。
・第三次(8時、9時)
⑧ 友達からの手紙を読み、返事を書く。
⑨ 返事を読み、これまでの学習を振り返って、手紙を書くよさやこれから手紙を書くときにいかしたいことなどをまとめる。
板書例と全時間の指導アイデア
● 主体的な学びに向けて
子供たちは、2年生の1年間を共に過ごしてきた学級の友達とたくさんの経験をし、思い出を残してきたことでしょう。ここでは、学級の友達のすてきなところを手紙に書いて伝えるため、手紙を書いて思いを伝えたいという意欲を大切に学習を進めていくことが重要です。
その際、留意しなければいけないことは、誰もが手紙をもらえるように環境を整えることです。仲のよい友達や普段からよく話す人に対しては、手紙に書く内容が見つけやすいものですが、そうした相手に対して書くだけでなく、隣の席の友達を意識したり、グループ内で複数人と手紙をやり取りしたりするなど、学級の実態に応じて書く相手を調整することが必要です。
誰が誰に手紙を書くのかをはっきりとさせ、全員が安心して取り組むことができるように環境を整えましょう。
単元の導入からその条件を知り、手紙を書く内容を考え、1年の思い出を振り返りながら、手紙を送る友達のよいところを思い出していくことが大切です。行事の写真などを提示して、具体的に想像できるとよいでしょう。
まずは1年間を振り返り、友達と共に様々なことを経験したり、友達のよいところを見つけたりしたことから手紙を書く意欲がもてるように話し合いましょう。
もうすぐ2年生が終わりますね。2年生の1年間をクラスの友達と過ごしてみて、どうでしたか。
1年間一緒に過ごしてきた友達と、もうすぐ違うクラスになっちゃうから寂しいね。
イラスト/横井智美