職員会議で光る! 議論を捗らせる教員の発言術

職員会議は、学校の運営や教育活動を円滑に進めるために欠かせない場です。しかし、活発な意見のやり取りがなかったり、誰かの一方的な発言を聞くだけだったりして、建設的な議論をする場になっていないと感じることも多くありませんか? 児童たちに主体的で対話的な学び合いを進める一方で、その指導をする側の実態は、あまりにもかけ離れているのでは…。闊達な意見交流がある会議ほど早く終わり、そして実りあるものとなります。そのための方法を考えていきましょう。
【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

目次
職員会議のNG話し方5例
うまく回っていない職員会議で、その様子を客観的に観察してみると、このような5つの元凶があるように思われます。
NG① 校長を無視
「校長せんせいは○○とおっしゃいましたが、わたしは反対です」
「本校には○○という方針がありますが、わたしの意見を言います。こんな考え方だから、本校の児童は育たないんです」
NGポイント 職員会議は、校長の意図を理解し、校長の意思をくみながら、自分の考えを述べ、合意形成を図るものでなければなりません。また、一度決まったことに対して、後々まで反対の説を唱えるのは避けたいです。
NG② やけに話が長い
「この提案に関しては、令和5年12月1日に原案を構想して、教頭せんせいのご指導を得て企画をつくり、令和5年12月10日の部会から検討し、まとめてきました。この行事のねらいについては、大事なことなので、読みますね。ねらい、その①………。」
NGポイント 各人にとっては意味のないような、細かな事実を省略しない。事実と、個人の感想や意見をごちゃ混ぜにしてしまう。そして、各人が黙読すれば済む資料をわざわざ音読する。こうした、やけに長い話のせいで、全員の大切な時間が奪われてしまいます。
NG③ 何を言ってるか分からない
「本校の教育目標は、学習者の自己実現を促進するとともに、社会的共生に貢献できる人材の育成を目指しています。そのためには、学習指導要領に沿ったカリキュラムマネジメントを徹底し、メタ認知の力を付けつつ教育課程の総合的な評価を行うことを必要としています」
「わたしたちが目指す授業プロセスにおいて、コグニティブなアセスメントを適切に展開し、ディファレンシエーションを図ることで、リテラシーの習得を最大化する方策を探求していくべきです」
NGポイント 横文字や専門用語をたくさん使って話す人がいます。言い回しも難解で、何を言っているのか分からないので、協議しようにも論点が見えません。どんな相手にでも、自分の主張を分かりやすく伝えられることは教員の大事な資質です。この人が教壇に立ち、児童にどんな指導をしているのか、想像するとゾッとします。
NG④ 生産性のない単なる批判
「この点について、どう考えているのですか? このまま進めても効果はないのではないですか?」
「この新しいイベントは準備に時間がかかりすぎるのではないですか?
NGポイント 質問の形での発言は積極的な議論を誘発することもありますが、自分の中で解決の方向性や糸口が見いだせそうな場合に限るべきです。質問という形に偽装した単なる批判や否定は、相手を萎縮させたり、態度を硬化させるだけです。反対したいなら、それなりの代案を用意すべきでしょう。
NG⑤ 昔の理屈を振りかざす
「わたしが新人の頃は、○○というように指導されました。ずっとそうあるべきだと思っていますが、今回の提案はそれとは全く違っています。そんなにガラッと変えていいとは思えません」
「以前のやり方でいいと思います。○○ということは、その当時全員の総意で決めたのです!」
NGポイント 社会は刻々と変化しています。5年前は大昔、という時代です。以前自分が経験したことや実行したことに固執してはいけません。時代の流れをとらえて、何をすべきなのかを協議したいですね。
こうしたNGムーブによって、他の参加者たちは、
①議論を発展させるだけの時間的・精神的な余裕を奪われる
②萎縮したり、興味を失ったりして、当事者意識をなくしてしまう
ことになってしまいます。
あなたが管理職であれば、このようなNGムーブを率先してたしなめるようにしてください。また、そうでない皆さんは、ぜひとも建設的な議論になるよう、少し勇気を出して、下の例のような良い発言をするようにチャレンジしてみましょう。