小3 国語科「漢字の広場⑤」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小3 国語科 「漢字の広場⑤」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都西東京市立田無小学校・石井康介
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
この単元では、第2学年までに学習した漢字を使い、学校生活に即した文を作る活動をすることで、第2学年までに学習した漢字を確実に定着させることをねらいとします。
教科書の挿絵にある学校生活の場面を参考にしながら、日記風に文を作り、自分なりに工夫した文脈の中で、実際に漢字を使うことを通して、文や文章の中で習った漢字を使う力も育てていきます。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
この単元では、日記をつけるように、学校での出来事を書くという活動を設定します。
教科書p64には、楽しい挿絵の中に第2学年までの配当漢字が「言葉」として配置されているため、児童は挿絵と言葉を結び付けながら、楽しんで文を作ることができます。
作った文は、友達と互いに読み合ったり、クイズとして友達と出し合ったりします。そうすることで、知らなかった言葉に出合い語彙を広げることができたり、間違った漢字や文法を指摘し合ううちに、文を整える力を高めたりすることができます。
日記は毎日つけるものです。この学習を機会に「今日から1日1文、習った漢字を使って日記を書いてみましょう」など、教師から投げかけることもできます。今回の活動だけで終わらせず、普段の生活で習った漢字を使えるように導いていくことが大切です。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 挿絵を参考にして経験を語り合いながら文を考える
教科書p64に示された挿絵から文を考えるときに、自分たちも同じような経験をしたことがないか思い出す時間を取ります。
教科書p64の挿絵はどれも、3年生が経験しそうなことを考えて描かれています。児童が「自分たちもこんなことを勉強したよ」「そういえばこの勉強をしたとき、こんなことがあったな」と語り始めたら、「そのときのことを、教科書に書かれている漢字を使って、文にして教えてくれないかな」と投げかけます。自分たちの経験を想起させることで、教科書の挿絵から文を作ることに、より主体的に取り組めるようになると考えます。
〈対話的な学び〉 クイズを作り、友達と解き合う
第2時では、自分が書いた文をクイズにして友達と解き合います。クイズは、自分で書いた文の漢字の部分を付箋で隠して作ります。
児童はクイズが大好きです。友達とクイズを楽しみながら、繰り返し漢字を書いているうちに、自然と漢字が使えるようになっていたという状況を目指します。
クイズですので、出題した側は相手が書いた漢字が正しいかどうかをよく見ることになります。はねやはらいなど、漢字の細かい部分まで注目する力も、自然と身に付けられるようになることが期待できます。
また、ときには友達が、自分が考えていたものとは違う漢字を書いてくることもあります。そのときには、書いた言葉が文脈にあっているのか、文法的に正しいかなどを二人で吟味します。こういった話合いを繰り返すことで、誤った文を整える力を育てたり、語彙を増やしたりすることができます。
〈深い学び〉国語辞典を活用し、語彙を豊かに広げていく
提示されている語句を使って文を書けるようになってくると、児童は、別の熟語や違う読みを使った文を書きたくなってきます。そのときに有効なのが国語辞典です。国語辞典を一人1冊用意して、いつでも自分が書きたい言葉について調べられるようにしておきます。
友達が書いた文の中に、知らない言葉があったときにも、国語辞典が活躍します。困ったときに辞書を引く習慣を身に付けておくと、語彙を増やすことができます。また、言葉に対する理解を深めることができます。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
(1)場面ごとに分けて提示する
教科書p64の挿絵をパソコンに取り込み、場面ごとに分けた画像にして保存します。PowerPointやGoogleスライドに画像を貼り付け、一つ一つの画像を順番に提示できるように準備しておきます。
こうすることにより、授業の初めに漢字の読み方を確認するときなどに、一つの場面だけを提示することができます。
教科書p64には、1ページの中にたくさんの言葉が提示されています。クラスの中には、どの言葉の読みを確認しているのか分からなくなってしまう児童もいると思います。場面ごとに区切った画像を提示することで、集中して学習に取り組めるようにします。
(2)作ったクイズを写真に撮り、クラスのみんなで解き合う
作ったクイズを写真に撮り、タブレット端末に保存します。画像を共有フォルダにアップすることで、クラスの全員が、お互いに作ったクイズを見られるようにします。近くの席の友達に限らず、クラス全員のクイズを一度に見ることができるので、児童はより多くのクイズにチャレンジすることができます。画像を保存しておくことで、授業時間以外にもクイズに取り組むことができます。
共有フォルダに保存する以外に、Google Jamboard等を使う方法もあります。こちらは、貼り付けた画像に対してコメントをする機能がありますので、クイズを解いた後の感想などを伝え合うことができます。
漢字を自分の力で書くことが大切ですので、クイズ自体はタブレット端末で作成するのではなく、手書きで作ることにしましょう。タブレット端末は、写真を撮ることと画像の共有のために使います。
6. 単元の展開(2時間扱い)
単元名: 漢字の広場⑤
【主な学習活動】
第1次(1時)
➀ 挿絵の中の言葉の読み方と意味を確認する。〈 端末活用(1)〉
② 例文を見て、漢字の使われ方を確かめる。
③ 例文を参考にして、学校での出来事を紹介する文を書く。
第2次(2時)
➀ 学校での出来事を紹介する文を書き、その文をクイズにする。
➁ クイズを写真に撮り、共有フォルダに保存する。〈 端末活用(2)〉
③ 保存された画像を見合い、クイズを解き合う。
全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美