読書指導のアイデア ⑬本の帯を味わおう

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本好きの子供を育てる読書指導のアイデア
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東京学芸大学附属小金井小学校司書

松岡みどり
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13回目のテーマは「本の帯を味わおう」です。本の帯には、その本のエッセンスが凝縮されています。「その本を手に取ってもらう」「その本を購入してもらう」ことを願って、編集者が力を込めてつくったのが本の帯です。今回は本の帯に注目して、最終的には自分たちで本の帯をつくってみようという提案です。ここでは本好きの子供たちを育てるためのアイデアを紹介します。

監修/東京学芸大学附属小金井小学校司書・松岡みどり

読書指導のアイデア  ⑬本の帯を味わおう

本の帯に注目しよう

本の帯といっても、子供たちには何を指しているかが分からないかもしれません。まずは、本の帯について先生がどのようなものかを伝えます。これには前からの計画が必要になるかもしれません。本を購入したときに帯を保管しておき、可能なら本に帯を巻いた状態で見せるようにしましょう。

学校の図書館の司書さんに相談してみてはいかがでしょう。本の帯を保管されている場合もあります。また、子供たちに「帯の付いている本を持ってきてね」と言って、家庭から持ってきてもらうという方法もあります。

本の帯にもいろいろ

本の帯は文章やデザインなど千差万別です。その本の内容を紹介するもの、クイズなどを出してその本の具体を紹介するもの、映画化されている場合は主演の俳優の写真を掲載するもの、文章が多いもの、イラストや写真を多く使ったもの、執筆者や推薦者の写真や言葉を載せたもの、賞を獲得したという情報を入れたものなど多種多様な帯のスタイルがあります。

帯をいくつか持ち寄って、どのような帯があるのかを比べることによって、様々な種類があり、訴える内容が本によってそれぞれ異なることがよく分かります。どのような帯の種類があるのかを子供たちが調べて発見することによって、この後の活動である自分たちの帯づくりに役立てることができます。

本の帯をつくろう

本の帯をつくるときには、本の内容を知ることが大切です。まずは、一度お試しで帯をつくってみてはいかがでしょう。お試しでつくる帯は、短いお話やみんなが知っている昔話、『ごんぎつね』など国語で習っているものなどの本を取り上げることをおすすめします。

帯は色画用紙より薄い、色上質紙などが使いやすいでしょう。幅を一定にした紙を用意しておくなど目の前の子供たちの実態に合わせて準備してください。

お試しで学級のみんなで順を追ってつくることによって、帯をつくるプロセスがよく分かり、子供たちが自分の選んだ本の帯をつくるときにつながります。

自分で帯をつくるときには、自分の気に入った本を家から持ってきてもらったり、学校の図書館の司書さんに協力してもらい、学校の図書館の本を選んだりしてもよいでしょう。また、グループで同じ本を使って、違った帯をつくるのも楽しいものです。

帯をつくる手順
①本を用意する。
②帯になる色上質紙を配る。
③コピーやデザインを考える。
④下書きをする。
⑤清書をする。
という流れになります。

帯をつくった後は、みんなで紹介し合ったり、教室に展示したりするとよいでしょう。また、学校の図書館の本を借りた場合は、本に帯を付けて図書館に置いてもらうことも考えられます。子供の意欲がさらに上がるでしょう。

 



松岡みどり司書からのメッセージ
帯は、帯の一文によって本の売り上げが変わるという要素をもっています。読みたいスパイスが帯に凝縮しているということに注目してみてください。長い文章で紹介するのではなく、短い文章でスパッと伝えるのがポイントです。帯に注目することによって、本を読むときに「ここがポイントかな」「ここがキーワードになる」と意識することができると思います。
本を読むことが苦手な子には、「帯づくりに協力してくれる人」を探すことを助言してはいかがでしょう。例えば、学校図書館で司書さんに貸出ナンバーワンの本を教えてもらって「人気ナンバーワン」の帯づくりをしたり、先生にインタビューをして推薦の言葉をもらったりするなど、自分で作品を読み込んで帯づくりをするのに困っている様子が見られた場合、少し手助けをしてみんなが楽しめる活動にしてみてください。帯づくりの体験は、本への関心を高めることにつながると思います。

 

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ウェブサイト「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」(東京学芸大学 学校図書館運営専門委員会)
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/htdocs/

取材・文・構成・撮影/浅原孝子

 

授業で使える312冊の絵本を紹介

豊かな心と思考力を育む
絵本で広がる小学校の授業づくり

著/齊藤和貴(京都女子大学教授)

司書教諭の経験を生かしながら、長年、学校現場で「絵本を活用した授業」を行ってきた元小学校教諭が、小学校の授業で使える絵本312冊を厳選。絵本を使った実際の授業が、板書や指導案、豊富な写真とともにオールカラーで具体的に紹介されていますので、授業の進め方がよくわかります。

B5判/112頁
ISBN9784098402212

〈著者プロフィール〉
齊藤和貴(さいとう かずたか)

京都女子大学発達教育学部准教授。元小学校教諭・司書教諭。東京都公立小学校及び東京学芸大学附属小金井小学校、附属世田谷小学校で28年間、教育活動や授業実践に取り組む。その間、生活科や総合的な学習の時間を中心に指導法やカリキュラム、評価方法の工夫・改善を図り、「子供とともにつくる授業」の創造に励む。また、司書教諭の経験を生かし、「絵本を活用した授業づくり」にも取り組んできた。

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