1人1台端末 【わかる!教育ニュース#34】

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中澤記者の「わかる!教育ニュース」

先生だったら知っておきたい、様々な教育ニュースについて解説します。連載第34回のテーマは「1人1台端末」です。

2022年3月時点で、教育用コンピュータ1台あたりの子供の数は0.9人

授業で子供たちがタブレット端末を使う光景は、もう珍しくないでしょう。文部科学省によると、2022年3月時点で、教育用コンピュータ1台あたりの子供の数は、0.9人(参照データ)。1人1台使える状態です。今や考えるべき問題も、端末の「整備」から「更新」に変わりました。

文科省も新年度予算の概算要求で、学習用端末の更新関連費に148億円を盛り込みました。要求する意義を「学校現場で活用が進み、効果が実感されつつある」と説いています。実際、今年の全国学力・学習状況調査の結果でも、授業での活用が「ほぼ毎日」という小学校は、65.3%。前年度より7.0ポイント増えました。

文科省が教育のICT化に向けて立てた、2018年度から5年の計画では、「3クラスに1クラス分程度の端末を整備」が目標でした。これは、1日に1コマぐらい1人1台で使える環境です。ちなみに18年3月時点は、1台あたり5.6人。文科省は毎年1805億円の交付税措置をし、学校に端末を広めようとしました。

けれど、翌年の状況はさほど変わりませんでした。政府は「学校のICT環境整備は脆弱で、地域格差も大きい」と危機感を前面に出し、1人1台端末などを掲げた「GIGAスクール構想」を、19年12月に公表。交付税に加え、補助金も出す形にしました。そこに新型コロナ禍が襲い、整備が加速。21年3月は1台1.4人まで浸透しました。

「1人1台端末は、公教育の必須ツールとして着実に更新する」

日々使う端末は、やがて更新しなくてはなりません。修理や故障のお金もばかにならず、修理の間に使う予備機も必要。一連のコストに、自治体側からは国の対応を望む声が根強くありました。指定都市市長会も、7月にまとめた国の新年度予算や施策の要望で、「端末整備の国庫補助を初期整備に限定せず、ランニングコストや更新の経費も財政措置を」と訴えています。

けれど、盛山正仁文科相は9月14日の就任会見で、最初の更新費について尋ねられると、「今度要求して仮に認められると、恒久的な制度になる。財政当局は厳しい対応をしてくると思う」と慎重な構え。29日の会見でも、更新費を賄う基金の創設案が取り沙汰されていることを問われたものの、明確な答えを避けました。

ただ、政府の「骨太の方針(経済財政運営の指針)」では、「国策として進めるGIGAスクール構想の1人1台端末は、公教育の必須ツールとして着実に更新する」と明記しています。配った後は自治体任せ、では済みません。 一方で、端末の活用が学びにどんな効果があるのか、はっきりさせるのも大切なこと。今、中央教育審議会の作業部会が、端末導入の成果検証や、更新のあり方などを議論しています。その結果、教育に欠かせないと言うなら、維持や更新など必ずかかる費用についての対処も、構想を「国策」だと唱える国に考える責任があります。

【わかる! 教育ニュース】次回は、10月30日公開予定です。

執筆/東京新聞記者・中澤佳子

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