調理の基本を学ぶ!小5小6「家庭科」指導のポイント
調理は、子供たちにとって、楽しい学習のひとつです。ここでは、小五と小六の家庭科授業の基本と、それぞれの学年別で、子供が安全と衛生に気を付けて楽しく活動することができるように注意したい指導のポイントや教室環境について紹介します。
執筆/埼玉県公立小学校主幹教諭・大山方住
監修/前文部科学省教科調査官・筒井恭子
目次
安全と衛生に気を付けて、楽しく調理をはじめよう
安全な包丁の取り扱い
1.包丁の保管

保管箱と包丁の柄に番号を付けることで、数を確認することができます。また、鍵のかかる保管箱等に保管します。
2.包丁の正しい持ち方と切り方(ICTを活用して)

切り方の動画をタブレット端末に保存し、いつでも確認できるようにします。ペアで撮影し合い、正しい持ち方や切り方ができているかを確認します。
安全な加熱用調理器具の取り扱い
1.ガスこんろの場合
周囲に燃えやすいものを置いてないか、換気しているか、使用後に器具栓を閉めているかなどを確認します。
2.IHクッキングヒーターの場合
トッププレートに鍋やフライパンなどの用具以外のものを置いてないか、使用後に電源を切っているかなどを確認します。その際、使える鍋などの形状や材質がガスこんろの場合と異なることにも触れるようにします。
安全で衛生的な食品の取扱い
1.生の魚や肉の取扱い
調理の基礎を学習していないことや衛生的な取扱いが難しいので、扱わないようにします。
2.じゃがいもの取扱い

芽や緑化した部分には、食中毒を起こすソラニンという成分が含まれているので、必ず取り除きます。小さいものは扱わないようにします。保存する場合は、日光に当たらないようにします。
3.材料を持参する場合の留意点
登校後、速やかに腐敗していないか匂いや色などを確かめたり、保管に十分留意したりします。
食物アレルギーへの配慮
材料にアレルギーの原因となる物質が含まれていないか、調理器具等に付着していないか確認が必要です。また、事前にアンケートをとり、保護者、養護教諭、栄養教諭等と情報を共有し、事故防止に努めます。
環境に配慮した後片付け
1.ごみの減量
グループでごみの残量を確認し、少なくなる方法について考えるようにします。

2.油汚れの取扱い
油汚れをあまり布や古紙などで拭き取ってから洗った場合と、そうでない場合に必要な水の量を比較して、必要以上に水や洗剤を使わないように気付かせるようにします。

個に応じた指導・教材の工夫
1.見通しがもてる調理工程カードの作成
活動の流れがいつでも確認できる調理工程カードを作成し、見通しをもって活動に取り組めるようにします。

2.食品カードの活用
献立を立てる際に、食品カードを作成して活用します。カード裏面で主な栄養素と体内での主な働きを確認できるようにします。

5年生・調理をはじめよう!ゆでる調理で「マイサラダ」
青菜とじゃがいもなどを扱い、ゆでる調理の仕方を理解し、材料や目的に応じて適切に加熱調理ができるようにします。

【2~6時間目】ゆでる調理の特性を理解する
実験1 青菜をゆでる~沸騰してからゆでる方法を理解する~
青菜を2把用意し、1把はゆでず、もう1把を1分ゆで、かさ、色、硬さ、味を確認して、かさが減ることを確認します。

実験2 じゃがいもをゆでる~水からゆでる方法を理解する~
1㎝幅の輪切りにしたじゃがいもを水からゆで、沸騰してから1分ごとに取り出し、色、硬さ、味を確認します。

実験3 卵を好みの硬さにゆでる
青菜をゆでる学習を活用し、沸騰してから何分ゆでれば好みの硬さになるのか予想をして、卵をゆでます。

ゆでる調理の特性
①水からゆでるものと、沸騰してからゆでるものがあります。
②硬い食品を柔らかくして、おいしく食べることができます。
③ゆでることで、かさが減るものは、多くの量を食べることができます。