理数教育・STEAM教育で育む「Society5.0」時代の資質・能力【連続企画 探究的な学びがカギ! これからの「理数教育」のあり方 #00】

特集
探究的な学びがカギ! これからの「理数教育」のあり方

「Society5.0」時代の到来に向けて、理数教育の充実やSTEAM教育の推進が求められている。「探究的な学び」を軸に、いかに小・中学校段階での理数分野の学びを充実させていけばよいのか。識者の提言と先行事例から考えていきたい。

理数教育の充実を図る各種施策

2022年4月より実施されている高等学校の新学習指導要領において、「理数探究基礎」「理数探究」という科目が新設された。

この科目は文字通り、理科や数学に関連する課題を生徒自らが設定し、観察や実験、調査などの探究の過程を通じて課題解決の力を育むことを目標とした科目である。AIの普及やグローバル化などが進む「予測不可能な時代」を生き抜くための「自ら考え、行動する力」を育てるねらいがあると考えられている。

従来より、国際調査などを通じて日本の児童生徒の理数科目への興味・意欲が低いことなどが指摘されてきたが、AIやロボットなどの技術が人々の暮らしに融合する「Society5.0」時代の担い手を育てる意味でも、また科学技術分野での国際競争力を維持する上でも、理数教育の充実は喫緊の課題である。そのため、文部科学省も上記の「理数探究」科目の新設をはじめとする学習指導要領の改訂や、「STEAM教育」の推進など、理数教育の充実を図る施策を進めている。

教科横断的な学び「STEAM教育」に注目

STEAM教育」とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を横断する「STEM教育」に、Art(芸術・教養)を組み合わせた概念で、文系・理系の枠を超えた教科横断的な学びを通じて課題の発見・解決や新たな価値を創造する資質・能力を育てようとするもの。2021年の中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」においても、この考えに基づき、小中学校での「教科等横断的な学習や探究的な学習等の充実」、高等学校での「総合的な探究の時間や理数探究を中心としたSTEAM教育の実施」に言及している。

こうした流れを受けて、すでに各自治体および学校においても、各教科における探究的な学びの充実や、独自のSTEAM教育施策に取り組む例も増えてきている。

GIGAスクール構想による1人1台端末環境が実現した今は、ICTを活用した授業やプログラミング教育などを通じて児童生徒の理数分野への興味・関心を高めるチャンスでもある。新しい時代の理数教育をどのようにつくっていくのか、学校現場での模索とチャレンジが期待される。

構成・文/葛原武史(カラビナ)

参考資料
文部科学省初等中等教育局教育課程課「STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について

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