小2国語「お手紙」京女式板書の技術
今回の教材は、アーノルド・ローベル作の「お手紙」です。この単元は、「想像したことを、音読劇で表そう」ということが学習内容です。お話の大体を理解しながら、それを音読とつなぐようにした板書の工夫を紹介します。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子
教材名 「お手紙」(光村図書)
目次
単元の計画(全12時間)
1・2・3 学習の見通しをもち、大まかな内容を捉える。
4 1場面について音読の工夫を考える。
5 お話の好きな場面を見付け、音読したい場面を決める。
6・7 音読したい場面を視写し、音読の工夫を考える。
8・9・10 音読劇の練習をし、発表する。
11 感想を交流し、学習を振り返る。
12 シリーズの本を読んだ感想を交流する。
板書の基本
〇教材「お手紙」は「そうぞうしたことを、音読げきであらわそう」というのが学習内容です。ところが、音読だけに指導の目が向くと、お話の内容を理解できないまま、学習が進んでいくという子もいます。まず、「お手紙」の内容を理解させることを大事にしようと考えたのが今回の板書です(今回の授業までに、お話の大体は理解しています)。
〇お話の大体を理解することを大事にし、それを音読につなぐことを目的にした板書は次の通りです。
①登場人物を理解するための板書
「とうじょう人ぶつ」という言葉を覚えさせます。すでに、既習教材で理解している用語であっても、授業で繰り返し確認することを大切にしています。
②好きな場面を選ぶという学習活動を見付ける板書
文章全体を音読することが大事です。しかし、好きな場面を選ぶということを学習内容として経験させたいと考えました。
③好きな場面の大体の内容をまとめる板書
音読を始めるとき、「わたしたちは」から始まり、「選んだ場面」「その場面の内容」が言えるように、内容を簡単に板書でまとめました。
板書のコツ(5/12時間目前半)
板書のコツ①
最初に、日付、題名、作者を板書しました。続いて「めあて」と板書しました。本時のめあては「お話のすきなばめんを見つけよう。」であることを伝えた後、板書しました。「日付」から「めあて」までは、板書したことをその都度、ノートに写させました。ノートを丁寧に書かせるために、板書に書く内容を伝えることを大事にしています。「めあて」の場合、次のように伝えます。「まず、『お話』を書きます。話は言(ごんべん)です。次は、舌(した)です。」
板書のコツ②
登場人物を確認し、「がまくん、かえるくん、かたつむりくん」を板書します。そして、「がまくん」と「かえるくん」が混乱しないように、「がまくんは、げんかんの前にすわっていました。」の最初の1行を音読させ、これから始まるお話の2人の役割を確かめました。
板書のコツ(5/12時間目中盤)
板書のコツ①
「すきなばめん」と次の5つの場面を板書しました。
・かえるくんが手紙を書いているばめん
・かたつむりくんに手紙をわたすばめん
・お手紙をまっているばめん
・お手紙のことをおしえるばめん
・お手紙をもらうばめん
※玄関前でがまくんとかえるくんが話す場面は、全員で音読の仕方を考えているので、好きな場面として板書していません。
板書のコツ②
グループで好きな場面、つまり音読をしたい場面を選ぶ手がかりになるようにしました。行間には好きな理由を書く予定をしています。
板書のコツ(5/12時間目後半)
板書のコツ①
グループが発表した「すきなばめん」の理由をまとめた板書です。
「かえるくんが手紙を書いているばめん」を選んだグループは、「がまくんがやさしいから」と簡単に理由を発表しました。そこで、やさしいと思ったところを聞き出し、「がまくんの気もちを考えて、書いてあげるのがやさしい。」というように、理由の書き方を指導した後の板書です。
板書のコツ②
「かたつむりくんに手紙をわたすばめん」は、最初のグループで指導したように、グループの発言から理由を聞き出し、分かりやすい理由の書き方にして板書をしました。続いて、もう1つのグループの発表があり、グループの違いが理解できるように、それぞれのグループの理由の初めに印(→)を書き加えました。
「お手紙のことをおしえるばめん」からは、理由が理解できるかどうかを考えさせ、足りない部分は子供同士で考えさせて板書します。
構成/浅原孝子