小1国語「うみのかくれんぼ」板書の技術
今回の教材は、「うみのかくれんぼ」です。本単元では、最後に「記者会見」を開き、自分で調べた生き物のかくれんぼについて質問を受け、答えるという活動を設定しています。記者会見に向けて、「なにが」「どのように」かくれているかなどを読み取ることを分かりやすくする板書の工夫を紹介します。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・田中崇亮(せせらぎの会)
単元名 いきものはかせになって きしゃかいけんをひらこう
教材名 「うみのかくれんぼ」(光村図書 1年)
目次
単元の計画(全9時間)
1 教材「くちばし」(既習)を振り返った後、教材「うみのかくれんぼ」(教科書P114・115の写真)を見て、海にすんでいる生き物を発表し合う。
2 学習課題を示し、学習計画を立てる。「きしゃかいけん」について説明する。
3 教材「うみのかくれんぼ」を読み、問いと出てくる生き物を確かめる。
4 はまぐりのかくれんぼについて読み取る。
5 たこのかくれんぼについて読み取る。
6 もくずしょいのかくれんぼについて読み取る。
7・8 「きしゃかいけん」の仕方を確かめる。
自分が決めた生き物について調べ、まとめる。
9 「きしゃかいけん」を開き、生き物について発表し合う。
板書の基本
〇「うみのかくれんぼ」から読み取ること(「なにが」「どのように」など)を分かりやすくする板書
教材文から読み取ることが分かりやすくなるように、項目ごとに色を決めて板書します。「うみのかくれんぼ」は、どの生き物についても「何の生き物がかくれているか(生き物の名前)」「どこにかくれているか(かくれている場所)」「体の特徴」「どのようにかくれるか」の順番で書かれています。「なまえ」は赤、「ばしょ」は黄など項目ごとに色を決めて板書したり、板書した色と同じ色で教材文に線を引かせたりすると、子供がどの部分から何が分かるか確かめやすくなります。
〇対応していること(「よんだこと」と「ききかた」)を分かりやすくする板書
対応する事柄を分かりやすく示したり、複数の事柄を比較したりするときには、事柄を上下に分けて板書すると有効です。
本単元では、単元の最後に「きしゃかいけん」を開き、自分で調べた生き物のかくれんぼについて質問を受け、答えるという活動を設定しました。7/9時間目では、質問する項目と質問の仕方を確かめます。教材文から読み取った「なにが」「どこに」などの項目(よんだこと)は上に、それを聞くための質問の仕方(ききかた)は下に板書することで、項目と質問の仕方の関係が分かりやすくなります。
板書を利用した授業の進め方(4/9時間目)
1 問いを確かめる
月日・題名・めあてを板書した後、前時に学習した問い「なにが、どのようにかくれているのでしょうか。」を子供たちと確かめ、板書します。問いの文の「なにが」は赤、「どのように」は青で板書して何を問いかけられているかを理解できるようにします。
2 「なにが」「どのように」かくれているかを読み取る
教材文のはまぐりについて書かれている部分から、「なにがかくれているか」の答えになるところを赤線、「どのようにかくれるのか」の答えになるところを青線で引かせます。教師は、教材文を拡大したものを移動黒板に提示し、子供に線を引いたところを発表させながら同じ色で線を引きます(写真1参照) 。
「なにがかくれているか」の答えは最初に書かれていて、「どのようにかくれるのか」は最後に書いてあることを確かめ、間隔をあけて「なにが」の赤いカードと「どのように」の青いカードを貼ります。子供に発表させながら、カードの近くにそれぞれの答えとなる「はまぐり」と「すなのなかにあしをのばして、すばやくもぐってかくれます。」を板書します(写真2参照)。
3 「なにが」「どのように」の他にどんなことが書かれているかを読み取る
何が書かれているかを見付けるために、教材文の赤線(「なにがかくれているか」の答え)と青線(「どのようにかくれるか」の答え)以外の部分を読み取らせます。子供の「どこにかくれているかです。」や「どんな体をしているかです。」などの発表を受けて、「どこに」の黄カードと「からだ」の緑カードを貼ります。
教材文の「どこにかくれているか」の答えとなる部分に黄線、「どんなからだをしているか」の答えとなる部分に緑線を引かせます。黄線と緑線を引いた部分を発表させ、教師は「どこに」のカードの近くに「すなのなか」、「からだ」のカードの近くに「大きくてつよいあしをもっています。」を板書します。
4 読み取ったことを表にまとめる
「なにが」は生き物の名前を聞いていることを確かめ、「なにが」のカードの下に同じ色のチョークで〈なまえ〉と板書します。同じようにして、「どこに」のカードの下には〈ばしょ〉、「どのように」のカードの下には〈かくれかた〉と板書します。
板書した内容を表に書き写します。子供にも同じ表を配付し、教師が指示しながら書き写させます。
板書を利用した授業の進め方(7/9時間目)
1 前時までに読み取ったことを確かめる
教材「うみのかくれんぼ」から読み取ったことをまとめた表を黒板に貼り、既習事項を確かめます。
この表は学習計画の4・5・6/9時間目で読み取ったことをまとめています。
2 「きしゃかいけん」の具体的な方法を確かめる
めあて「きしゃかいけんのしかたをたしかめる。」を板書します。「きしゃかいけん」は、自分で調べた生き物のかくれんぼについて発表することを伝えます。また、発表者(質問を受ける人)と記者(質問をする人)に分かれて進めていくことを確認します。
3 「きしゃかいけん」で発表すること・質問することを確かめる
教材文でどんなことを読み取ってきたかを発表させます。発表を受けて、黒板上段によんだことと板書し、「なにが」「どこに」「からだ」「どのように」のカードを貼ります。「きしゃかいけん」でも同じ項目で発表することを伝えます。
「なにが」「どこに」「からだ」「どのように」の項目を聞き出すためには、記者がどのように質問をすればよいか考えさせ、発表させます。黒板下段にききかたと板書し、子供の発表を受け止めながら、質問の仕方をカードの色と同じ色のチョークでそれぞれの項目の下に板書します。
4 質問の仕方と発表の仕方の練習をする
ペアをつくり、記者役と発表者役に分かれて黒板をヒントにしながら「はまぐり」「たこ」「もくずしょい」について質問したり答えたりする練習をします。
練習後は、「はまぐり」「たこ」「もくずしょい」以外の生き物のかくれんぼについて調べる時間にします。
構成/浅原孝子