「 学習eポータル 」とは?【知っておきたい教育用語】
「学習eポータル」は、GIGAスクール構想で整備された1人1台端末を使って、デジタル教材の学習データをより効率的に活用するために構想された、初等中等教育向けのデジタル学習のプラットフォームです。その主な機能や、導入が広まった背景について振り返ります。
執筆/小学館「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム
目次
学習eポータルの機能
文部科学省によると、学習eポータルとは「日本の初等中等教育(学校教育)に適した共通で必要な学習管理機能を備えたソフトウェアシステム」のことです。
また、学習eポータルの機能として、次の3つを挙げています。
①学習の窓口機能
多様な学習リソース(デジタル教科書・教材、各種ツールなど)の互換性のあるデータを学習eポータルで一覧的に可視化して活用することができる機能(個別最適な学び・協働的な学びへとつながる)②連携のハブ機能
シングルサインオン等のアクセスの容易化など、学習リソースの利活用の連携のハブとして機能(活用者が便利になるとともに、デジタル教材等事業者が個々のソフトごとに連携する手間が省けて不要なコストがかからなくなる。)③文科省システム(MEXCBT)のアクセス機能
文部科学省 総合教育政策局 教育DX推進室「文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)の活用に関する説明会」
文科省が運用する公的CBTプラットフォーム(MEXCBT)へアクセスする機能
「シングルサインオン」とは、1度のユーザー認証で複数のシステムが利用できること。学習eポータルを導入することによって、デジタル教科書・教材をシームレスに活用できます。
「MEXCBT(メクビット)」とは、コンピューター上で実施する試験方式「CBT(Computer Based Testing)」のひとつで、文部科学省が開発したもの。MEXT(文部科学省:Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology)とCBTを組み合わせた言葉です。MEXCBT上では、国や地方自治体などの公的機関が作成した問題を解くことが可能。MEXCBTを利用するには、学習eポータルの導入が必要となります。学習eポータルが様々なデジタル学習の窓口、MEXCBTがデジタル学習システムの1つという関係です。
全国学力テストを機に導入が進む
NECは、「全国の教育委員会におけるデジタルツール導入状況に関する実態調査」において、学習eポータルの導入状況調査を2022年9月〜2023年3月に4回に分けて実施しました。
その最新の調査では、2022年比で150%となる約85%の教育委員会で学習eポータルが導入されていることがわかりました。
導入が進んだ理由としては、2023年4月に実施された全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)が考えられます。2023年度の全国学力テストでは、中学校英語「話すこと」調査がMEXCBT上で実施されたため、そのために学習eポータルの導入が必要になったという経緯があります。
各社が提供する学習eポータル
2023年4月の時点で、学習eポータル標準モデルに準拠して開発・提供されているデジタル教材には下記のようなものがあります。
・COMPASS「Qubena」
・内田洋行「L-Gate」
・NEC「Open Platform for Education」
・NTTコミュニケーションズ「まなびポケット」
・スタディプラス「Studyplus for School」
・ネットラーニング「みらeポータル」
・コニカミノルタ「tomoLinks」
・両備システムズ「R-Station」
・ベネッセコーポレーション「Benesse School Portal」
・EDUCOM「スクールライフノート」
これらの学習eポータルは、「MEXCBT」に接続できるなど標準機能は共通していますが、その他の機能は製品によって異なります。一部機能が有料のこともあります。
学習eポータルの活用が進み、様々なデジタル教材を使った学習内容を効果的に記録することで、子ども一人一人の豊かな学びにつながることが期待されます。
▼参考資料
文部科学省 総合教育政策局 教育DX推進室(PDF)「文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)の活用に関する説明会」(令和3年11月1日)
ICT CONNECT 21(ウェブサイト)「『学習eポータル』まとめページ」
PR TIMES(ウェブサイト)「NEC、全国の教育委員会におけるデジタルツール導入状況の実態を調査。学習eポータルの導入率が昨年比で150%の結果。いよいよ『データ利活用』のフェーズへ。」(令和5年6月23日)