小5算数「平均」指導アイデア《部分の平均から全体を見積もる方法》
執筆/富山大学教育学部附属小学校教諭・神田将義
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、前・富山県南砺市立福光東部小学校校長・中川愼一
目次
単元の展開
第1時 測定値の平均の意味を知り、求め方を考える。
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第2時 測定値に0がある場合の平均の求め方と、平均が小数値になる場合について考える。
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第3時(本時) 部分の平均から全体を見積もる方法を考え、身の回りで平均が使われている場面を見付ける。
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第4時 部分の各平均から全体の平均を求める方法を考える。
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第5時 平均の活用について考える(1歩の歩幅の平均を調べ、およその距離を測る)。
本時のねらい
ある部分について求めた平均の量を生かして、全体の量を求める方法について考える。
評価規準
概括的に捉えることに着目し、平均の値を生かして全体の量を求める方法について考えている。(思考・判断・表現)
本時の展開
4個のオレンジをしぼったらそれぞれ33mL、35mL、38mL、34mLのオレンジジュースができました。オレンジを9個しぼると、何mLのジュースができると考えられますか。
オレンジを搾ってオレンジジュースを作ったら、それぞれこれだけの量のジュースができました。
だいたい似たような量になるけれど、オレンジによって搾れる量が違うようね。
9個搾ったときだと少し難しいな。
どこが難しいと思いましたか。
8個だと、4個の2倍で考えればよいから、(33+35+38+34)×2で求めることができるけれど9個だと、倍にして考えることができないから難しいと思いました。
確かにそうね。2倍してから1個のオレンジを搾った分のジュースの量を足そうとしても、33mL、35mL、38mL、34mLのどのオレンジで搾ったジュースか分からないから足すこともできないし……。
では、今日はみんなでこの全部の量を求める方法を考えていきましょう。
全部の量を求める方法を考えよう。
見通し
1個のオレンジで作れるジュースの量の平均を求めれば、答えを求めることができそうだ。(方法の見通し)
比例の関係と捉えて考えたらできそう。(方法の見通し)
自力解決の様子
A つまずいている子
- 4個で140mLだから、9個は300 mLぐらいかなと考えをめぐらせている。
- 残りの5個から搾れる量が分からないので、困っている。
B 素朴に解いている子
- 4個のオレンジで搾れるジュースの量140mL (33+35+38+34=140)を基に、2倍の8個で搾れるジュースの量を求めて、残りの1個分の量を平均を使って求めて、足して考えている。
33+35+38+34=140
140×2=280
(33+35+38+34)÷4=35
280+35=315 答え 315mL
C ねらい通り解いている子
- 4個のオレンジから搾れるジュースの量の平均を求め、それを9倍して答えを求めている。
(33+35+38+34)÷4= 35
35×9= 315 答え 315mL
学び合いの計画
本時の導入では、問題の条件になっているそれぞれのオレンジを搾ってできるオレンジジュースの量が異なることを確認しましょう。こうすることで、単純に足したり掛けたりするだけでは答えが出ないことに気付き、工夫して問題を解こうとよく考えるようになるはずです。
導入の段階で子供があまりにも方法の見通しがもてずに困っているようでしたら、解き方の見通しがもてている子供にどのように考えていくつもりかを少し語らせるなどして、自力解決のときに多くの子供の手が止まることのないように気を付けることも大切です。
イラスト/横井智美