【相談募集中】分離不安傾向のある子に困っています

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岡山県公立小学校教諭

南惠介

分離不安傾向にある子への接し方について悩んでいる先生から「みん教相談室」に相談が寄せられました。依存関係からの脱却方法について知りたいそうです。今回は、特別支援教育をベースとした学級経営を提唱されている岡山県公立小学校教諭・南惠介先生のアドバイスを紹介します。

イラストAC

Q.分離不安傾向のある子に困っています

分離不安傾向のある子に困っています。別室で落ち着かせたり、落ち着いた頃に教室まで一緒に行ったり、できることはしているつもりですが、依存や要望が激しく、教室にも入るまで2時間以上かかることもあります。このような依存関係からの脱却方法を知りたいです。 
(ミント先生・20代女性) 

A.焦らず長い目で見て、できるかぎりの愛情を注いでいきましょう

なかなか教室に入れない子がいる。先生自身も不安でしょう。私も何度もそういう事例を経験しましたが、アプローチをしてもすぐに結果が出るものではありません。日々悩まれ、そして常に不安を抱えられていることでしょう。

以下に私の経験を踏まえて、いくつかの提案をさせていただきます。

不安への対応〜安心感は満ちれば溢れる

分離は「させる」ものではなく、満たされれば「していく」ものです。

「分離不安」とのことなので、低学年の児童を想定して考えてみます。「分離不安傾向」に対して学校から行うアプローチとしてオーソドックスなものとしては、保護者の方に不安を煽らないようにある程度オブラートに包みつつ現状を伝え、「お母さん(あるいはお父さんやおじいちゃんおばあちゃん)が大好きなんですね。たくさん良い子良い子してあげると、だんだんと学校でも安心して過ごせるようになります」と伝えることが、基本的な対応になるでしょう。

最近、分離不安に限らず学校生活でうまくいかないことがあるお子さんを見ていて、一番アプローチするべきことは「不安」やそれに伴う「緊張」だと感じることが非常に多いです。その場合、どのようなことをすればいいのでしょうか。以下に列挙してみます。

・常に柔らかい表情、温かい笑顔。
・何もない状態の時こそアプローチする。
・気がつくとそばにいるようにする。
・可能な範囲でスキンシップを行う。
・促すけれど、強制しない。
・先生と楽しいことを共有する時間をつくる(無邪気に遊んでみる)。
・先生との関係性づくりをもう一度見直してみる(「教師」より「親」や「友達」に近い関係性)。
・仲のいい友達がいれば、その子を伴って促してみる。
・クラスで合意して、特別ルールを設定してみる。

一つ一つは本当に小さなことですが、そういう小さな積み重ねが後になってから効くということもあります。

「そもそも」を疑う

物事の解決に当たって、時に「そもそも」を疑うことが必要になる場合があります。

例えば、人が多くいる広い場所がとても苦手で、教室に入れない場合もあります。その場合は、少し頑張ってその場に連れていくという方法が効果的な場合があります。

例えば、そもそも教室の雰囲気に馴染めないことが一番の要因だとしたら。そう考えると、本人へのアプローチ以上に、教室の雰囲気づくりが必要になります。

例えば、分離不安ではなく、見通しが非常に立ちづらいため「いつもと違う場所」に入ることがすごく苦手なのだとしたら。最初に入り方の前に予告をした上で、ちょっと背中を押してみることで、変化が見られるかもしれません。

根が張らなければ、枝葉は繁りません。子供の様子をよく見る。どういう場面で、そのように行動が変わるか。表情が変化するか。その上で、あれこれ工夫しながら、仕掛けて仕掛けて、それでも「待つ」。時間はかかるように感じますが、案外その方が近道かもしれません。

保護者の愛情には敵いませんが、できる限りの愛情を注ぐ。問題があるときにアプローチするのではなく、一緒に楽しく落ち着いた時間を過ごす。その上で「まあ今は仕方ない」とおおらかに捉えつつ、温かく「待つ」。

見通しが立ちづらく不安を感じる日々は続くとは思いますが、「そのうち何とかなる」「大きくなれば改善する」とも考えつつ、焦らず長い目で見ながら自分ができることを少しずつ積み重ねていってください。応援しています。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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