【相談募集中】未経験で吹奏楽部の顧問に。拘束時間が長くプライベートの時間がほとんど取れない
今回のお悩みは、未経験の吹奏楽部で顧問になった20代の先生から寄せられました。土日も一日中練習があるのでプライベートの時間が取れず、本当に辛く、市教委への相談も考えているそうです。元公立中学校長で「全国教育交流会」代表の中野敏治先生が、相談相手や相談する際のポイントを交えてアドバイスします。
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Q.未経験で吹奏楽部顧問になり練習時間が多すぎて本当に辛い。市教委に相談してもよいでしょうか?
部活動についてです。私は今年度から吹奏楽部の顧問をやっております。ですが、学生時代はずっと運動部でしたので、これまで吹奏楽の経験が全くありませんでした。もう一人の主顧問の先生は、全国大会に出場させるなど実績をお持ちで、市内では有名な先生です。練習時間も、土日は1日中。多いときで9時〜21時など、私自身のプライベートの時間がほとんど取れなくなってしまいました。本当に辛いです。部活をしていても楽しくありません。これは、市教委に相談してもよい内容でしょうか。
(やん先生・20代女性)
A.まずは教頭に自分の今の状況を具体的に伝え、相談してみましょう
土日もなく部活動をしていることに驚きました。働き方改革について、市教育委員会や学校、教職員組合で話題になっていないのでしょうか。健康障害に発展する恐れのある労働時間を超えているように思います。未経験の部活動顧問となった不安もあるかと思いますが、それ以上に労働時間の多さが心配です。
校長が職場の先生方の勤務時間を調べ、市教委に現状を伝えた学校もあります。また、市教委が学校に勤務時間調査を行っているところもあります(全国各地の市町村の教育委員会が教職員の勤務時間実態調査を行っているとは思いますが)。
私も夢中で仕事をしていた(せざるを得なかった)ときがありました。その頃、ある方がこんな話をしてくれました。「中野さん、もし体を壊して仕事ができなくなったら、『あの先生は、よく頑張ったよね』で終わっちゃうんだよ。それで職場を去っていくんだよ。家族の悲しみが目に浮かんじゃうよ」と。大切な家族がいて、健康な体があって、仕事ができているのです。仕事が先ではないのです。
さて、どこに相談をしてよいかということですが、まずは教頭先生に相談をしてはどうでしょうか。自分の今の状態を具体的に伝えることです。教科指導の準備もままならぬこと、体力的にも精神的にも今のままでは辛いことなどを。その前に、職場にはきっと同じ思いの先生がいると思いますので、その先生や仲の良い先生に相談をし、自分の思いを整理してから、教頭先生に相談してもよいかと思います。
相談するときには、具体的に現状を伝えることが必要ですが、もうひとつ必要なことがあります。
それは、労働時間について客観的に根拠となるものを知っておくことです。文部科学省のホームページにも「教育公務員の勤務時間について」として掲載されています。それらを調べ、今の状況は本当に正しいのかを確認しておくとよいかと思います。
目の前にいる子供たちのためにも、自分の体を大切にするのは、とても大切なことです。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。