読書指導のアイデア ④本の木づくり、本のマップづくり
4回目のテーマは「本の木づくり」「本のマップづくり」。今回は子供たちの参加型の活動で、楽しみながら多くの本を知ることができます。「本の木づくり」は、おすすめの本の紹介カードを貼って学級の木にします。また「本のマップづくり」は、テーマに合わせた本探し。読書離れが進みつつある現在だからこそ、子供たちが本を好きになるきっかけが必要となります。ここでは本好きの子供たちを育てるためのアイデアを紹介します。
監修/東京学芸大学附属小金井小学校司書・松岡みどり
目次
活動1 本の木づくり
1 おすすめの本を書くカード、木の幹を準備
まず、おすすめの本を書くためのカードを用意します。色画用紙や色紙を活用し、正方形や三角形などの形にすることによって準備時間の短縮になります。
次に、カードを貼る場所をつくります。例えば、後ろの壁面に大きな木の幹を描いた模造紙などを用意しておくとよいでしょう。ここにカードを貼り付けていきます。
2 おすすめの本を書く
子供たちにカードを配付します。カードには、子供自身のおすすめの本の「タイトル」「作者名」「おすすめ内容」「自分の名前」などを記入します。おすすめの本が見つかりにくい場合には、例えば、「冬休みに読んだおもしろかった本」といったテーマで書いてもよいでしょう。
3 カードを貼る
おすすめの本が書かれたカードを集め、用意した壁面の木の幹に貼っていきます。全員のカードをまんべんなくちらし、学級みんなで本の木をつくります。子供たちの好きな時間に書いて、好きな時間に貼るといった工夫をしてもよいでしょう。
4 貼ったカードを活用する
学級みんなの本の木を子供たちが見るように言葉がけを行います。おすすめの本のなかから、学校の図書館にある本を司書の協力を得て、学級に置くのもおすすめです。子供たちは興味をもって手に取ることでしょう。
せっかくみんなでつくった本の木なので、コミュニケーションツールとして活用してはいかがでしょう。どこがよかったのかを発表したり、書いた人への質問タイムを設定したりするなど、学級に合った活動で楽しい話し合いの時間を展開してください。
本の木づくりの例
活動2 本のマップづくり
1 グループに分かれる
3~4人のグループに分かれ、各グループに1つ、本のマップをつくります。各グループにはマップとなる画用紙などの用紙を配付します。
2 テーマ選び
グループで話し合って、自分たちが好きなテーマを1つ決めます。国語や算数、理科、社会など教科で習った単元と関連したテーマにすると見つけやすくなります。例えば、「米」「きつね」「大豆」「魚」「水」「空」「古代」「昆虫」「森」など。
3 テーマからマップをつくる
テーマに関連した本を図書館で探します。1人1冊、テーマに関連した本を探し、マップに書き込んでいきます。子供たちの状況に合わせて、1人2冊にしてもよいでしょう。
日本の図書館では、「日本十進分類法(NDC)」と言って、「0 総記」「1 哲学」「2 歴史」「3 社会科学」「4 自然科学」「5 技術」「6 産業」「7 芸術」「8 言語」「9 文学」
と図書を大きく10の主題・内容に基づいて分類する方法が用いられています。
その10の内容から「いろいろな分類の本があるといいですね」と、別々に探すことを子供たちに提案することで子供たちは探しやすくなるでしょう。
4 発表する
本のマップができたら、グループごとに発表するとよいでしょう。アウトプットの場を設定することによって子供たちの意欲がアップします。
本のマップ例
松岡みどり司書からのメッセージ
「本の木づくり」「本のマップづくり」はどちらも学級の子供たちみんなが参加して楽しい活動になるようにすると、子供たちは「もっと、やりたい!」とのってきます。苦手な子にはヒントとなるような言葉がけをするなど、全員が楽しめるような工夫をすることが大切です。
「本の木づくり」の際、おすすめカードの周りに友達がリアクションできる小さいカードやシールを貼ると双方向のやり取りができて楽しいものです。このとき、気を付けたいのは、数の多い少ないを競う方向にならないように見守りが必要です。また数が少ないときには、先生の配慮も必要でしょう。
「本のマップづくり」は、子供から出てくるアイデアを大切にしてみてください。例えば、マップに絵を描きたい、マップに作者の写真を貼りたいなど、豊かな発想を生かして、子供たちがやりたいようなマップづくりにしてみてはいかがでしょう。子供の主体性を伸ばすよい機会になるでしょう。
読書や本の情報が満載
ウェブサイト「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」(東京学芸大学 学校図書館運営専門委員会)
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/htdocs/
取材・文・構成・撮影/浅原孝子
授業で使える312冊の絵本を紹介
著/齊藤和貴(京都女子大学教授)
司書教諭の経験を生かしながら、長年、学校現場で「絵本を活用した授業」を行ってきた元小学校教諭が、小学校の授業で使える絵本312冊を厳選。絵本を使った実際の授業が、板書や指導案、豊富な写真とともにオールカラーで具体的に紹介されていますので、授業の進め方がよくわかります。
B5判/112頁
ISBN9784098402212
〈著者プロフィール〉
齊藤和貴(さいとう かずたか)
京都女子大学発達教育学部准教授。元小学校教諭・司書教諭。東京都公立小学校及び東京学芸大学附属小金井小学校、附属世田谷小学校で28年間、教育活動や授業実践に取り組む。その間、生活科や総合的な学習の時間を中心に指導法やカリキュラム、評価方法の工夫・改善を図り、「子供とともにつくる授業」の創造に励む。また、司書教諭の経験を生かし、「絵本を活用した授業づくり」にも取り組んできた。