小学校理科における1人1台端末時代のノートの書き方 【進め!理科道〜よい理科指導のために〜】#17

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理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~
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國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓
進め! 理科道(ロード)
〜よい理科指導のために〜

今回は、デジタル時代の子どものノートのまとめ方について考えてみましょう。1人1台端末でのデジタルノートは、紙のノートのように形として「残らない」ので、大丈夫なのか? といったことから、すべてをデジタルノートにしてしまうことがまだ難しいようです。
現在の私は「子どもたちに紙ノートかデジタルノートかを判断させればよいが、次第にデジタルノートの便利な点がわかってくるので、デジタルノートの利用が増える」と考えています。子どもたちのノートについて、どのように考えればよいのでしょうか?

執筆/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

1.1人1台端末時代、紙のノートからデジタルにすべて変わってしまう?

子どもたちのノートはいずれ、全てがデジタルノートに変わるかもしれません。しかし、現段階ではすべてが置き換わるのはまだ難しいように思います。
そこには、
⑴ 先生方が、デジタルノートに振り切るまでの覚悟がまだ十分でないこと。
⑵ どのようにデジタルノートを書けばよいのか、はっきりしていないこと。
⑶ 子どもたちがデジタルノートを使う環境が十分ではないこと。
という問題があると思います。

⑴ 先生方が、デジタルノートに振り切るまでの覚悟がまだ十分ではないこと

現在の私は「子どもたちに紙ノートかデジタルノートかを判断させればよいが、次第にデジタルノートの便利な点がわかってくるので、デジタルノートの利用が増える」と考えています。
1人1台端末になったことで、端末を使っての写真や動画の記録、長期的なデータの蓄積が可能となりました。これまでの紙のノートでは、写真を載せたければ印刷をして、のりで貼って…といった手間がかかりましたが、デジタルでは自分の端末で写真をとり、その写真を簡単に貼ることができます。
また、個人の考えを共有する際にはデジタルで書いた方が見やすく、簡単に他者と共有することが可能です。このように、紙のノートでは不可能だったことができるようになりましたし、共有の仕方が簡単になったといえます。そのため、デジタルノートの優位性を実感できるようになり、デジタルノートの利用が増えてくると考えているわけです。

「デジタルだと、紙のように形で残らない」という不安があると思いますが、そんな方には、前年の紙のノートをどれだけ活用していますか? と問いかけたいです。
「過去に戻ってノートを活用したい」と思えるほど、後で見直してもわかるようなノートが書ける児童は一部です。実際のところ、あまり活用できていないのではないでしょうか。

子どもに紙か、デジタルかを判断させれば、一部の児童は紙のノートを活用すると思います。人によっては、デジタルではやりにくい場合もあるため、無理にデジタルだけにする必要はないと考えます。

どのようにデジタルノートを書けばよいのか、はっきりしていないこと

詳しくは後半に書きますが、端末の活用以前に「理科として」ノートの在り方をどれだけ意識されているかという点が問題になると考えます。先生方が、「ノートに何の要素を書けばいいのか」をはっきりさせれば、デジタルになっても書くことができると考えます。つまり、紙のノートでもデジタルノートでも書き方は変わっても書くべき要素は変わらないと思います。

子どもたちがデジタルノートを使う環境が十分ではないこと

自治体によって、子どもたちのデジタルノートを取り巻く環境が異なります。例えば、Googleクラスルームでまとめるのか、ロイロノートでまとめるのかで、書き方が全く異なるわけです。1年間書きつづけることを考えると、どのシステムを柱にしてどのようにノートを書けばよいのか、という検討が十分でないことも多いです。また、ノートのデジタル化についても、担任に判断を委ねている場合が多いです(学校や自治体で方針を出す場合もあります)。このように、全国的に使い方が統一できていないことから、環境として使いにくいため、デジタルノートに踏み切れないということもあります。

2.そもそも理科の紙ノートでは何を書いている?

そもそも理科のノートは何を書けばよいのでしょうか? 下の写真は4年生後半くらいからチャレンジしていきたい内容です。
3年生は、学習内容上「予想」「仮説」「考察」が抜ける場合が多いですし、そもそもここまで文字を書く内容もありませんし、発達段階上、段階を追って書くことが難しいと思われます。
6年生の最後に作りたいゴールの形として見ていただければと思います。

このノートはあくまでも「自分の考えを追ったノート」であることがわかります。

学級の問題を問題の後に置いたり、友達の考えを(色を変えたり)端っこの方に書いたりすることもあると思いますが、基本的には自分の考えを書くものです。そのため、板書を書き写すだけという使い方も間違っていると思います。

3.デジタルでのノートはどのように書く?

⑴ 紙芝居的にページを増やす形式のノート(ロイロノートなど)

紙芝居的な形式のノートは、ページをどんどん増やしていく前提で書くノートです。こちらは紙のノートと同様に必要な要素を順に書き入れるだけです。紙のノートと違うのは、表や写真を入れることができる点だと思います。キリの良いところでページを切り替えればよいでしょう。今回はキーボードで入力していますが、手書きを入れてもよいと思います。

⑵ ワード形式のような書き方のノート

ワードのように文字中心で書くノートもあります。これは中学校や高等学校で使うことをおすすめします。文字を書くことが前提になっていますので、画像等が簡単に入れにくい点が課題です。

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寺本貴啓

<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。

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