小3らくらくUnit 8「What’s this?」①【モトヨシ先生のスライドde外国語活動】

連載
モトヨシ先生のスライドde外国語(活動)~パワポで楽しくらくらくICT授業
小3【モトヨシ先生のスライドde外国語活動】

パワーポイント教材を映すだけで授業を進められる「モトヨシ先生のスライドde外国語活動」。今回は、Let’s Try! 1 Unit 8「What’s this? これなあに?」第1時の授業案です。本好利彰先生が作成したパワーポイント(スライド)教材ひとつで、外国語活動の授業をらくらくクオリティアップ!

執筆/福島県公立小学校教諭・本好利彰
監修/拓殖大学准教授・居村啓子

スライドは学級の実態に合わせて修正して使いましょう

小学校3年生の「Let’s Try! 1」のUnit 8「What’s this? これなあに?」全5時の1時目の授業の流れです。本時も、私が作成したパワーポイント(スライド)を使った授業を紹介します。学級の実態に合わせて修正し活用してください。

パワーポイント(スライド)を使った授業の進め方

この記事の最後で、パワーポイントのファイルをダウンロードできるようになっています。必要な教師の発話やイラスト、音源などを挿入してあり、この資料を使うことで1時間の授業を行うことができるように作成してあります。このスライドを活用して、クリックしながら授業を進めてみてください。
パワポダウンロードへボタン

  • クリックでスライドを進めるだけで、スムーズに授業を行えます。
  • デジタル教科書を使用する場合は、パワーポイントから切り替えてください。

目標と授業の流れ

【本時の目標】
ミステリーボックスにちょうせんしよう!
【単元のゴール】
クイズ大会をしよう!
【単元の目標】
〇外来語とそれが由来する英語の違いに気付き、身の回りの物の言い方や、ある物が何かを尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しむ。(知識及び技能)
〇クイズを出したり答えたりし合う。(思考力、判断力、表現力等)
〇相手に伝わるように工夫しながら、クイズを出したり答えたりしようとする。(学びに向かう力、人間性等)

【言語材料】
〇What’s this? Hint, please. It’s (a fruit). It’s (green). It’s (a melon). That’s right.
〇it, hint, sea, 動物 (elephant, horse), spider
[既出]I like (blue). Do you like (blue)? Yes, I do. / No, I don’t. No. Sorry. 数(1〜30)、果物・野菜、飲食物、動物、色、形、状態・気持ち、what, is, this, please

本時の流れ(例)

  1. 挨拶
  2. 導入→めあて
  3. ミステリーボックス
  4. 封筒の中身は何?
  5. チャンツ
  6. ふり返り

各活動の流れ

①挨拶

挨拶のあとにUnit7までに学習した What ○○ do you like? などの質問を児童にしてみてもよいでしょう。

②導入→めあて

この単元の What’s this? を使ってクイズを3問出題しましょう。
1問目の答え→アイスクリーム
2問目の答え→海苔
3問目の答え→おにぎり 
パワーポイントのスライドに少しずつ難易度が上がっていくようにつくってあるので、本単元の言語材料である What’s this? の表現を使って以下のようにクイズを行っていきましょう。

We have 3 quizzes today! Can you guess?
What’s this?(スライドを見せながら)
Raise your hand if you know the answer.

It ice cream?

Yes. It’s ice cream.

ここで大切なポイントは、児童が it ~ と間違った英語で答えたら、教師は Yes. It’s ice cream. とさりげなく訂正してリキャストすることです。反復練習を繰り返すのではなく、児童が使いながら慣れていくように指導者は意識をしていきましょう。

イムラ先生のポイント解説
リキャスト

学習者の発話に対する指導者のフィードバックには、大きく分けて直接的フィードバックと間接的フィードバックがあると言われています。前者は学習者の言語使用の誤りを明示的に示し訂正する手法で、後者は聞き返したり、間接的に正しいフォームを与えて、学習者自らの気づきを促す手法です。中でも「リキャスト」は有効なフィードバックの手段として、近年着目されています。例として、子どもが The trees is big. と言った直後に、大人が Yes, the trees are big. と返すのがリキャストす。その特徴は、コミュニケーションの流れを中断することなく、さりげない訂正が行われることだと言われています。1983年にNelson等の研究グループは、子どもが現段階の発話から一歩離れ、文法知識のレベルを上げるためには、このさりげない、小さな訂正の積み重ねが有効だと言っています。

参考文献
Nelson, K. E., Denninger, M., Bonvillian, J. D., Kaplan, B., & Baker, N. (1983). Maternal input adjustments and non-adjustments as related to children’s advances and to language acquisition theories. In A. D. Pellegrini & T. D. Yawkey (Eds.),The development of oral and written language in social contexts (pp. 31–56). Norwood, NJ: Ablex.

各クイズのスライドのヒントはそれぞれ2、3枚用意してあるので、児童の様子を見ながら、ヒントを提示していくようにしましょう。また、児童同士で相談させながら進めるといいでしょう。

シンプルな問題も児童とやり取りを工夫しましょう。例えば1問目であったら Let’s talk about your favorite ice cream. What flavor of ice cream do you like? と聞いてみましょう。アイスやスナックの話をするのは、児童は大好きです。児童が話したいと思うことを適時扱いながら授業を進めると、外国語の授業にもリズムが生まれてきます。リズムよくテンポよく進めてみましょう。
また、ここでは flavor の単語を扱っても児童は分かりません。しかし、児童は教師が答えを言ったり、ALTが答えたりする表現を聞いて推測することはできます。この推測する活動を授業の中では多く取り入れていきましょう。第2言語を習得する上で、推測するということは常に行っていくことになります。児童がどんな意味なのかなと推測する機会を意図的に設けていきましょう。

ここでは、

I like chocolate. How about you? What flavor of ice cream do you like?

I like Matcha.

That’s nice.

のようにやり取りをしましょう。すると児童は、味のことを話していると推測できます。

次の手立ては、児童の誰に指名するかです。挙手して発表をたくさんするクラスであれば、どの児童を指名してもよいでしょう。もし手が挙がらないクラスであった場合は、上位→中位と指名していくとよいです。

教師とALTのやり取りを行ってももちろん意味が分からない児童がいることも考えなければなりません。理解する機会を増やすために教師―上位児童で行うことで、分からなかった児童への理解を促す機会を増やせます。さらに、教師とALTとのやり取りを見せたあとに、「どんな話をしてたかな?」と児童に問うこともできます。

ここでは単元の見通しがもてるようにゴールの活動を見せましょう。最初の3問はスライドを見せましたが、スライドの視覚情報は与えずに音声だけでクイズを出してみます。

O.K. This is the last quiz.
What’s this?
It’s red. It’s a fruit. It is small. It is on the cake.
What is the answer? Talk with your friends.

Strawberry?

Very good. This is your goal.
ではこの単元ではどんなことができるようになるといいかな?

クイズを考える!

そうですね。単元のゴールは「クイズ大会をしよう!」です。この単元の学習内容を見ていきましょう。

このようにして、スライドに表示されている単元の流れを確認しましょう。

③ミステリーボックス

めあて(ミステリーボックスに挑戦しよう!)がテレビに表示されている状態で

What is a Mystery Box?

なんだろう。ボックスって聞こえたな。

This is a Mystery Box.

と言って、教師机に隠しておいたミステリーボックスを見せましょう。ボックスを見せるだけで、児童は「あー、知ってる! やりたい! やりたい!」と意欲が高まります。ミステリーボックスの使い方を英語とジェスチャーで見せて、児童に活動のしかたを理解させましょう。

モトヨシ先生が作ったミステリーボックス

I will put something in the box.(実際にペンを置いてみましょう)
You put your hands into the Mystery Box. (youのところであなたたちだよというジェスチャーを!)

(実際に手をボックスの中に入れましょう。)

You touch and answer.
(実際に触って)I know. It’s a pen!
Now, it’s your turn. Who wants to challenge?

児童はこの活動が大好きなので、たくさんの児童が挙手してくれるでしょう。

難易度は、簡単に分かるものから徐々に難しくしていきましょう。上手な授業は、児童がもっと難しいものに挑戦したいと思えるような流れになっています。例えば、私が実際に使ったのは、ペンやペットボトル、紅白帽、パソコンのマウス、けん玉、付箋、カブトムシの人形などで徐々に難易度をあげていきました。

児童がチャレンジする場合は、挙手をした児童は黒板の前で Close your eyes. Cover your eyes with your hands. と言って目を閉じさせている間に、アイテムをミステリーボックスの中に入れます。活動をしながら、児童が少しずつ It’s~. の形で答えられるようにしていきましょう。児童が表現を間違えるようであれば、すかさずリキャストしましょう。そして徐々に Let’s say it together. と言い、全体での発話も行いながら活動を進めていきます。活動を楽しませながらも教師は児童を少しずつでも表現が言えるように手立てを講じます。

このミステリーボックスの活動は、児童に英語を使わせながら言語を習得させるのには向いている学習です。しかし、「楽しい」が優先されて、授業が終わった時に児童が授業で何を学んだかが分からなくなってしまうということも度々見られます。教師は児童の様子やリキャスト、全体での発話などを状況に応じて取り入れていく必要があります。

④封筒の中身は何?

グループ(1班3、4名)に分けて、ALTと協力して、封筒の中身は何か1人ずつ手を入れさせ、答えを考えさせる活動です。

私が実際に封筒に入れたものは、チョーク→サイコロ→軍手→クリアケースを1つずつ入れて行いました。各グループのところに行き、1人5秒程度の間に封筒の中身を触らせます。教師が廊下側のグループから行くのであれば、ALTは窓側のグループから封筒を持って回りましょう。ここでのポイントは、教師は一人一人に What’s this? とその都度、音を聞かせることです。聞いてほしい音は、シャワーをあびるようにたくさん聞かせていきましょう。

答えを書かせる場合は、ホワイトボードに書かせてもよいですし、1班ずつIt’s~.の形で聞いていくのもよいでしょう。お勧めはオクリンク(ベネッセの授業支援アプリ)を活用することです。使われている端末にもよると思いますが、多くの学校でオクリンクが使えると思います。

オクリンクに回答を提出させ、教師側がグループの回答を把握した上で意図的に指名して代表者に It’s~. の形で答えさせるとよいでしょう。学校の実態に合わせて行ってみてください。

⑤チャンツ

What’s this? It’s 動物名. のチャンツを行いましょう。次時に動物を扱った活動をするので、本時の最後にもってきました。最初にチャンツを行わなかったのは、本日の流れでいうと、使わせながら学ばせるという点に重きを置いたからです。チャンツを復習として活用することで、理解を深めようと考えました。もちろんめあての前後に扱ってもよいでしょう。先生自身の考えでどこでやるかを考えてみましょう。

⑥ふり返り

本時のめあてからふり返りを行いましょう。児童の感想を全体で共有し、称賛しましょう。

居村啓子

居村啓子(いむらけいこ)
拓殖大学外国語学部英米語学科准教授。言語学博士。児童図書出版社、児童英語教育機関勤務、立教大学異文化コミュニケーション学部助教、上智大学言語教育研究センター嘱託講師を経て現職。2020年よりNHKラジオ「小学生の基礎英語」講師を務める。研究テーマは「子どもの第二言語習得」、「フレーゾロジー」。

本好利彰

本好利彰(もとよしとしあき)
福島県公立小学校教諭。福島県小学校・中学校・千葉県小学校教諭を歴任。また地区外国語教育推進リーダーを務める。2018年より拓殖大学外国語学部で「小学校英語教育入門」を担当。2021年東京書籍アドバイザー。

パワーポイント(スライド)ダウンロード

下記ボタンをクリックして、データをダウンロードしてください。

構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ・やひろきよみ  アニメーション/鶴岡信治 歌・チャンツ/本田有紀子

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