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相互理解がなされる職員室になっていますか?【赤坂真二「チーム学校」への挑戦 #51】

連載
赤坂真二の「チーム学校」への挑戦 ~学校の組織力と教育力を高めるリーダーシップ~

上越教育大学教職大学院教授

赤坂真二

多様化、複雑化する学校の諸問題を解決するためには、教師一人の個別の対応ではなく、チームとしての対応が必須である。「チーム学校」を構築するために必要な学校管理職のリーダーシップとは何か? 赤坂真二先生が様々な視点から論じます。
第51回は、<相互理解がなされる職員室になっていますか?>です。

執筆/上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二

職員室崩壊?

今年度になって何度目でしょうか。若手教員が病休に入ったという話を耳にします。理由はいずれも、ベテラン教員による不適切な処遇です。最近の3つを例に挙げると、1つ目は、3人の女性教員による学年団に起こったことです。ベテラン教員を主任とする学年団に、1人新しいメンバーが配属されました。元から学年を組んでいた2人は仲が良く、新メンバーを歓迎していない空気がありました。しばしば学年会中に2人だけで通じる話をしたり、目配せをし合ったりしていました。所謂、「仲間外し」をしていたわけです。2つ目は、新採用教員です。教職を志して教育大学で学び、教員採用試験にも合格し、さあ、これから夢のステージへ、と張り切って初任校に赴任しました。しかし、事あるごとに母親と同じくらいの歳の学年主任に「これもわからないの?」「こんなこともできないの?」と言われる日々が始まりました。2人とも最初はがんばっていましたが、2か月くらい経った頃に体調に変化を来し、精神科を受診し、病休に入りました。

次の例は、とても残念な思いになった話です。ある若手教員は、事務仕事はそこそこできますが、子どもへの対応がうまくないところがあり、今年度の学級は特に厳しい状況になっていました。それでも彼女は、担任としてやれることをいろいろ試みますが、悉(ことごと)くうまくいきません。子どもに反抗されても悪口を言われても、教室に向かい続けました。そうした状況を見かねたのか、あるベテランが、彼女に言いました。

「あなたね、物事には向き、不向きがあるのよ。違う仕事、考えたら?」

彼女は出勤を続けていますが、職員室は、彼女に「一刻でも早く休んでほしい」という雰囲気になっているとのことでした。

最初の例は、「職員室いじめ」とも取れるような内容です。最初の設定を言わなければ、そのまま小学校高学年の女子のトラブルとして置き換えられそうです。また2例目は、新人を鍛えようと熱意ある指導の反映と捉えることもできそうですが、時代錯誤というか、あまりにも稚拙な対応ではないでしょうか。3例目は、様々な思いを喚起させる話です。そのベテランと若手に信頼関係があり、若手を心から心配し、思わず言ってしまった言葉なら、なんとか理解しようという気持ちになります。しかしその後、当該のベテランは職員室で「あたし、あの子に言ってやったわよ」と武勇伝のように他の職員に言っていたと聞きます。これらの事例の断片だけ聞いていると「あちこちで職員室崩壊が起きているのか?」と疑いたくなります。

問題は「低倍率」なのか

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