教師が子どもたちと一緒に入浴するメリット4つ【宿泊学習の面白対応術 #1】
宿泊行事での入浴時、はしゃぎすぎた子どもがケガをしてしまったり、友達同士のトラブルになってしまったりしたら大変です。そこでおすすめしたいのが、教師も子どもたちと一緒に入浴すること! 松下先生が、教師が子どもと一緒に入浴することの4つのメリットをお伝えします。
劇団俳優を経て、公立小学校の教壇へ。得意のダンス指導で日本一になったり、絵本作家にチャレンジしたりと、精力的な毎日を過ごす松下隼司先生。その教育観の底には、子どもも指導者も毎日楽しく、笑顔でありたいという願いがあるそうです。そんな松下先生から、笑顔のおすそわけをしてもらうコーナーです。
指導:大阪府公立小学校教諭/松下隼司
子どもたちと入浴して、一石四鳥!
修学旅行や林間学習などの宿泊行事の入浴では、以下の心配があります。特に、男の子が心配です。
- かけ湯をせずに、体を洗わずに、浴槽に入ってしまう。
- お風呂で泳いでしまう。
- 浴室を走ってしまい、滑って怪我をしてしまう。
- 自分の裸を見せつけたり、友達の裸姿をからかってしまう。
- 体を拭かずに脱衣所に出てしまう。
通常、教師が入浴するのは、子どもたちの就寝を確認してからが多いです。
でも、私は初任のころから、上記のような心配事を防ぐために、子どもたちと一緒にお風呂に入っていました。(私は水着を着て、浴槽には入らず、シャワーだけです)。
男湯に子どもたちと一緒に入浴すると、いいことが4つありました。
1つ目は、入浴時のトラブルを防げたことです。学校で事前指導をしていても、つい羽目を外してしまう子どもがいます。教師の私がいることで、危ないことや下品なことを防ぐことができました。
2つ目は、子どもの就寝時間中のトラブルを防げたことです。子どもたちの就寝を確認したとしても、狸寝入りをしている子どもがいたりします。教師がお風呂に入っている間に、こそこそと起きておしゃべりをして、十分に睡眠をとれなかったりするのです。すると、翌日に疲れが抜けず、体調不良になってしまったりします。子どもと一緒の入浴時間にお風呂に入ることで、子どもの就寝をしっかりと確認できます。
3つ目は、「教師自身がお風呂に入る余裕がない問題」を解消できたことです。大変な学年の場合、子どもたちが寝付くのにはとても時間がかかります。私の経験では、深夜1時半になって、やっと子どもたち全員の就寝を確認できたこともありました。そのときの宿の入浴時間は、23時まででした……。子どもたちと一緒に入ってしまうことで、教師自身の体を清潔に保つことができます。
4つ目は、裸の付き合いができたことです。私は水着を着ての入浴だったのですが、それでも宿泊学習の醍醐味、魅力を子どもたちと共有できました。
「寝食を共にする」にプラスαとして「お風呂を共にする」が加わって、思い出深い宿泊学習になりました。
松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。
松下隼司の笑って!! エヴリディは、木曜に更新します
イラスト/したらみ