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そもそもチームとは何か?【赤坂真二「チーム学校」への挑戦 #3】

連載
赤坂真二の「チーム学校」への挑戦 ~学校の組織力と教育力を高めるリーダーシップ~

上越教育大学教職大学院教授

赤坂真二

多様化、複雑化する学校の諸問題を解決するためには、教師一人の個別の対応ではなく、チームとしての対応が必須である。「チーム学校」を構築するために必要な学校管理職のリーダーシップとは何か? 赤坂真二先生が様々な視点から論じます。
第3回は、<そもそもチームとは何か?>です。

執筆/上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二

「チーム学校」とはいうけれど

ある小学校のミドルリーダーからのメールです。

「うちの校長は、二言目には『チーム〇〇小(校名)』と言いますが、みんなで何かやっているとは思えないし、職員の仲はあんまりよくないし……先生、チームって一体何なのでしょうね」

実はこんな話を少なからず聞きます。「チーム学校」という言葉が現場に入ってきてから、このフレーズを使って所信表明をする校長先生がおられますが、中には実体を伴わず、スローガンレベルで留まっている場合があるようです。前回は、教育的効果を上げている学校には、建設的な職員組織があり、それは校長のリーダーシップに大きく影響を受けていると述べました。学校のリーダーが、チームが何であるかを理解していなかったら、職員をチーム化することはかなり難しい話になるのではないでしょうか。

今回は、このわかっているようでよくわからないチームというものについて改めて考えてみたいと思います。例えば、次のような場合、チームと呼ばれる状態はどこからどこまででしょう。

少し体力に自信のないAさんが、1階にあるとても一人では運べない重さの机を、2階まで持って行かねばならず途方に暮れていました。すると、向こうから屈強そうなBさんが歩いてきました。そこで、Bさんに言いました。

「あのう、お忙しいところすみません。この机を2階まで運びたいのですが、お力を貸してもらえませんか」

腕に覚えがあるのか、Bさんは「それはお困りですね。任せてください」と言って、一人で机を運ぼうとしました。しかし、机は持ち上がりません。それで、二人で持つことにしました。すると、どうにか持ち上がりました。運んでいると、進路を狭められ迷惑そうに足早に脇を通り抜ける人もいれば、心配そうな視線を送る人もいました。「ご苦労さまです~」と声をかけてくれる人も数名いました。その中に「手伝いましょうか」と言って、手伝ってくれる人がいました。Cさんです。腕に覚えのあるBさんでも、やはりきつい作業だったようです。二人は「助かります」と言って、手伝ってもらいました。おかげで、2階まで運ぶことができました。Aさんは、2人に丁重にお礼を言い、二人は「いやいや」と照れながら、その場を去っていきました。

いかがでしょうか。チームとは誰のことで、どこからどこまででしょうか。もう、おわかりですね。チームの最低人数は、二人と言われます。AさんがBさんに声をかけたところから、チームづくりが始まり、チームが結成されたのは、二人で机を持とうと決めたときです。そして、途中でCさんの援助を受け入れ、机を階上に運びました。ここまでがチームであり、作業が終わったときにチームは解散しました。

チームの正体

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