小1国語「ききたいな、ともだちのはなし」指導アイデア
教材名:「ききたいな、ともだちのはなし」(光村図書 一年下)
指導事項:〔知識及び技能〕(1)ア 〔思考力、判断力、表現力等〕A(1)ア・エ
言語活動:イ
執筆/東京学芸大学附属小金井小学校教諭・小野田雄介
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、東京学芸大学附属小金井小学校教諭・成家雅史
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
「ききたいな、ともだちのはなし」という教材は毎学期掲載されていて、これが最後の3回目となります。終わりまで話を聞くことや、感想を話す学習を、これまで重ねてきたところだと思います。子供たちは、聞き手の反応があることで、話し手も話しやすくなることを感じていることでしょう。
本単元では、話し手の話を聞いて、詳しく知りたいことを質問する力を育てます。子供たちが質問を通して、友達の話をより理解できた、という実感をもてるようにしていきましょう。
② 言語活動とその特徴
「知りたいな! あなたのお気に入りの本」と題して、友達のお気に入りの本の紹介を聞いて、質問をする言語活動を設定します。好きな本を紹介できるという活動は、子供たちにとって意欲をもちやすいでしょう。
図書の時間に読んだ本、また家で読んだ本など、これまでの読書体験をふり返らせながら、お気に入りの本を1冊選ぶ場を設定しましょう。本をどのように紹介するか、ということは、その後にどんな質問をするか、ということと関わってきます。紹介の時点でたくさん話してしまっては、その後に質問したいことはなくなってしまうでしょう。
本単元では質問する力の育成に主眼を置いていますから、紹介はあまり長くないほうがよいでしょう。そうは言っても子供たちはたくさん話したいことだろうと思います。そこで鍵となるのが、単元冒頭の教師による本の紹介です。ここで教師が短い紹介を行い、その後の子供たちとのやりとりを通して、紹介していなかったことがどんどん引き出されていく様子を見せていきましょう。
「みんなのおかげで、先生は話したかった以上のことが話せたよ」と伝えてあげると、子供たちは「聞くことで、たくさんのことが知れるんだな」ということを実感することでしょう。
単元の展開(2時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
◎学習の見通しをもつ。
・教師による本の紹介を聞いて感想や質問を述べ、お気に入りの本を紹介するという学習の見通しをもつ
→アイデア1 主体的な学び
→アイデア2 対話的な学び
【学習課題】しつもんして、たくさん知ろう
・教師がどのように本の紹介をしていたかをふり返る。
・どんな質問ができそうか、「質問カード」として整理する
第1時と第2時の間
図書の時間をつくり紹介したい本を選んでおく。
第二次(2時)
◎本の紹介を聞いて、詳しく知りたいことを質問する。
・紹介のしかたを確かめる(練習する)。
・グループで本の紹介を聞いて、詳しく知りたいことを質問する。
→アイデア3 深い学び
・質問することのよさについてふり返る。
アイデア1 みんなの「お気に入りの本図書館」をつくる
学習の見通しをもつ際に、ぜひ「みんなの『お気に入りの本図書館』を教室につくってみよう」と投げかけてみましょう。子供たちはきっと喜ぶはずです。ただ、紹介する本をみんなが知ってしまうと、質問することがなくなってしまうので、図書館の開設は紹介後がよいと思います。
第1時と第2時の間を数日空け、その間に図書室に行く時間をつくると、子供たちは紹介する本を選ぼうと主体的に読書するでしょう。紹介後に、学級に本を置いてもらえるとなれば、なおさらです。実態に応じて、家庭にある本を紹介してもよいとすると、さらに学びの場が広がるかもしれません。
本を置くだけでもよいですが、紙に子供たちの名前とお気に入りの本を書いてポップのように掲示すると、誰のお気に入りの本なのかが分かって、よりよいでしょう。
次は何を読もうかなあ
○○さんのお気に入りの本、面白かったな!
アイデア2 教師による本の紹介を通して見通しをもつ
単元のはじめに、教師によるお気に入りの本の紹介を行いましょう。教科書の例文を参考に3文程度の紹介がよいでしょう。
先生が好きなお話は「××」です。○○が出てきます。面白いところは……
紹介後に感想を聞いてみましょう。そのなかで、質問を言う子供や、質問につながるような言葉(例えば「どんなお話か知りたいです」など)を価値付けて、「もっと知りたいことがある人はいますか」と返してみましょう。さまざまな質問が出てくるはずです。
この活動を通して、質問すると紹介したこと以上のことが知れることを実感できるようにします。その後の学習の見通しをもつ段階では、教師が紹介したことと、みんなが質問したことをそれぞれふり返って、どのような紹介のしかたをするか、また、どんな質問ができるのか、考える場を設定します。「しつもんカード」などの名前を付けてまとめておくと、次時で有効に働くでしょう。
▼しつもんカード
イラスト/川野郁代、横井智美
『教育技術 小一小二』2021年12/1月号より