小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア
執筆/北海道公立小学校教諭・村上雅之
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・塩見英樹、北海道公立小学校校長・大牧眞一
目次
授業づくりのポイント
ゴール型のボール運動では、コート内で攻守が入り交じり、投げる、運ぶといった「ボール操作」とボール保持者からボールを受けることのできる場所に動くなどの「ボールを持たないときの動き」によって得点を競い合う楽しさや喜びを味わうことができるゲームを行います。
バスケットボールを基に簡易化した本事例は、守備側よりも攻撃側の人数を多くすることで、攻撃側にとって易しい状況の中でチームの作戦に基づいた位置取りをするなどして得点を目指していけるようにしています。攻撃側にとって、ゴール型ボール運動の難しさは、ドリブルやパスなどの技能、味方や守備者の位置取りなど、意識すべき課題が複数あることです。
今回は、ドリブルを取り除くなどのルールの簡易化を行うことで、直接、守備者に邪魔をされる場面を軽減し、シュートチャンスをつくり出す「ボールを持たないときの動き」をより重点的に取扱うことで、子供がボール運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにします。
感染症対策としては、地域の感染状況等に応じて、3名程度の特定のチーム同士の対戦とし、子供同士が近接する場面が発生する活動を、活動時間全体の1/3程度にしたり、移動できるエリアを区切って制限したりするなどの工夫が考えられます。また、不必要な大声を出さないようにする等の感染予防に配慮した指導を行います。
単元計画(例)
楽しむ① 守備の動きを制限したゲームで、仲間からパスをもらってたくさんシュートを決めよう
毎時間ゲームを行い、ゲームを通してルールを理解していくことを目指します。さらに、ゲームにつながる運動を毎時間取扱い、ボール操作の知識及び技能の習得を目指すことも大切です。ゲームにつながる運動では、フリーシュートゾーンでシュートを打つ活動や、守備者にカットされないようにパスをする活動が効果的です。
ルール
〇人数…3人対3人。攻撃専門はセンターラインから自分のコートに入って守れない。
〇時間…5分程度
〇得点…フリーシュートゾーンからの得点は2点、それ以外の場所からは3点。
【攻撃】
・ドリブルを使わずにパスをつないで攻める。
・フリーシュートゾーンでは守備者に邪魔されることなくシュートを打つことができる。
【守備】
・攻撃専門は、センターラインより前では守れない。
・守備側は色が塗られている制限エリア内に1人、それ以外のエリアに1人で守る。
・攻撃の得点が入った場合はエンドラインの外から、守備側のボールでスタートする。
・ボールを持っている人から直接ボールを奪うことはできない。ただし、パスカットはすることはできる。
その他のルール
・ゲームはセンターサークルから始める。
・コート外にボールを出してしまった場合や反則があった場合は、近くのサイドラインの外から相手ボールでスタートする。
ゲームにつながる運動例
フリーショート

ランバスシュート

三角パス

鳥かごパス

販促などの例
トラベリング

ファール

楽しむ② 自分たちのチームに応じた作戦を選んで、たくさんシュートを決めよう
ゲーム記録カードを使って課題を見付ける活動の例


チームの特徴に応じた作戦を選ぶ例
フリーシュートゾーンから出る作戦

フリーシュートゾーンに入る作戦

1人1台端末等を使って課題を見付ける活動の例


1人1台端末を活用して自分たちのチームの課題を解決する手立て
ゲーム前に作戦ボードやデジタルホワイトボードで動き方を確認

ゲーム前に自分たちの課題となる動きを、作戦ボードやデジタルホワイトボードで確認しておくと、ゲームで誰がどのように動くとよいかが明確になります。
ゲームの映像を撮影し、ゲーム後にめあてにしていた動きができていたか確認

自分のチームやペアのチームの仲間に、撮影してほしい場面や動きを伝えることで、より課題を意識してゲームをすることができます。また、ゲーム後には、映像を観て振り返ることができ、次のゲームや学習のめあてにもつながります。
学習の最後に「ナイスプレー」をまとめる活動

学習カードに課題の解決につながった動き「ナイスプレー」を記録していきます。動画をタブレットにまとめたり、「映像をナイスプレー集」として撮りためたりすることで、成長を実感し、次の学習へのめあてとなります。
イラスト/栗原清
『教育技術 小五小六』2021年12/1月号より