「ポートフォリオ」とは?【知っておきたい教育用語】
学習成果物を保存し、役立てるための「ポートフォリオ」。その役割や活用法、近年話題の「eポートフォリオ」について解説します。
執筆/東京学芸大学教育学部教授・日本教育工学協会会長・高橋純

目次
ポートフォリオとは?
教育分野におけるポートフォリオは、子どものさまざまな学習成果物を対象とし、それらを保存・蓄積し、整理・分析をしたり、一覧にしたりして、いつでも把握できるようにし、学習や指導の改善などに役立てていくことを指します。
ポートフォリオは、教育のみならず、金融や転職市場などにも使われる言葉です。教員以外の方にとってはむしろ、教育以外の意味の方が馴染みがあるかもしれません。どの場合においても、対象が異なるだけで、ポートフォリオの役割は似ていると言えるでしょう。
ポートフォリオが必要な理由
なぜポートフォリオが必要なのでしょうか。ペーパーテストは、主に個別の知識・技能といった基礎的な資質・能力を測定することが得意です。それらは短期的な学習の成果が中心と言えます。
一方、思考力、判断力、表現力などといった高次な資質・能力は、中長期的に育まれます。単純な用語のくり返しといった学習活動で身につくことはなく、複合的で総合的な学習活動のくり返しで育まれますので、ペーパーテストでの測定は困難です。学習プロセスが重要と言えます。
当然ながら学習プロセスは、学習者ごとに異なります。こうした学習プロセスを可視化していくために、ポートフォリオが用いられます。一般に学習者ごとに作成し、学習者自身が作成することが多いです。