教室が笑顔になる10月のラッキーアイテム「先生文庫」
スポーツや芸術など様々な秋を楽しむ季節になりました。そこで、子供たちに読書の秋をすすめる上で活躍するのが「先生文庫」。先生が幼少期に読んでいたお気に入りの一冊を教室に並べれば、子供たちの興味がそそられることは必至です。想像の翼を羽ばたかせ、感性を豊かにする読書を学級の習慣にしませんか。
目次
10月のラッキーアイテム
「先生文庫」
「人となりは読書歴から分かる」と言われることからも、読書は人生そのものと言っても過言ではありません。先生自身が子供だった頃に読んでいた本や、大人になった今、読んでいる本を知りたがる子は意外にも多いものです。それらの本を紹介するアイテムが「先生文庫」です。これをきっかけに読書が好きになる子もいるのではないでしょうか。
作り方は、ホームセンターで売っているような収納ラックに色画用紙やブックスタンドで飾りをつけて完成です。読書の秋にぴったりのアイテムです。
Point1 先生の歴史が読書で分かる
先生自身が子供の頃に大好きだった本を、先生文庫に入れておきましょう。その本の話や魅力を一番知っているのは先生自身です。当時の感情をエピソードを添えながら、生き生きと語る先生を見て、子供もその本に興味をもってくれるだけでなく、先生の歴史にも興味をもってくれることでしょう。
また、私は趣味の一つに「漢字検定を毎年受ける」というのがあります。書き込みをしながら勉強したテキストも、先生文庫の中に入れておきます。
先生もこうやって勉強しているんだね。僕も漢検受けようかな
といって漢字に興味をもってくれる子も過去にいました。他にも、ぼろぼろになった英単語帳や美文字練習帳など、先生自身が自己研鑽として取り組んでいる本を入れてみてもいいのではないでしょうか。
Point2 広げる読書、つながる読書
絵本から小説まで、さまざまな種類の本が揃う先生文庫ですが、子供たちからこのような声が聞こえてくることがあります。
この本、僕も読んだことあるよ
小さかったときに、お母さんに読み聞かせしてもらっていたよ
この本、お父さんが読んでいたなあ
他にも
この『星の王子さま』って本、お母さんも大好きだったんだって
と教えてくれる子がいました。その子も本を読むきっかけにもなりましたし、保護者懇談会などでも話題となりました。
また、絵本などであれば、ぜひ読み聞かせを行ってあげることをおすすめします。その際にはこんな風に言葉がけをするのもよいでしょう。
今度、読み聞かせをしたいと思います。
もしよければ、みなさんの思い出の本を教えてくれませんか⁉
翌日には、小さな頃から大切に読んでいたであろう絵本を持ってきてくれる子たちが現れました。何度も繰り返し読んだことが分かるほどに、ぼろぼろになった宝物のような本ばかりです。それを何日かに分けながら順番に読み聞かせをしていると、子供たちの中から「僕も読み聞かせがしたい」というような声が上がりました。
相手に本の中身を見せながら行う読み聞かせは、小学4年生が行うには難しいものがあります。うまく読み聞かせができないと、聞いているうちに飽きてきてしまう子もいるかもしれません。そこで書画カメラなどを活用することをおすすめします。
書画カメラを使用することで、クラス全員に見開きページを大きく見せることができるだけでなく、読み手も集中して文字を追うことができます。
また、懇談会の際に廊下で待たれている保護者の方に向けて「先生文庫」を廊下に設置したところ、保護者の方が興味を示し「この本、面白いですね。お借りしてもいいですか」と、言われることもありました。本によって保護者との関係がつながる場面が何度かありました。
本好きな子を育てるには、まわりの大人が本を好きでいることが一番だと言われます。ぜひ皆さんの学級にも「先生文庫」を設置してみてください。読みたい心に火がついた際には、ビブリオバトルやブックトークをしてみてもいいですね。
*ビブリオバトル…数名の参加者がそれぞれ自分が読んで面白いと思った本を紹介し、会場の全員でディスカッションする。その後、一番読みたいと思った本を投票で決める。
*ブックトーク…設定したテーマ(「自然」「出会い」など)に沿って、数冊の本を紹介すること。
八神進祐(やがみしんすけ)●1988年、愛知県生まれ。愛知教育大学卒業。教育サークルMOVE代表。子供たちの“ありのまま”を大切にした教育実践に取り組んでいる。
著書「今すぐ真似したくなる教室のひみつ道具図鑑」、教育論文入賞多数、第5回・第7回「全国授業の鉄人コンクール」優秀賞、フォレスタネットグランプリ初代MVP。
YouTubeでは小学館「みんなの教育技術」より、授業力アップ動画を、Twitterでは「だいじょーぶ先生」(@teacher16694123)としてアイデア溢れる教育実践を発信中。