学校から持続可能な社会へ 身の回りにあるSDGsを取り上げる授業6案
最近よく耳にする「SDGs」という言葉。SDGsとは、2015年に国連本部で採択された世界共通の17の開発目標です。学校でできることについてまとめました。
執筆/愛媛県公立小学校教諭・篠原慶史
目次
SDGsって、何?
最近、SDGsという言葉をよく耳にします。学校で何をすればよいのでしょうか。SDGsとは、「みんながずっと地球に住み続けられるようにする」「みんなにとって幸せな未来にする」ために、2015年に国連本部で採択された世界共通の17の開発目標です。
SDGsって、なぜ必要?
知っていますか?世界の現状
1日1.9ドル(約210円)以下で生活する人たちが約8億人います。
世界の約5900万人もの子供が小学校に通えず、賃金の高い仕事に就くことができません。
開発途上国では、5~17歳の子供の4人にひとりが働いており、児童労働がなくなりません。
★日本にもさまざまな問題
日本では1年間で612 万トンの食品が廃棄されています。
温暖化により、気温の上昇やゲリラ豪雨、巨大台風の出現が懸念されています。
新型コロナ禍で、200 万人以上が仕事を失い、生活に困っています。
学習指導要領(平成29年公示) には、「持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる」とあり、自分のことだけを考えるのではなく、自然や生き物のこと、よその国の人たち、困っている人のことまで考えて、何年後もずっと暮らしていけるようにすることが大切です。学校や地域にもSDGsに関連することがたくさんあります。
学校内や地域の中のSDGs
代表委員会
学校生活を楽しく豊かにするために話し合い、協力し合うことは、地域や世界をよりよく変える第一歩です。
給食室
感謝の気持ちを持って給食をむだなく食べることは、生産者の方や調理する方の、よりおいしく、より安全な食品づくりを後押しします。
縦割り班遊び(異学年交流)
思いやりの心を持ち、仲良く遊ぶことは、世界中の人々が幸せに暮らせる社会をつくることにつながります。
水道やトイレ
雨水をトイレで使ったり、節水を心がけたりすることは、限られた資源をむだなく有効活用することにつながります。
正面玄関
正面玄関などにあるスロープは、階段を使いにくい人も、安全に平等な教育を受けることにつながります。また、すべての子供にその意義を伝えることでインクルーシブ教育につながります。
飼育小屋や花壇
生き物を大切に育てることで、自然の恵みを利用しながら生きる私たちが、「自然との共生」について考えることにつながります。
地域の公民館
子供から大人まで誰もが使える公民館です。誰もが使いやすい公民館について考えることは、地域をよくする第一歩です。
学校の学びの中でのSDGs
学校で学んでいることには、SDGsとかかわることが多くあります。学んだことを生かして、学校や地域、世界に向けて何ができるかを考え、行動に移してみましょう。
SDGs × 教科学習
5年生道徳
「ブータンに日本の農業を」
他国の文化を理解するためにできることや学校や地域のためにできることは何か考えてみましょう。
6年生理科
「人と環境」
地域の環境について調べることはないか環境を守るために今日からできることはないか考えてみましょう。
6年生社会
「長く続いた戦争と人々のくらし」
クラスのみんなの仲をもっと良くするために、どんな話合いを行えばよいか、平和な世の中にするためにできることはないか考えてみましょう。
SDGs × 総合的な学習の時間
福祉・健康
身近な福祉活動について調べたり、障害者の立場に立った体験活動を行ったりすることで、さまざまな立場に立って物事を考えていきます。さらに、地域を見回して、障害のある人も高齢者も子供も困ることはないか、できることを考えてみましょう。
環境
さまざまな小さな生き物や植物について調べ、守る活動。生物の多様性や生き物の神秘性を知る活動を行います。さらに、地域の生き物やそれらが住む環境を守るためにできることはないか考えてみましょう。
伝統芸能
地域の伝統芸能や文化を調べ、その素晴らしさや受け継ぐ大変さを知る活動を行います。実は、そういった伝統が日本のよさであったり、ほかの文化を容易に受け入れたりすることにつながります。今後も受け継がれていくものとするために、持続可能な伝統文化について考えてみましょう。
イラスト/種田瑞子
『教育技術 小五小六』2021年10/11号より