タブレットの活用でわくわく!学級経営
新型コロナ禍での対応で一気に加速したGIGAスクール構想。教室の風景は数年前と大きく変わり、タブレット端末を活用した授業が増えました。そこで、今回はタブレット端末を学級経営に生かす視点に立った実践例を紹介します。
執筆/東京都公立小学校教諭・吉井貴彦
目次
朝の時間の工夫
リモート全校朝会
全校朝会では、全校の子供が一堂に会することが難しくなりました。そこで、放送室と各教室のテレビをつなぎ、放送室から学校長の話を伝えている学校も多いです。
ほかにも、安全指導や読み聞かせを映像にし画面に映すことも考えられます。
朝の会のスピーチ
日直のスピーチでは、子供がタブレット端末を用いて3分間スピーチをすることも考えられます。その場合には、スピーチを聞いた子供はその場で感想をタブレットで入力し、スピーチのよかった点をコメントします。
こうすることで、迅速なフィードバックが得られ、日直の児童が認められる経験となり、自己肯定感の高まりにつながります。
学習での工夫
アンケート機能
多くのタブレット端末には、アンケート機能がついています。例えば、以下のような使い方があります。ぜひ使ってみてください。
- 総合的な学習で発表した子供に、他の子供が感想を書く。
- 家庭でのタブレット端末の使用について保護者に答えてもらう。
- 学校行事の振り返りをアンケートに入力し、円グラフで示す。
宿題の回収
宿題によっては、提出のチェックもタブレット端末で行うことができます。提出箱を設定するとどの子が提出済みかがひと目でわかります。
学習の補助教材として
学習の進度は一人一人違います。進度の早い子供は授業中にただ待つという空白ができてしまう経験はないでしょうか。そこで、タブレット端末の教材を用いて、発展問題や繰り返し学習を進めるのも有効です。
係活動での工夫
係ポスター
係活動のポスターをタブレット端末で作成することが考えられます。写真やグラフなどの資料が活用しやすくなるのが利点です。ただし、個人の写真を載せる場合は、許可をとるなど、情報モラルの視点からの指導が必須です。
係の情報発信
漫画係では、描いた漫画を撮影し、電子書籍として家でも見られるようにしています。子供のアイデア次第で表現方法は多岐にわたります。
地域社会での工夫
地域や社会とのかかわりにおいても、子供の発想力は無限大です。また、役割があると、子供は必ず成長します。東日本大震災のときに被災地で力を発揮したのは子供たちでした。避難所でボランティア活動を始めたり、合唱を行って勇気づけたりする姿がそこにありました。
このコロナ禍ではどうでしょうか。タブレット端末が配付され、可能性は広がりました。
学校、子供ができることは必ずあります。地域や社会のために、タブレット端末を使うことができないか、考えてみてください。そして、地域社会のために行動する子供はきっとわくわくしており、成長が加速することでしょう。
Q&Aコーナー 教師の心構え
Q 新型コロナ禍で、ハイタッチやスキンシップができない分、意思疎通する上での困難さを感じています。どうしたらよいでしょうか。
A ある研究では、パソコンやスマートフォンの画面越しでは、視覚情報が制御されるため相手に思いが伝わりにくいとされています。そこで、気持ちを3割増しで伝えるとよいと提案されています。これは、教室でも同様です。マスクで表情が見られないなど子供とのコミュニケーション不足を感じるときには、気持ちを3割増しで伝えることを心がけてみてください。
あの有名曲は学級経営の歌!?
中島みゆきさんの代表曲のひとつに「糸」があります。学級経営で例えるならば、縦の糸は「教師と子供」で、横の糸は「子供と子供です。特に高学年では、横の糸のつながりが強くなる分、子供が悩むことも多いです。教師が子供同士の横の糸をつなぐ調整役となることが学級経営の鍵です。ときにはひたすら悩みを聞き、ときには校庭で一緒に遊ぶ。そのひとつひとつの積み重ねが「織りなす布となります。担任自身のよさを生かし、心と心の糸を紡いでいきましょう。
イラスト/北澤良枝
『教育技術 小五小六』2021年10/11号より