ホースだけで水槽の水をバケツに移す方法【土作先生ミニネタ動画】
【知っているか知っていないかで大違い! ツッチー先生のミニネタコーナー】第12回
授業ミニネタの達人・土作彰先生が、理科の授業を楽しくするネタを紹介します。水が入った水槽を子供たちの前に用意し、中の水をホースだけを使って移動させる方法について考えさせ、実演してみせます。驚きとともに学級を盛り上げつつ、理科の探究的な興味喚起へとつなげます。子供たちにとっては、水槽の水換えなどの学級活動上にも役立つ実践的な知恵となります。
目次
ホースだけで水槽の水を”一瞬にして”バケツに移す!?
今日は楽しい理科実験をご紹介します。
まず、卓上に水の入った水槽とゴムホース、そして、それより低い位置にバケツを用意します。
子供たちに、「このホースを使って、水槽に入っている水を一瞬にしてバケツに移すにはどうしたらよいでしょうか!?」と聞きます。
「やりたい子!」と言うと、子供たちは前に出てきてホースを水に沈めてみたり、水をホースで一生懸命すくっては入れ……ということをやってみたり、いろいろな方法で頑張ってくれるのですが、なかなかうまくいきません。
「サイフォンの原理」を使って実演!
そこで、実演してみせます。
①ホースの片方の端を水に沈めます。
②もう片方の端に口をつけて、ストローのように吸います。(水は口に入っても大丈夫なように、きれいなものを用意しています。ストローより太くて長いので、少し大変です。口を使わない方法は下記参照(※))
水を上の端まで吸い上げて、ホースの中が水でいっぱいになった状態を作ります。このとき、ホースの中は水が満ちている状態です。
③口にくわえていたホースの先を、空気が入らないように指でおさえながら下のバケツに向けると、上にある水槽の水が、(水面より高い所を経由して)下にあるバケツに移ります。上にある水槽の水からホースをあげるまで、水は流れ続けます。
このしくみを、『サイフォンの原理』といいます。
科学は生活に役立つ——「知恵」として伝えよう
メダカの水槽の水を換えようと、洗い場まで持っていくときに落としたりする事故があります。
「こういうことを学んでおくと、水槽を移動せずに効率的に水を移し換えることができるので、非常に便利だよ」という話をしてあげるとよいでしょう。
ホースはホームセンターの切り売りで数百円で手に入ると思います。
よかったら、試してみてください!
※【編集部記】以下の方法で、口で吸い上げることなく行うことができます。汚れた水槽の水交換の場合にも適用できます。
①ホースを水中に沈めてホースの中を水で満たす。
②ホースの一方は水中にある状態で、片方を親指の腹でふさぐようにして水槽から出し、水槽の水面より下になるようにする。(洗い場など、排水する場所が水槽の水面より下にあることを確認する。)
③押さえている親指を離すと、水が勢いよく出てくる。
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理科が日常生活の中で役立つことを知る、生きた授業になりますね! 皆さんの学級の子供たちは、どんな方法で水を移そうとするでしょうか……? 先生の実演に驚く表情も楽しみです。ぜひ、サイフォンの原理を子供たちに披露してみてください。
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土作彰(つちさくあきら)●1965年生まれ。奈良県公立小学校教諭。「学級づくり」改革セミナー主宰。『マンガでわかる 学級崩壊予防の極意: 子どもたちが自ら学ぶ学級づくり』(小学館)、『知っているだけで大違い!授業を創る知的ミニネタ45」(黎明書房)他多数。