小学校の学級会 基本的な流れと進行のコツ
子供たちが主体となって、議題について話し合い、折り合いをつけて意見をまとめたり、解決方法を決定していく・・・そんな学級会ができるようになるため、教師はどんな指導が必要でしょうか。今回は、学級会の基本的な流れと進行のコツについて、詳しく説明します。
執筆/熊本県公立小学校教諭・中尾聡
目次
1.学級会の基本的な流れ
2.出し合う段階
出し合う段階では、主に次の二つの方法が考えられます。 また、高学年であれば話型にとらわれず、自分の言葉で発言できるように指導していくことも大切です。
1 本時で、意見を出し合う
出し合う段階では、自分の好き嫌いだけでなく、提案理由に沿って自分の意見が言えるようにします。
2 事前に、短冊などで出し合う
事前に出し合っておくことで、比べ合うなどの時間を多くとることができるメリットがあります。
3.比べ合う→まとめる(決める)段階
「比べ合う」→「まとめる(決める)」段階では、それぞれの意見の良さを比べ合いながら、学級のみんなで折り合いをつけて、合意形成を図っていきます。特に高学年では、「なぜ、その意見が出されたのか」など、相手の思いにまで聞き合うような話し合いができるようにしましょう。
4.合意形成の方法について
学級会では、安易な多数決で決定することなく、折り合いをつけて合意形成をしていく姿を目指しましょう。その際、少数意見も大切にしながら、できるだけたくさんの意見の良さを生かし合う方法を考えるようにします。合意形成の方法には、いくつかのパターンがあります。まずは、教師がそのパターンを知っておくことが大切です。
パターンA 多くの子が賛成していて、数人が反対している場合の合意形成
●優先順位をつけて妥協する「優先順位型」
〈例〉今回は賛成の多いドッジボールを行い、次回は陣取りをするなど。
●条件を付けて合意を図る「条件付き賛成型」
〈例〉反対理由をよく聞き、「○○ならば賛成できますか?」など、条件を付けて賛成を促し、合意を図る。
●意見Aを中心として、意見Bの良さを加える「追加型」
〈例〉メダルをあげたいという意見に、折り紙をあげたいという意見の良さを加えて、「メダルの裏に折り紙」を添えてあげるという意見にする。
パターンB 複数の意見に絞られた場合の合意形成
●それぞれの意見を縮小して、全部行う「盛り合わせ型」
〈例〉クイズ、手品、お笑いという意見を、時間を短くして全部行う。
●それぞれの意見を合わせる「合体型」
〈例〉野球をやりたいという意見と、サッカーをやりたいという意見がぶつかった場合、キックベースボールをするなど。
少数意見にも耳を傾け、相手の思いまで理解し合い、合意形成を図る姿こそ、話合い活動で育てたい大切な資質・能力です。
<参考文献>『特別活動虎の巻Ⅲ』熊本県特別活動研究会編
イラスト/横井智美
『教育技術 小五小六』2019年9月号より