小3らくらくUnit 5「What do you like?」③【モトヨシ先生のスライドde外国語活動】
ゆたかな言語活動を行うためにICTを活用した授業が求められる外国語活動。しかし、様々なツールや教材を切り替えながらでは、手惑う場面もしばしばでしょう。本好利彰先生がこれまでの授業で作成してきたパワーポイント(スライド)教材は、これひとつ、授業の導入から終末までモニターに映すだけで授業を組み立てられる”お助け教材”です。「モトヨシ先生のスライドde外国語活動」で外国語活動の授業を、らくらくクオリティアップ!
今回は、Let’s Try! 1 Unit 5「What do you like? 何がすき?」第3時のらくらく授業の進め方です。
執筆/福島県公立小学校教諭・本好利彰
監修/拓殖大学准教授・居村啓子
目次
スライドは学級の実態に合わせて修正して使いましょう
小学校3年生の「Let’s Try! 1」のUnit 5「What do you like? 何がすき?」全5時の3時目の授業の流れです。本時も、私が作成したパワーポイント(スライド)を使った授業を紹介します。学級の実態に合わせて修正し活用してください。
パワーポイント(スライド)を使った授業の進め方
この記事の最後で、パワーポイントのファイルをダウンロードできるようになっています。必要な教師の発話やイラスト、音源などを挿入してあり、この資料を使うことで1時間の授業を行うことができるように作成してあります。このスライドを活用して、クリックしながら授業を進めてみてください。
- クリックでスライドを進めるだけで、スムーズに授業を行えます。
- デジタル教科書を使用する場合は、パワーポイントから切り替えてください。
目標と授業の流れ
【単元のゴール】
校長先生や保健の先生たちにインタビューをして、その先生たちを紹介しよう。
【本時の目標】
校長室や職員室でインタビューするための作戦ワークシートを考えメモし、リハーサルしよう!
【単元の目標】
〇日本語と英語の音声の違いに気付き、身の回りの物の言い方や、何が好きかを尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しむ。(知識及び技能)
〇何が好きかを尋ねたり答えたりして伝え合う。(思考力、判断力、表現力等)
〇相手に伝わるように工夫しながら、何が好きかを尋ねたり答えたりしようとする。(学びに向かう力、人間性等)
【言語材料】
◎What do you like? I like (tennis). What (sport) do you like? I like (soccer). what, color, スポーツ (sport, volleyball, table tennis)、飲食物 (food, hamburger, pizza, spaghetti, steak, salad, cake, noodle, egg, rice ball, jam)、果物・野菜 (fruit, grapes, pineapple, peach, melon, banana, kiwi fruit, lemon)
[既出]挨拶、Do you like (blue)? Yes, I do. / No, I don’t. 数 (1〜20)、色、果物・野菜、飲食物、スポーツ
単元の流れ(例)
第1時:新しい表現になれよう
第2時:クラスのランキングを作ろう
第3時:インタビューの作戦を考えよう
第4時:インタビューをしに行こう
第5時:先生方の紹介をしよう
本時の授業の流れ
- 挨拶
- 歌
- チャンツ(色)
- 単元ゴール、本時のゴールの確認
- インタビューについての説明
- 評価について(ルーブリック)
- 作戦タイム&リハーサル
- ふりかえり(Can Do List)
各活動の流れ
①挨拶
Hello, how are you? で挨拶をするなど、これまで習った表現を使って授業をスタートしてみましょう。
②歌
デジタル教科書に出てくるHelloSongの歌です(Unit2)。ここで扱うのはインタビュー時にも活用できるからです。もし初めての場合は、朝の歌の時間等で継続的に扱うとよいと思います。
③チャンツ
1時目に行った色のチャンツです。
④単元ゴール、本時のゴールの確認
本単元のゴールを再度ペアで確認させます。本時の活動を行う前に単元のゴールを児童と確認しましょう。単元の中で立ち止まりゴールを振り返ることで、活動の目標がより明確になります。
⑤インタビューについての説明
今日は、校長先生たちにインタビューをしに行く時間に向けて、作戦を考えましょう。グループで話し合ってほしいことは、どんな質問をどんな順番でインタビューするかです。これも自分たちで考えます。では、その前に評価、どんなことを頑張ってほしいか確認しましょう。
⑥評価について(ルーブリック)
ルーブリックを教師と児童で共有することで、児童自身がどんなことが評価されるのか明確になります。共有することで児童がより主体的にそして具体的に何を頑張ればよいのかイメージしやすくなり、ルーブリックを活用することは効果的であると思います。
勉強したこと→これまで習ってきた Unit 1~Unit 4 でどんなことを学習してきたのかを振り返ります。既習事項をインタビューに生かせるように話をしましょう。振り返ることで、Unit 1 の世界の挨拶から Hello ではなくジャンボと校長先生に挨拶したり、Unit 2 の How are you? を校長先生に聞いたり、もしくは聞かないグループも出てきたりすると思います。
⑦作戦タイム
スライドを見せながら、以下の点を確認しましょう。
●どんな質問を誰がするか考える。
●はじめや終わりの挨拶は誰がするか。ビデオを撮る順番なども決める。
●日本語で書いてよい。
○元気か聞く ×ハワユー ←カタカナでは書かない
●質問されたら、似たような質問を聞かれることもある。
ここでの説明で大切なことは、ルーブリックで共有した評価を基にして児童たち同士で思考させ、インタビューに向けて話合いを行わせることです。そして、そのすべてが相手のことを知るために行っている工夫だと共有することが大切です。
英語で質問する内容やその順番などが決められているインタビュー活動を学校訪問などで見ることがよくありました。
①挨拶 How are you? と聞く。
②自分の好きなスポーツを伝える。
③相手の好きなスポーツを聞く。
④終わりの挨拶をする。
この活動のしかただと、児童は思考しているのではなく、暗記をしていることになります。例えば、③に「相手のすきなスポーツを聞く」とありますが、はじめから決められていることを言うだけでは、相手がスポーツを嫌いな場合は質問自体が相手への配慮がないものになってしまいます。既習事項から考えると、“I like sports. Do you like sports?” と、まずスポーツが好きかどうかを聞くことです。好きだと言われたら “What sport do you like?” と次に質問することができます。
作戦タイムでは、インタビューをする対象が誰であるかも含めて質問内容も考えさせたいですね。作戦タイムやリハーサルで、教師が行う支援は次のようにいくつかあります。
●既習事項から考える
例えばグループで話し合っている時に、グループの中で言い方が分からない表現があり、教師はその表現が既習事項から児童が言えると判断したとします。
先生、「どんなキャラクターが好きですか」って英語でどうやって聞いたらいいですか?
なるほど、ではみんなに聞いてみようか。(→手を叩いて教室を静かにさせます。やり方はこちらの動画を参照してください)
Aグループのみんなが「どんなキャラクターが好きですか」ってどう聞いたらいいか、みんなに聞きたいんだって。今まで勉強したことから英語で言えるかな?
What character do you like?
このように既習事項から表現できることに関しては児童に考えさせましょう。
既習事項からも表現できないと教師が判断した場合は
①そのグループに直接、教師が教える。
②全体で共有するためALTに聞く。
ポイントは、児童が既習事項から表現できるかを教師が判断し、表現できる場合は児童に思考させることです。〈答えを与えすぎていませんか?〉これは常に頭において指導する必要があります。
リハーサルを終えて感じたことを全体で共有することもできます(グループで考えている時に取り上げることも可能です。実態に合わせて指導しましょう)。
※取り上げる → 全体で共有(もしくは、担任がデモを見せて気付かせる)
●自分のことを言ってから質問している
I like Tanjiro. Do you like Kimetsuno Yaiba?
相手が “No, I don’t. I don’t know Kimetsuno Yaiba.” と言ったら、みんなは次に用意していた質問だからといって “What character do you like?” って質問する? しない?
しない。だって……。
●挨拶で聞き返された時のこともメモしている例
例えば教頭先生にHow are you? と聞いてHow are you? と逆に聞き返された時に、 I’m happy. と答える準備をしているなど、よい作戦の書き方をしているグループを紹介することもできます。
リハーサルは、グループの進度によって授業内に終わるグループと終わらないグループが出てきます。朝の時間や休み時間などを活用して、本番前に必ずリハーサルを行うことが大切です。そこでフィードバックすることで、児童がどうやったら伝えたいことが伝わるのか再思考する時間を設けることができます。
⑧ふりかえり(Can Do List)
本時はCan Do Listを用意してありますので、それを基に振り返りを行いましょう。また次時の予定の話もして、学習の継続性を意識させましょう。
居村啓子(いむらけいこ)
拓殖大学外国語学部英米語学科准教授。言語学博士。児童図書出版社、児童英語教育機関勤務、立教大学異文化コミュニケーション学部助教、上智大学言語教育研究センター嘱託講師を経て現職。2020年よりNHKラジオ「小学生の基礎英語」講師を務める。研究テーマは「子どもの第二言語習得」、「フレーゾロジー」。
本好利彰(もとよしとしあき)
福島県公立小学校教諭。福島県小学校・中学校・千葉県小学校教諭を歴任。また地区外国語教育推進リーダーを務める。2018年より拓殖大学外国語学部で「小学校英語教育入門」を担当。2021年東京書籍アドバイザー。
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構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ アニメーション/鶴岡信治 歌・チャンツ/本田有紀子