体育の学習班はどうしたらいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #2】
体育の授業の際、子どもたちをどのように並ばせていますか?そして、どのような班編成をしているでしょうか? 体育の授業は、運動場や体育館で行うので、教室のように子どもたちの固定された座席はありません。そんな中でも効率よく、集合・整列させるコツを紹介します。
執筆/筑波大学附属小学校教諭
筑波学校体育研究会理事・齋藤直人
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
身長順で横長!
ここで紹介するのは、イラストのような形です。班は身長順の4人1班で編制します。横長の隊形のほうが、子どもたちは話が聞きやすく、教師は全体を見やすくなります。授業開始の集合もこの隊形です。
この隊形で並ぶと、前後でペア、縦4人で似た体格の班、隣同士が合わさって体格の近い8人組、横8人で体格の違う8人組と、学習するグループも機械的に分けることができます。
原則、この班は1年間固定です。
メリットがたくさん!
体格が似ている同士なので、鉄棒や馬とびの高さにおいて班の中で変えずに学習に取り組むことができます。また、お互いに体格が近いので、子ども同士のお手伝い(補助)が可能であることがメリットとして挙げられます。仲間の動きやお手伝いの子が感じる重さが変わってきていることをお互いに気がつき、フィードバックしやすいことも大きな利点です。「〇班、全員できました!」「○○くんができるようになったよ!」「〇〇ちゃんはお手伝いが軽くなってきたから、もう少しだよ!」という子どもたちの声が生まれやすくなるのも特長の一つです。
いつも決まった班で学習し、お手伝いをし合っているからこそ、それぞれの技能の伸びに気づき、頑張りを認め合うことができます。また、単元を越えてお手伝いをし合うことで相互理解が深まっていきます。それは、安心して学習に取り組むことにつながります。
ボール運動では…
とはいうものの、ボール運動のチームづくりでは少し配慮が必要になります。
1~3年生ぐらいまでは、この身長順の4人1組をチームとしています。
4~6年生では、基礎技能のデータ(シュートの精度、バッティングの飛距離、ボールキックの精度や距離など)をもとに、なるべく均等になるように教師がチームづくりをします。また、学級の状態にもよりますが、お互いのことをわかっている状況であれば、子どもたちに「不平不満が出ないようなチームづくり」を委ねてもいいかもしれません。
もちろん、クラスの実態に応じて1~3年生であっても、人間関係などを考慮してのチームづくりを進めてもかまいません。
体育に熱心な先生の授業や研究授業で見かける教材ごとにグルーピングをするという工夫も悪くないのですが、本連載のキャッチコピー「簡単、手軽で、明日から使える」には合いません。1年を通して様々な教材で便利に使える体育学習班が便利だと思いませんか?
また、今回紹介した人数などは目安ですので、男女の人数・人間関係など、実態に応じて変更してください。大切なのは、
①体格が近い子ども同士がペアや班になっていること、
②縦の4人班の中に男女がいること、
③班の数はなるべく偶数になることです。
明日の体育の授業で試してみてください!
※男女数に違いがある場合
※班の人数が4人ずつにならない場合
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執筆
齋藤 直人
筑波大学附属小学校 教諭
筑波学校体育研究会 理事
1985年 山形県庄内町生まれ。「体の基本的な動きを身に付け、高めること」を目指した対話(声かけ、お手伝い)でつなぐ体育授業を研究。全国の子どもたちや先生方が、今よりほんの少しでも体育授業を好きになってもらえる方法を模索中。著書に『対話でつなぐ体育授業51』(東洋館)等。
監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。
イラスト/佐藤道子