わがままA君が優しくなる席替えの工夫
劇団俳優を経て、公立小学校の教壇へ。得意のダンス指導で日本一になったり、絵本作家にチャレンジしたりと、精力的な毎日を過ごす松下隼司先生。その教育観の底には、子供も指導者も毎日楽しく、笑顔でありたいという願いがあるそうです。そんな松下先生から、笑顔のおすそわけをしてもらう本コーナー。
わがままなやんちゃボーイのA君が、なんだかこの頃は穏やかで、勉強にも学級活動にも意欲的……その理由は、席替えにありました。今回は前回記事に引き続き、子どもの「好き」な感情から、よい面を引き出し、やる気をアップさせる席替えの工夫を紹介します。
指導:大阪府公立小学校教諭/松下隼司
目次
「好き」の感情を配慮する
席替えの座席は私が決めていますが、時どき、両想いどうし、あるいは、ある子が想いを寄せる子を隣りの席にすることがあります。
「自分の好きな子が、隣りの席にいる」。これほど、毎日の学校生活が楽しく感じられることはありません!
やんちゃボーイ、やんちゃガールもこれ以上なく優しくなります。(好きな子に、いいところを見せたい、好きになってもらいたいからなんですが……)。授業中の話合い活動もとても意欲的になります。(好きな子とたくさん話したいからなんですが…)。
ただし、もはや公然公認の両想いを隣どうしにすることはしません。いちゃいちゃするのは休み時間、放課後で十分です!(見ている私がイライラしてしまうこともあるからです(笑))。
お互いの気持ちに気づいていない両想いどうしは、隣どうしにすることがあります。「自分を好きになってほしい」と思いながらの行動では、自分のよいところが自然に引き出されるもの。そしてその二人の様子は、教師も周りの子供たちをも、幸せな気分にさせるのです。
前回の記事も併せてご覧ください
わがままA子に必殺!「ラブ作戦」
松下隼司の笑って!!エヴリディは、木曜更新です
イラスト/したらみ
松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。