科学実験クラブ、みんなどうしてる? ~子どもも先生も嬉しいクラブ運営のススメ~【理科の壺】
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子どもからは大人気、先生からは不人気なクラブといえば…科学実験クラブ! なんてことはないですか? 理科が得意な先生がいたときは良かったけど、異動されてしまったら受けもつ人がいない。
15回も何やったらいいの? 毎回準備が大変で…。そんな声が聞こえてきます。そこで今回は、理科専科としての経験も豊富な木月先生が、先生たちにとってはなるべく楽。そして、子どもたちにとっては理科がさらに好きになってしまうような“ツボ”をご紹介します。
執筆/東京都公立小学校主任教諭・木月里美
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓
1.脱!先生が全て準備する科学実験クラブ
これまで、長い間クラブで行う実験は当たり前のように私が決め、準備し、クラブの日を待っていました。でも、あるクラブの日、子どもたちが目をキラキラさせながら「今日は何やるのー?」と理科室に入ってくる姿を見て、楽しみにしてくれていて嬉しいなと思うと同時に、
「ん? コレって子どもたちにとって主体的な活動か?」
と自分のクラブの進め方に疑問をもつようになりました。
そこで、先生が準備するクラブ活動から子どもたちが企画するクラブへと改革を行うことにしました。本校のクラブは年間15回、1回60分の設定です。今年度は34名、4~5名の8グループで活動しています。
<15回のクラブ活動計画>
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<実際に子どもたちが提案したスライド>
●万華鏡
●スーパーボール
●ゼリー石鹸作り
<人気投票結果>
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子どもたちが自分たちでやりたい実験を決めるので、こちらがどれにしようか悩む必要がなくなり、毎年のマンネリ化も防げます。自分たちが選んだ実験なので、失敗してもどこがいけなかったのか自分たちで考えるようにもなりました。
もちろん子どもたちの提案には、時間や場所、予算的に難しいものもありますが、その辺は教師がアドバイスしながら修正したり、自由研究で行えるようにしたりしてあげると良いでしょう。
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ゼリー石けんは、最後に冷蔵庫で2〜3時間冷やさないといけないよ。
45分の実験時間じゃ、完成させられないね。
それなら、冷蔵庫に入れて次の日に取りに来てもいいですよ。
子どもたちの提案した実験だけでは足りないときや実験準備が間に合わないとき、子どもたちが喜びそうな実験が見つかったときなどは「先生のスペシャル実験の日」にしています。大事なのは、子どもたちが主体となってクラブ活動が行えるように、教師がサポートすることです。子どもたちと一緒に先生もクラブを楽しみましょう。
「このようなテーマで書いてほしい!」「こんなことに困っている。どうしたらいいの?」といった皆さんが書いてほしいテーマやお悩みを大募集。先生が楽しめる理科授業を一緒に作っていきましょう!!
※採用された方には、薄謝を進呈いたします。
理科の壺は毎週水曜日更新です!
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<執筆者プロフィール>
木月里美●きづき・さとみ 東京都公立小学校主任教諭。大学では理科専攻にて学び、卒業後は学級担任、理科専科を経験。教科書の編集委員として教科書作りに携わる。共著に「これからはじめるGIGA全学年×1人1台端末×活用事例小学校理科5・6年」(日本標準)「小学校理科フローチャート型授業ガイド」(東洋館出版)など。
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<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部 教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。
イラスト/難波孝