【相談募集中】「物を壊す」行為を繰り返す子供。どう指導をすれば?
何度注意しても、物を破壊する行為を繰り返す子供がいると「みん教相談室」に相談が寄せられました。これに回答したのは、みん教の音声番組・ミサエラジオでの愛情深いポジティブトークで人気の佐賀県公立小学校教諭・小倉美佐枝先生。悩める先生と子供に寄り添った回答をこちらでシェアします。
目次
Q. 何度注意しても、物を破壊するのを繰り返す子供がいます
小学校三年生の担任をしています。どの学級にも、やんちゃな子はいると思いますが、度がすぎている子供がいます。
学校のもの、担任のものを平気で破壊し、その度に指導をしますが謝ることすらまともにできません。他の先生が指導に入っても同様です。その子は訳あって、親元を離れて暮らしているのですが、それにしても行き過ぎている感じがしています。
もちろん褒めるところはみんなの前でも褒めるようにはしていますが、果たしてこれがいいのかもわかりません。一度や二度ならまだしも、いくつも私物を壊されたりしている現状に疲れ切ってしまっています。ご助言お願いします。(ぬぬ先生・20代女性)
A. 「物を壊す」以外の選択肢を見つけ、感情を言葉で伝える手助けを!
私たち教員から見ると、その子の様子は「平気」に見えるかもしれませんね。でももしかすると、その子は「平気」ではないかもしれませんよ。その子の行動やその背景にある心情は気になるところではあります。
どのような状況のときに、「物を壊す」行為が起こるのか、誰か先生方は見ていませんか。
その子が感情的になったときにその行為が起こるのであれば、感情の落ち着かせ方を練習することは必要だと思います。「アンガーマネジメント」と言われるものですね。
「物を壊す」という選択肢以外の方法を増やす
自分の感情の伝え方を、その方法(物を壊すこと)しか知らないのであれば、何度指導したとしても、繰り返します。繰り返すことで、心理的に強化され、より度合いが悪化することも考えられます。
感情的になった時、イライラしたり、むしゃくしゃしたり、どうしようもない気持ちが起きた時、「物を壊す」という選択肢1つだけでなく、「大声を出す」「好きな遊びをする」「深呼吸をする」などの選択肢を増やしていきたいところです。
子供は、行為の選択肢をたくさんは知りませんし、もっていません。親元を離れて生活しているのであれば、行為の選択肢を随時教えてもらえる状況ではないのかもしれません。学校は、そのような選択肢を1つでも多く増やすことができる場所でもあり、それを練習する場所でもあると思います。
「行為」ではなく「言葉」で表現できるようにする
なるべく、自分の気持ちを「行為」ではなく、「言葉」に表現するように練習することも大切です。
例えば、イライラした気持ちが沸き起こった時、物に当たる(行為)ではなく、「今、私はイライラしているんだ」(言葉)と表現するようにしていくということです。
これもまた、子供は表現のしかたを、身近な大人から学びます。幼児が転んで足が痛い時、大泣きしますよね。その時、助けにきた大人はきっと「転んで痛かったね」と話しかけると思います。そして、幼児は「これが『痛い』ということか」と学ぶのです。
その子もきっと、自分の気持ちを「言葉」にするようになると、もっと周りの人から認められる機会が増えると思います。
ぜひ、「褒める」というよりも、その子が「認められる」機会を増やしてあげてほしいです。その子の得意なことは何ですか。その子の好きな教科はなんですか。きっと、その子は、もっと先生方に認めてほしいと思っていると思いますよ。
「あなたがいっしょにいてくれたから、こんなにも楽しいことがあったね」と言う機会を、学校の中に作ってあげたいなぁと私は思います。
ぜひ、周りの先生方といっしょに、その子に「行為」の選択肢を増やして、「認められる」機会を作ってみてくださいね。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。