<第4回>ニワトリを飼う パンク町田が語る! みんなのいきものがかり

どの学校にも飼育委員会や飼育係があるのは、なぜでしょうか。学習指導要領の生活科や道徳科の規定を待つまでもなく、生き物に親しむ学習活動が生命を尊重する心情を養うことにつながるからでしょう。ありとあらゆる動物を扱ったことがある動物研究家のパンク町田さんが、身近な動物の愉快な話や飼育のこつを伝授します。
ニワトリを飼う

ニワトリは私の友達だった
ニワトリというと、格別な思い出があります。私の通っていた小学校ではニワトリを飼っていました。
飼育委員だった私は、水や餌はあるか、顔色はどうかと、暇さえあれば飼育小屋を覗くだけでなく、ちょうど祖母の家でもチャボを飼っていたので、チャボに会うためにわざわざ祖母の家に立ち寄ってから帰宅するほど、ニワトリにのめりこんでいたのです。小学生も暇じゃないんです。
そうなると、もうニワトリは自分の友達です。飼う飼われるという関係を超えていました。
学校でニワトリの世話をし、帰りがけにチャボの面倒をみて、それから人間の友達と遊ぶという1日のサイクルです。
ニワトリを何羽か集団で飼っていると、ニワトリ同士のけんかがよく起きます。必殺技は飛び蹴りで、これを食らうと結構痛いんです。
よく観察していると、むきむきと体つきがよくなってきたオスのニワトリがしかけるそのけんかは、集団の中でボスを決める争いだとわかりました。勝ち上がったそのオスはいかにも威厳があるそぶりを見せました。それを見て、「おれも頑張ろう」と思いました。動物が人間を勇気づけることがあることをそのとき知ったのです。そのニワトリから私はすごく影響を受けたと思います。
近所に駄菓子屋がありました。そこに来ていた、よその学校の子の話では、どうやらほかの学校でもニワトリを飼っているとわかりました。それでふと思いついたんです。
「うちのボスは強いはずだ。闘鶏をやろう!」って。
今から思えば、相当にやくざな子供です。その駄菓子屋で声をかけると、隣の学校の子が誘いに乗ってきました。
闘鶏場は駄菓子屋の店先です。こちらは白色レグホンというごく一般的な白いニワトリで、相手が連れて来たのは、体がでかく、見慣れないニワトリでした。
「なんだ、あの斑模様は?」と目を凝らしてみると、横斑プリマスロックじゃないですか。普通のニワトリと鳥類図鑑でしか見たことがないニワトリの戦いです。
一瞬、「うちのボスは、やばいんじゃないか」と思いました。
ところが、いざ勝負となったら、うちのボスが強かった。飛び蹴り1発で、相手は戦意喪失です。
場の外に逃げたり、立てなくなったりしたほうが負けとなります。やられたニワトリがいつまでも立っていると、強いほうにずっとつつかれることになるので、横に寝るのです。
──その闘鶏遊びは続いたんですか。
いや、飼育委員の女の子にばれたので、すぐにできなくなりました。「ニワトリがけがでもしたら、どうするの!」と、こてんぱんに怒られました。先生に告げ口をされたせいで先生にも怒られましたが、女の子の怒りのほうが強烈でした。女の子はニワトリを箒で叩いたりするくせに、それはいいらしい。
しばらくするとボスの交代が起きました。何度か行った闘鶏でボスは全勝でしたから、「こいつは最強だ」と思っていましたが、まさかボス争いに負けるとは。そのときはとても悲しく、落ち込んだことを覚えています。
