時短勤務でも学級担任や子供や保護者の信頼を得るには?|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」

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沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
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国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

子供たちの自主性を引き出す斬新でユニークな実践が話題の「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生 。今回は「9時~14時までの育児短時間勤務で、低学年の担任を任される中、どのように子供たちとの距離を縮め、保護者に誠意を示せばよいのか悩んでいます」というコイキング先生の悩みにお答えいただきました。

沼田晶弘先生

育児短時間勤務は正式に認めれている権利

今回は、育児短時間勤務のため、朝の会や帰りの会にその場にいられない中、学級担任としてどのように子供や保護者との信頼関係を築いてよいかというご相談。

ボクからのアドバイスはシンプルで、時短勤務だからといって、子供たちや保護者との信頼関係を構築できないということはない

とくに保護者に対しては「不安を与えるのではないか」「保護者は早朝から夜遅くまで学校にいる先生を熱心な教師と認識しているのではないか」と考え、不安になる気持ちもわかるけれど、ほぼ誤解なので気にしないほうがいい。

そもそも時短勤務を選択する正式な理由があるわけだし、そうした勤務体制は権利として認められているのだから、そこは割り切ろう

限られた時間をどう充実させるか考えることに注力する

朝の会や帰りの会に教室にいられなくても、それが原因で子供たちに信頼されない、好かれない、ということにはならないと思うよ。

だったら、専科の先生は誰からも信頼されないことになってしまう。でも実際には、子供から人気があり、保護者からの信頼の厚い専科の先生はたくさんいるよね。

まず、「9時から14時までしか子供と過ごせない」とマイナスに考えるよりも、「今年は 9時から14時までは子供たちと過ごせる」とプラスに捉えて、子供たちと過ごす5時間をどう充実させるかを考えよう。そのほうが生産的だよね。

そして、授業や休み時間、給食の時間、それぞれの時間の中で日々どう接して子供たちを理解するのか、どんな授業を展開して子供たちの学ぶ意欲を高めていけるのか、それを考えることに注力しよう。

できないことを数えるのではなく、できることを増やす

保護者とも、時短だからといって全くコミュニケーションが取れないわけではない。

例えば、忘れ物を届けにきた保護者がいたら積極的に話してみるとか、保護者会や運動会などの行事の時に自分から話しかけるのもよいだろう

それに、昨年度もコロナ禍の影響で保護者と接する機会が少なく、保護者とコミュニケーションをとる時間がないという課題はフルタイムの先生でも同様に抱えてきたはずだ。過去2年間、先生方がどんな工夫をしたのか聞いてみるのもいいだろう。

そしてできなことをあれこれ数えて悩むよりも、自分なら時間内にどんなことができるのか、どんなことを子供たちとやってみたいのか考え、できることを少しずつ増やしながら、楽しく有意義に過ごそう

時短でも授業で勝負し、ポジティブな流れを作る

では、限られた勤務時間内に、子供や保護者の信頼を得るために何をすべきなのか。まずは「授業力」を向上すべきだよね。

45分間の中で、子供たちがワクワクする授業、もっと学びたくなるような授業ができれば、きっと子供たちは先生が好きになるし、自宅に帰り楽しかったその日の授業のことを保護者に話す子供も出てくるだろう。

そうやって少しずつ限られた時間の中でも、精一杯子供たちのためによい授業をしよう、子供一人ひとりがイキイキと過ごせるクラスづくりをしようとしている姿勢が伝われば、子育て経験者である保護者は先生の状況を理解してくれると思うよ。また学級活動や家庭指導に関して積極的に協力しようとしてくれる保護者が出てくるなど、ポジティブな流れも自然に生まれてくる。

逆に授業がいい加減だと、ネガティブな流れになってしまう恐れもあるから注意が必要だ。

つまり、学級経営をよい方向にもっていけるかどうかは、授業力にかかっていると言えるだろう。

育児との両立は簡単ではないかもしれない。失敗をすることもあると思うけれど、日々の授業時間を意義あるものにするため、限られた条件の中で工夫したり自己研鑽したりという努力は、今後の教師人生に必ず生きてくるはずだ。

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沼田晶弘先生
沼田晶弘先生

沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/

取材・構成・文/出浦文絵

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