小1体育「水遊び」指導アイデア

執筆/東京都品川区教育委員会指導主事・齊藤隆光
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・塩見英樹、東京都品川区教育委員会統括指導主事・唐澤好彦

授業づくりのポイント

水遊びは、「水の中を移動する運動遊び」と「もぐる・浮く運動遊び」で構成され、水につかって歩いたり走ったり、水にもぐったり浮いたりする運動遊びです。

経験の差が出たり、水に対する不安感を抱いたりする運動遊びであるため、誰もができる易しい水遊びでの水慣れを通して不安感を取り除き、水の心地よさを味わうことから始めます。易しい水遊びに少しずつ工夫を加え、楽しく水遊びするなかで、水の中を移動すること、もぐる・浮くことなどの基本的な動きを身に付けられるようにします。また、動きのイメージやリズムなどを、分かりやすい言葉で子供たちに伝える工夫も大切です。

なお、水の事故は、生命に直結する大事故につながる恐れがあるため、水遊びの心得をはじめ、安全に関する事項を子供たちに徹底することが求められます。

指導のPOINT
・水に顔をつけることや水に対する恐怖心がある子供もいます。スモールステップで行い方を示したり、より易しい行い方を示したりするなどの配慮が必要です。
・一方で、既に初歩的な泳ぎを身に付けている子供もいます。動きのよさを認め、ほかの子供に伝えたり、石拾いで拾う石の色の指定やもぐる輪の位置を深くしたりするなどの、個に応じた課題を提示します。

水遊びの学習における感染症対策
※学校プールについては、学校環境衛生基準に基づき、プール水の遊離残留塩素濃度が適切に管理されている場合においては、水中感染のリスクは低いとされています。水遊びの授業を行う際には、地域の感染状況に応じて、以下のような感染リスクへの対策を講じることが考えられます。

・活動中(着替えを含む)は不必要に大声を出さないようにする。
・集合、整列時は子供同士の適切な間隔を確保する。
・プールに一斉の大人数が入らないようにする。
・対面するなど近接する活動を行う場合は、特定の少人数で短時間で行う。
・用具やタオル・ゴーグルなどの私物の共有を避ける。
・更衣室が密集となる場合は、少人数で使用するなど工夫する。
・見学者への感染対策および熱中症対策を講じる。
・屋内プールにおいては、換気設備を適切に運転する。など

単元計画(例)

単元計画(例)

水遊びの心得…準備運動や整理運動はしっかり行う、ていねいにシャワーを浴びる、プールサイドで走ったり跳ねたりしない、プールに飛び込まない、潜水をしない、友達とぶつからないように動くなどのこと。また、水遊びをする前には体(爪、耳、鼻、頭髪など)を清潔にしておくことも合わせて指導しましょう

楽しく運動遊びをしよう

  • プールのきまりを守って、楽しく水遊びをしよう
  • いろいろな水の中を移動する運動遊びを行い、水に慣れよう

運動遊びとの出合い

水につかって、水をかけ合ったりまねっこ遊びをしたりして遊ぶなかで、水中で体を動かす楽しさや心地よさを十分に味わえるようにしていきましょう。

水慣れ

●水に入っての呼吸

水に入っての呼吸

●水かけっこ

水かけっこ

●水中歩行・ジャンプ

水中歩行・ジャンプ

まねっこ遊び

まねっこ遊び

※慣れてきたら音楽をかけ、リズムに合わせながら水慣れを行うことも考えられます。

水の中を移動する運動遊び

まずは、水慣れで行った簡単な遊び方から始め、遊び方を工夫していくなかで、水中で体を動かす楽しさや心地よさを味わえるようにします。

水かけっこ

水かけっこ

正面でもかけ合ってみよう。

まねっこ遊び

まねっこ遊び

カニさんみたいにブクブクッと大きな泡が出せるかな。

●ワニの散歩

ワニの散歩

ワニさんのお話に合わせて動いてみよう。

●電車ごっこ

電車ごっこ

じゃんけんして、勝った人の後ろに付きましょう。

水遊びと安全

指導の前に以下に示した事項などについて、確認し、安全な指導に努めることが考えられます。

安全管理

  1. 子供の健康管理
  2. 注意・配慮を要する子供への対応
  3. 監視体制・役割分担
  4. 用具等の使用上の注意
  5. 緊急時の対応について

安全指導

  1. 天候の判断
  2. 安全上の対策
  3. 人員点呼
  4. 準備運動
  5. 入水時と休憩時の注意事項 など

施設・設備の安全

  1. プール施設の安全管理
  2. 適切な水位設定
  3. プールの水温及び水質管理

バディシステムについて
人員点呼は事故防止の上でとても重要ですが、バディシステムは感染リスクに十分注意して運用する必要があります(密着しない・挙手のみとする・名簿での点呼の活用など)。

バディシステム

工夫してもっと楽しく運動遊びをしよう

  • いろいろなもぐる・浮く運動遊びを行い、基本的な動きを身に付けよう
  • 運動遊びの場や行い方を工夫して、もっと水遊びを楽しもう

水に慣れてきたら、沈もうとすると浮力が働き、体が浮くことを感じたり、息を吐くと逆に沈み込むことを体験したりすることで、水中での基本的な動きを身に付けることができるようにします。また、運動遊びの場や行い方を工夫するなかで、さらに水遊びを楽しむことができるようにします。

もぐる・浮く運動遊び

イラスト/栗原清、 横井智美

『教育技術 小一小二』2021年6/7月号より

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