【相談募集中】「生徒になめられている」とベテラン教員から指摘されました
「生徒になめられている」と、ベテラン教員から指摘を受けた中学校教諭から「みん教相談室」に相談が届きました。元中学校校長で「全国教育交流会」代表の中野敏治先生は、教育の軸は子供たちであるとして、生徒理解の大切さを話してくださいました。
公立中学校で1年生の副担任をしています。私はベテラン教員から「生徒になめられる教員」だと言われることが多いです。「中途半端な注意」「スルーしている」ので、「生徒のためになる厳しい指導ができるようにならないと」と指摘を受けます。
確かに、他の先生方に比べてまだまだ説得力に欠ける部分は大いにあると思います。自覚しているからこそ、先生方の姿を見て学び、自分なりに真似してみたりもするのですが、どうしてもしっくりきません。
生徒と接するとき、そして生徒たちがどういう場面のときに、どうアプローチすることが、生徒と教員という立場を意識した関係が継続できるのでしょうか。
「自分で考えなきゃ」といわれて考えて接しているのですが、叱られたり注意を受けることが続くと、極端に自信がなくなってきてしまい、職場では相談できずにただただ焦ってしまっています……。
(くり先生・20代女性)
生徒理解をした上での指導ならば、厳しくしなくても子供たちは先生の話を理解し、納得します
深く悩むことはありません。こうして考えていることで今の自分の悩みを解決しようと一歩を踏み出しているのですから。
大切なことは人に左右されないということです。今、ベテランの先生にアドバイスをもらい、自分にはなかなかできていないけれど、言われるような先生にならなければならないと思っていませんか。
でも、転勤をして他の学校へ異動をしたとき、同じことが起きる可能性があります。異動先で新たなベテラン先生から今まで言われてきたアドバイスと違うアドバイスをされたら、そこでまた悩みが生まれます。
忘れてはいけないことは、学校の軸は子供たちであるということです。このことを忘れなければ自分らしい指導が生まれてきます。
質問の中にあります「厳しい指導とは」「生徒になめられる教員とは」と考えてみると、どんなイメージがわくでしょうか?
厳しい指導をし、生徒になめられない教員は、あなたの理想の教員でしょうか? いや、きっと違うと思います。子供たちに信頼され、子供たちのために教育をしたいのではないでしょうか。
どんなに厳しくしても子供たちの心が動かなければ、子供たちは先生の見えないところで、さまざまなことをします。子供たちに共感し、心に届くメッセージを送り続けていくことが大切なのです。
そのためには、子供たちの普段の生活をしっかりと見つめることです。何か問題となる行為が起きたとき、その現象だけを注意するのではなく、その生徒にとって、そうせざるをえない何かがあったのではと考えてみることです。
生徒理解はこうして始まるのです。一人一人の生徒理解をした上での指導であるならば、厳しくしなくても、生徒になめられないようにと肩に力を入れなくても、子供たちは先生の話を理解し、納得していきます。
厳しさや威圧により子供たちを「説得」しても、子供たちが心から「納得」しなければ、指導の意味がなく、同じ行為を繰り返します。
子供たちから相談を受けたとき、先生はその相談を受け止めることです。受け入れてしまい、生徒と同じ視線で物事を考えてしまっては指導も解決もできません。受け止めることにより、教師としての視線で子供たちと話ができるのです。
教師という立場を忘れず、教育の軸は子供たちということを大切にし、生徒理解をした上で生徒の指導にあたることです。きっと生徒は先生のことを信頼し、先生らしい指導が生まれてきます。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。