新しい生活様式に沿った卒業式
新型コロナ禍における卒業式は、在校生の不参加、保護者の参加人数の削減等、これまでとは違ったものとなります。今年度も新しい生活様式に添った卒業式の開催は必須です。そこで、3つの視点から卒業式について考えてみましょう。
執筆/福岡県公立小学校教諭・有得辰俊
目次
視点1 式場の工夫
卒業式の参加人数を減らす
学校規模や教育委員会の判断で参加者の構成は変わってきますが、参加者の人数は絞り込む必要があります。
- 在校生の参加者数を制限するか、送辞を述べる子供のみ。
- 来賓は、代表者の数人。
- 保護者は各家庭2人以内。
複数の学級がある学校では、1学級または2学級での卒業式を行うこともできます。2交代制、開始時刻をずらす2部制等の方法があります。
感染症対策
- 窓を開けて換気する。
- 参加者は、全員マスクを着用する。
- 子供たちは、朝の検温を毎日実施する。
- 保護者は、受付で検温とアルコール消毒をする。
事前にプリントを配付し、朝の検温結果を記入したものを提出するのでも可。
- 座席は少なくとも1メートルの間隔を空ける。
視点2 進行の工夫
練習時間の削減
卒業式にふさわしい参加の仕方について理解させ、行動の仕方を指導するには時間がかかります。
しかし、練習に時間をかけると、新型コロナウイルス感染症だけでなく、インフルエンザなどの感染リスクが高まります。返事、立腰などの規律の仕方については、健康観察や学習中など日常の中で指導するようにします。
また、起立や着席などの行動の仕方については、卒業式進行担当の先生から指示してもらうようにすることで練習時間を削減しましょう。
時間の短縮
- 飛沫が飛ぶので、呼びかけや歌を中止する。
- 参加する学級を減らすため、入退場や卒業証書授与の時間を短縮する。
- 来賓の人数が減ることに伴い、祝辞の時間を短縮するか、祝辞を取り止める。
入退場時や証書授与待機時の間隔を空ける
恥ずかしさや緊張から、入退場時は、どうしても間が詰まってしまいます。しかし、感染症対策のためにも、間隔を空けて入退場するように指導します。
1列で、間隔を1〜2m以上空けて入退場しましょう。
呼びかけや歌
卒業生の顔がよく見えるようにするために、ステージとひな壇を使って、対面形式で卒業式を実施する場合があります。
しかし、新型コロナ禍では、飛沫飛散防止や時間短縮が条件になるので、「呼びかけや歌の実施」「対面での場づくり」は実施困難な状況です。
ただ学校規模や感染状況によっては、可能性が残されています。
実施にあたっては職員会議で確認するようにしましょう。
視点3 最後の帰りの会の工夫
教室以外の広い部屋を活用する
最後の帰りの会は、子供たちが使った教室で行いたいところです。
しかし、そうすると密が生じてしまいます。2交代制ならば、多目的室などの広い特別教室を、2部制ならば、体育館のスペースを利用しましょう。
その際、学級の宝である学級旗や学級歌などを移動式黒板に掲示して場を盛り上げます。
子供たちの晴れの舞台を準備するために、できない理由を考えるのではなく、できる方法を探っていきましょう。
イラスト/菅原清貴
『教育技術 小五小六』2021年3月号より