3月の学級担任実務
気持ちよく次年度へ引き継ぐための、3月の学級担任実務をまとめました。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・西田あすか
目次
①1年間のふり返り
子供自身のふり返り
1年間の自分自身のふり返りとまとめをします。学期ごとに書いてきたふり返りカードを比べたり、各教科などで作ってきた作品集などを見たりしながら、成長したこと、身に付いたこと、がんばってきたことが実感できるようにしていきましょう。ふり返りカードを使い、個々の成長を見とり、保護者や教師がコメントをするのもよいでしょう。
学級集団のふり返り
学級目標に向かって、集団として取り組んできたこと、達成できたことを全員で確認します。友達のがんばりにも目を向け、友達のよさや感謝の気持ちを伝え合う場を確保するのもよいでしょう。写真や掲示物を見返しながら、1年間一緒に過ごしてきた友達と、思い出を共有しましょう。学年が終わるまで、一日一日を大切に過ごせるようにしていきます。
教師自身のふり返り
教科指導や教科外指導、学級運営など、年度はじめに立てた自己目標に対し、教師自身もふり返ることが大切です。
目標達成のための具体的な手立ては有効だったのか、成果や課題を整理しましょう。教師自身のスキルアップにつなげられるようにします。
②通知表の作成
内容の最終確認
評価資料と比べながら、評価の誤りがないか、学年間で見合いましょう。三学期の評価だけではなく、年間を通しての評価も行います。
管理職に確認してもらうことはもちろんですが、誤字脱字や不適切な内容がないか、複数の目で確認します。成長したこと、努力したことが保護者にも伝わるように書かれているか、個々の子供を思い浮かべながら、もう一度読み返しましょう。
出欠の確認
授業日数や日々の出欠席の状況と照らし合わせていきます。臨時休業や出席停止など、出席日数に反映されるものもあるので、十分に注意しましょう。事前に保護者にお便りを出し、確認するのもよいでしょう。
③学級納めに向けて
学習納め
年度当初に立てた各教科のカリキュラムはすべて終わっているかを確認しましょう。
テスト、ドリルなどは、全員が確実に終わるように早い段階から声をかけ、見通しをもって取り組むことが大切です。
学級納め
最終日、どのように過ごすのか、子供と計画を立て、集会をしたり、思い出を伝え合ったりすると思います。担任としてもどのように子供たちと最終日を迎えるか、次年度に向けて言葉をかけるか、考えておくことが大切です。すぐにできるものだけではありません。
朝、黒板にメッセージを書く、賞状を渡す、手紙を渡すなど、できることを考えて準備をしておきましょう。
④教室環境の整理
持ち帰りリストの作成
年度末は、持ち帰る物、返却する物が多くあります。廊下のフック、机の中、ロッカーの中、棚の中など、いつ、何を持ち帰るか、計画を示して声をかけましょう。持ち帰る物、学校に保管する物や、一度返却しもう一度提出する物など、リストを作り、漏れがないようにしましょう。
返却するものの例
- 作品、学習カード、ファイルなど
保護者が子供のがんばりや成長を確認できる大切なものです。コメントやサインを入れて返却しましょう。
- お道具箱、個人情報の書類など
学校に保管するものの例
- 防災ヘルメット、キャリア・パスポートなど
一度返却し、もう一度提出するものの例
- 保健関係書類など
一度返却し、必要があれば加除修正し、新年度にもう一度提出することになります。
作品や掲示物の教室環境
各教科の作品、係活動の記録、学級目標の掲示物など、子供たちの活動に関係するものはなるべく早く外しておきましょう。
外すときには、活動の思い出などを子供たちと話しながら外していくとよいでしょう。最終日までに、きれいにしておきます。
⑤次年度に向けて
掃除
教室の隅々まで見渡し、次年度に気持ちよく使えるように掃除をしましょう。黒板や棚の上を拭いたり、机を整理整頓したり、やり残しがないようにすることが大切です。次に使う人が困らないように、早めに取りかかりましょう。
引き継ぎ資料の作成
次年度の学級編成は、現担任が行いますが、子供たち同士の関係や家庭状況など、細かいところを伝えるための資料を作っておく必要があります。次年度、誰が担任になっても困らないように、具体的に記しておきましょう。学年で必要なことを確認しておくことが大切です。
返却するもの
- 教科書・教師用指導書
- 各教科用具
- 視聴覚機器
- ボール・縄など
次年度に使うものは、一括して返却することになります。各学校で出されるリストを基に、返却する場所、返却期日を確認しましょう。
⑥指導要録の作成
学校で保存される文書になります。落ちや誤りがないよう、学年間で見合うことはもちろんですが、複数の目で確認していきましょう。
指導に関する記録
1年間の学習指導の過程や成果などを要約して記録するものです。評価の方法などは、各学校が学年ごとに子供の実態などを考慮して行うことが大切です。また、学校全体で統一していることもあります。事前に全職員で共通理解をしておきましょう。
学籍に関する記録
未記入の欄がないか、変更があった場合は、正しく修正されているかを確認しましょう。一年生は、入学前の経歴の欄もあります。書式や書き方なども細かく見ましょう。
- 学級・整理番号
- 児童生徒の欄
- 保護者の欄
- 現住所の欄
- 入学前の経歴の欄(一年生のみ)
- 入学・編入学の欄
- 年度・学年・校長印氏名・学級担任者氏名印
押印は、すべての必要事項が記載完了した後に行います。
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2021年3月号より