小1・小2 三学期の通知表所見欄の書き方~次年度の意欲へつながる所見を!

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ウィズコロナ時代の状況に沿った三学期の通知表の書き方のポイントと記入例を紹介します。低学年の子供と保護者に進級への自信と意欲をもたせるように心がけましょう。

監修・執筆/熊本県熊本市立城西小学校 校長 松永裕子

小一小二3学期通知表トップイラスト 成長を喜ぶ先生と子どもたち

1年間をふり返って!

4月の学級開きのときから比べると、子供たちは数段に成長しているでしょう。特に、一年生は入学したときからの成長は著しく、そんな子供たちの姿を見て、うれしく感じることも多いと思います。そうした担任の思いを、しっかり伝える三学期の通知表にしてください。保護者も、我が子が1年間、どんな成長をしたのかを楽しみにされています。学習面では、単元名を挙げてその内容を書くのもよいのですが、学習に向かう姿勢や力を付けた点など、年間を通しての伸びを書くようにもしましょう。

生活面、当番や係活動なども同様で、三学期だけのことではなく、1年間をふり返って広く見たところで書くようにしてください。

●「話をしっかり聴こうとする意識が高まるにつれて、課題への取りかかりも早くなりました。」
●「掃除時間が終わった後、バケツの水換えができているかを確認するなど、自分の役割に責任をもって取り組む姿に成長を感じました。」

子供の声も参考にして!

❶ じゅぎょう時間のことやおうちでの学しゅうなどでがんばったと思うことは?
❷ 生活めんで、がんばったと思うことは? (あいさつ、くつやスリッパならべ、へんじ、そうじ、きゅうしょくなど)
❸【     】がかりのしごとでがんばったと思うことは?
❹ 〇年生で、一番思い出にのこっていることは何ですか?(わけも書いてください)
❺ 〇年生で、一番のびたと思うところを、 教えてください。

上のような項目で、子供自身に1年間のふり返りをさせてみるのも、通知表を書くときのヒントになります。特に、がんばったことや伸びたと思うところなどを聞いてみると、担任では気付いていないような部分が見えてくることがあります。例えば、「テストで×をもらうと、とてもくやしかったから、家でやり直したり、もんだいをつくってもらって、といたりしました。」と、子供が書いた内容と合わせて、次のような記述にしてはどうでしょう。より具体的になり、説得力のあるものになると思います。

「間違ったところはミスしないようにという意識の強さから、家庭でもやり直しをするなど努力を続けてきました。その成果がまとめのテストの満点という結果につながりました。こつこつ積み重ねる大切さを実感していることでしょう。」

また、本人が伸びたと思うところを、「自分からあいさつできるようになりました。友だちがかえしてくれるとうれしくなるから、また次もがんばろうと思ってあいさつしました。」と書いていた場合、こんなふうな記述にします。

「学級みんなであいさつ運動に取り組んだときに、大きな声を出せたことが自信になったようで、学級でも進んであいさつするようになりました。〇〇さんの笑顔での声かけが、次第に学級全体にも広がっていきました。」

その場面が見えてくるような表現を工夫するとよいですね。質問のなかに、係名を書く欄を設けるようにしておくと、係の名前を間違えて記載してしまうというミスを減らすうえでも有効です。私は、こうしたふり返りのカードは、学期ごとでも活用していました。

指導要録との関連を図って!

三学期の通知表所見を、指導要録の「総合所見及び指導上参考となる諸事項」との関連を図って考えておくと、いざ記載するときに大いに役立ちます。記載する内容として、次のような例が示されています。

❶ 各教科や外国語活動、総合的な学習の時間の学習に関する所見
❷ 特別活動に関する事実及び所見
❸ 行動に関する所見
❹ 児童の特徴・特技、学校内外におけるボランティア活動など社会奉仕、体験活動、表彰を受けた行為や活動、学力について標準化された検査の結果等指導上参考となる諸事項
❺ 児童の成長の状況にかかわる総合的な所見

❶ どの教科においても、友達の発言を熱心に聞いたり、積極的に発言したりしながら授業に参加していました。文字をていねいに書くことに努めるようになり、計算する力も確実に伸びてきました。
❷ ○○係として、○○といった楽しい企画を考え、帰りの会で呼びかけるなど工夫をしながら、熱心に取り組んでいました。学級会でも建設的な意見を述べるなど意欲的でした。
❸ 誰に対しても思いやりをもって接していましたし、時と場に応じた言葉づかいができていました。
❹ 動物の絵を描いて出品した絵画コンクールで、奨励賞を受賞しました。
❺ 生活科の「〇〇発表会」に向けては、悩む場面も多々ありましたが、やると自分で決めてからのがんばりはすばらしかったです。当日は、せりふを暗記して堂々と発表したことで、一つの山を乗り越え、自信につながったことと思います。

といった感じです。

続けて、少し長い表記になりますが、三学期の通知表文例を考えてみました。

●「温厚な人柄とユーモアで、たくさんの友達に囲まれています。忘れ物もなく、掃除もがんばり、落ち着いた生活ぶりです。算数の苦手な問題を進んで復習したり、漢字ノートの文字を意識してていねいに書いたりと、意欲の向上を感じました。〇〇係で行ったクイズ大会はリクエストが来るほど好評で、がんばってよかったと口にする〇〇さんの笑顔はとてもすてきでした。これから先もさまざまな課題に出合っても、自分でしっかり考えながら、よりよい方向を見付け出していってほしいと思います。〇年生での活躍を期待しています。」
●「学習の取りかかりも作業能率もよいので、確実な理解につなげる意味でも、ていねいさを加えようとアドバイスしてきました。少しずつ意識するようになるにつれ、うっかりミスも減り、成果が見られるようになり、〇〇さんの笑顔も増えました。〇〇係として、毎日の仕事はもちろんのこと、『こうしてみようよ』と友達にアイデアを出しながら、積極的に活動する姿は頼もしかったです。前向きに考えてぶつかっていこうとする力は、これからますます必要になっていきます。〇〇さんなら、きっとすばらしい〇年生になれると思います。応援しています。」

所見を書く際には、次の点も考慮しましょう。
● 単元を取り上げての気付き、事実だけの記載に終わらないようにしましょう。
● 語尾が同じ文の並びにならないように気を付けましょう(「〜できました。」「〜しました。」「〜していました。」など)。
● 最後は、次の意欲につながるように、励ましで終わるほうがよいでしょう。
学年の締めくくりとして、次の学年のステップになるような通知表になるように、教師の思いを伝えてあげてください。

構成/浅原孝子 イラスト/terumi

『教育技術 小一小二』2022年2/3月号より

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